こんにちは、公認会計士のすげのです。

本日は、ベトナムの会社(日系の子会社)が、貸付を実施できるか?という点をお話ししたいと思います。

この記事はこんな人のために書いています。
ベトナムに進出しており、子会社がある。その子会社から他の会社へ貸付金を実施したいと考えている。しかし、金融のライセンスがないので不安。外資系はライセンス厳しいと聞いている。

本日のお話を聞いて頂ければ、ベトナムで法律的な根拠が整理できます。

営業活動としてでなければ、貸付金を行うことができる

結論は以下のように考えます。

通常の会社(金融業のライセンスでない会社)が、単発で実施する貸付金は可能。

となります。

なぜでしょう?この理由について解説していきますね。

ベトナムの金融業以外の会社が貸付できる理由

ベトナムの金融機関法とベトナム財務省から発行されている法律が根拠として使えます。

ベトナムの金融機関法

通常の取引として貸付業は、金融業しか行えません。と規定されている点です。ここでのポイントは、「通常」と記載されている点です。

したがって、解釈によれば、通常の会社が、スポットで実施する貸付金は、通常(経常的に生じる)の目的ではないと言えます。

そのため、貸付金は可能と考えられます。

“Article 8… Individuals and organizations other than credit institutions are prohibited from conducting banking operations, except escrow, purchase and sale of securities by securities companies. 

Banking operations means the trading in andregular provision of one or some of the following services:

…b/ Credit extension…means an agreement allowing an organization or individual to use a sum of money or a commitment allowing the use of a sum of money on the repayment principle by such professional operations as lending, discount, financial leasing, factoring, bank guarantee and other credit extension operations.…”

No 47/2010/QH11

ベトナム財務省の規定

ベトナム財務省(MOF)が発行する規定によれば、金融業以外の企業が貸付取引を前提として行うと読み取れる文言があります。

つまり、企業間の貸付を認めているということになります。

Article 4. Modes of payment in mutual borrowing and lending activities between enterprises other than credit institutions

1. When carrying out mutual borrowing and lending activities, enterprises other than credit institutions (enterprises not established, organized and operating under the Law on Credit Institutions) shall apply the modes of payment specified in Clause 2, Article 3 of this Circular.

No. 09/2015 / TT-BTC

 

実務上は?貸付金をしている会社はあるか?

では、実務上はどうでしょうか?ベトナムでは、ここが気になりますよね。

実務上も、貸付を行っているケースは存在します。

貸付する際の留意点

2つあります。

  • 利率
  • 送金方法

利率は、20%を超えないこと

Article 468, civil law No 91/2015/QH13に以下の記載があります。

…In case the parties have an agreement on an interest rate, the agreed interest rate must not exceed 20% / year of the loan, unless otherwise prescribed by law …”

ただ、20%なんて利息で決定することはないので、ここが実務上、問題になることはありません。実際には、マーケットの利率を参照にします。さまざまなウェブサイトでわかります。

送金方法は、銀行送金のみ

貸付金を送金する際には、銀行送金などの現金(キャッシュ)以外の方法で実施する必要があります。

※実際の細かい留意点については、担当の銀行に確認する必要があります。

⭐️本日のまとめ⭐️

本日は、金融以外の企業(製造とか、商社)が、ベトナムにおいて貸付金を実施できるのか?という点で解説しました。

  • 貸付は可能
  • 利率の合理性
  • 送金は銀行口座を通じて行う

こちらについて少しでも参考になれば幸いです。