「ベトナムがAFC U23で決勝進出」

衝撃的だった。

なんと、AFC U-23(サッカー)で、ベトナムが決勝に進出したのだ。

2年ほど前にベトナムに来た時、カフェや路上のテレビでベトナムの人が、サッカー中継を見ている光景を目にした。

「サッカー好き」という印象があったが、決してサッカーが強いという印象はない。

「サッカー選手」としては、ちょっと前までコンサドーレ札幌に在籍していた、レ・コン・ビンと言う選手が有名だというくらいの印象だ。

なぜ、ベトナム代表が、AFC U-23でここまで躍進できたのか?それを、自分なりに考察してみたいと思う。

決勝まで進む。これは偶然ではなく必然であるからだ。

ベトナムでベトナムの人と一緒に働いているビジネスをさせてもらっているから、このような気持ちなったのだろう。

ここで、まずは、AFC U-23がどんな大会なのか?おさらいしたいと思う。

AFC U-23選手権(: AFC U-23 Championship)は、アジアサッカー連盟(AFC)が主催する、23歳以下のナショナルチームによるサッカーの大陸選手権大会である。

この大会は2年に1回開催され、第1回大会は2014年1月11日から1月26日(予選は2012年)に開催された。

2014年からなので比較的新しい大会と言える。

昔、1999年のワールドユースで世界2位に輝いたU-20日本代表。これにも、きちんとした背景・理由があった。いろいろあるが、トレセン制度などの整備により育成システムが確立されてきたことを象徴であるとも言われている。

(ちなみに私、彼ら黄金世代(1979年生まれ)と同世代でありその点については誇らしかたったのを今でも覚えている。)

私なりに調べた結果、浮き上がったキーワードは、「経済の発展」「指導者」「スポンジ」だ。

まずは、ベトナムの経済の成長と言う点を見て行きたいと思う。

●ベトナムの経済の発展

現状のFIFA ランキングを見てみよう。以下を参照してほしい。

http://fifaranking.net/ranking/

 

経済的にすごく発展しているという国ばかりではないが、いわゆる開発途上国は上位にない。

スポーツには、お金がかかる。道具や場所などのツールはもちろん、教育にもである。ベトナムのここ数年の経済発展と今回の決勝進出とは、因果関係がないとは言えないだろう。

誰がなんて言おうと、お金は大事なのだ。

特にゴルフやアイススケートではせっかく才能があるのに経済的な観点から断念したという例はたくさんある。

ベトナムという国が経済発展しているのは、周知の事実である。

加えて、スズキ、ホンダ、ヤンマーといった日本の企業もベトナム代表をサポートしている点も無視できない。

●指導者という観点

 

ここ最近のサッカーでのベトナムの勢いには目をみはるものがある。昨年行われたU-20のワールドカップにも出場している。

日本人は、バルサで活躍していた“久保建英”に注目していたかもしれない。

今回、U23 のベトナムチームを率いるのは、理論派として知られるホアン・アイン・トゥアン監督(韓国)である。同氏は、2002年に日韓ワールドカップで韓国代表のフース・ヒディング監督の右腕を務めていた人物である。

ベトナム人でUEFAプロライセンスを持つ唯一の指導者で、そのサッカー哲学から国内では“ベトナムのモウリーニョ”、などと呼ばれているようだ。指導者が、今回の躍動の一つの要因であるのは間違いない。

-U-23ベトナム代表のご活躍、おめでとうございます。まずはベトナムを訪れたときの第一印象から教えていただけますか?

パク「ベトナムに来るチャンスをもらった時から、とても興奮していた。この地に来られたことを、とてもうれしく思う。ベトナムをはじめとした東南アジアには、素晴らしい才能を秘めたサッカー選手が大勢いると知っていたが、初めてベトナムの選手を観たときは驚いた。彼らのスピード、テクニック、フィジカルは想像以上だった。しかし、彼らはまだ自分たちの力をどう使えばいいのか全く知らなかった。タイや日本、韓国に負けないほどの力を秘めているにもかかわらずだ。だから、自信を持ってプレーできていないように感じた。」

「ベトナムフットボールダイジェスト」より

やはり、力を引き出すためには、経験のある人物からの指導・教育が重要なのだろう。

また、最近では下記のプロジェクトもあるようだ。

元マンチェスター・ユナイテッドのライアン・ギグス氏(44)とポール・スコールズ氏(43)は、日本代表と同じアジア枠のベトナム代表をW杯(ワールドカップ)に出場させるための1億ポンド(約155億円)を費やす計画に関わっていると、15日組の英紙ミラーが報じた。

ギグス氏とスコールズ氏は、ハノイにいるベトナム代表サッカーを強化する下部組織のPVFと契約を結んだ。ギグス氏はPVFのフットボールディレクターに指名され、スコールズはアシスタントを行う。また2人は、頻繁にベトナムを訪れることになるという

これは、大きな変化が生じることが予想される。

●スポンジのようなマインド

-選手たちに自信をつけさせるために、どんなことをしたのでしょう?

パク「まずはメンタルコントロールが出来るようになる必要があった。選手は自分に自信を持たなければならない。その後に分かったことは、ベトナムの選手たちが、まるでスポンジのようだということだ。新しいことに対する彼らの吸収は非常に早く、そして貪欲だ。自分が知らないことがあると、“これはどういうことなのか?”すぐに尋ねてきて、“あぁ、そうだったのか!”と、こんな調子だ。」

「ベトナムフットボールダイジェスト」より

素直さはとても大事だ。

人が、なかなか結果を出せない一つの理由として、“自己流”にアレンジしてしまうということがある。指導されたことをそのままやらないのだ。

ベトナムでは、年齢を重ねた人がプライドだけ高くなるということがあるように感じる。そうなると、なかなか“スポンジ”のようにはいかなくなってしまうのだ。

年齢が若く素直であることが、もう一つの大きな理由だと考える。

これは、資格や大学の勉強でもセールスライティングでもどんな領域でも同じだ。まずは、指導者の言った事をそのままやる。真似る。ということがまずは大事なのだ。

私も、現在、ベトナムで事業をしているが、これは身をもって感じている。

「若い人は素直で優秀」だ。

著名なフレームワークに当てはまるのか?

この3つの要素は、よく考えてみると、あのフレームワークにあてはまる。

それは、

スティーブン・R. コヴィー 博士の著書、『7つの習慣』に出てくる有名なフレームワークである以下である。

マインドセット

・ツールセット

・スキルセット

マインドセットは、「スポンジのような」ていう点があてはまると言える。

ツールセットは、ベトナムのその環境と言えるだろう。経済の発展とともにその環境が整ってきたのだ。

スキルセットは、この場合、もちろんサッカーのスキルだと言えるが、上記2点が揃う事により著しく向上したと考えられる。

このような要素により、ベトナムサッカーは躍進したのだと考えられる。

2年後、3年後が楽しみだ。ベトナムは2030年のワールドカップ出場を目標にしているようだが、ロシアワールドカップが終わった後のワールドカップ予選では、日本の強力なライバルになっているかもしれない。