こんにちは、公認会計士の菅野です。
ベトナムでビジネスされている方の頭痛の種とはなんでしょうか?ベトナムは魅力的な国ですが、いいことばかりとは当然ですが限りません
- 進出する際の役所とのゴタゴタ
- 事業計画が作成できない
- 従業員の定着率
- キックバック等の不正
- 情報漏洩や裏切り
などいろいろあります。
その中でも、ベトナム税務調査の指摘サプライズはトップ3くらいに入るくらいの悩みになるでしょう。なぜならば、キャッシュにも影響を及ぼしますし、その金額が大きくなる場合があるからです。
私は、日本で監査法人の中で7年、インドで自動車関係の会社で財務責任者として3年、ベトナムのマナボックスというコンサルファームで4年間、「税務」という点に向き合ってきました。
本日は、ベトナムの社長であるあなたがベトナム税務についてどう向き合うべきか?税務調査についてどう考えるべきか?について私の考えをお伝えしたいと思います。税務調査の概要については以下にまとめてありますのでそちらが参考になると思います。
この記事のもくじ
ビジネスの本業が中心、守りは最低限を固める
これが、私なりの結論です。これが軸です。
一番大事なのは、あなたの会社のビジネスを優先する必要があります。もっと具体的に言うと以下の通りです。
- 今の売上のために何をするか?
- 将来の売上のために何をするべきか?
言い換えると、“攻め”の経営だと思います。
一番ダメな例を言いますね。正直、こういう人は今後厳しいと思います。なぜならば、今のままだと日本経済の衰退が始まっていくからです。偉そうですいません。やはり、トップは、本業に集中するっていうのが大事です。
時間を管理業務(税務などにも)にほとんどを使っている
細かいことばかり気にしてしまう。機会原価という
- ファイナンス思考(会計リテラシー)が欠如している。
「税務調査で理不尽なことを言われたら、とことん戦ってやる」みたいな喧嘩腰の人も、私から言わせると「いけてない人」にカテゴリされてしまいます🙇♀️
ベトナムの税務調査対策、“守り”はとても重要
とは言いつつ、守りの「税務調査対策」はとても重要です。その理由は以下の通り。
- キャッシュを失うという痛い目を見るから
- 企業価値が下がるから
それぞれ解説していきます。
キャッシュを失うという痛い目を見るから
ベトナムの税務調査をあまく見てはいけません。きちんと対策しないと、大変なことになります。利息を含んだ追徴課税が、数千マン円!億!?
以下の記事を参照ください。税務調査の怖さを理解できると思います。
めっちゃ怖くないですか?数年かけて積み上げた利益が、一気に吹っ飛ぶなんて可能性もあります。
言い換えると、必要のなかった、そして、多額のキャッシュを失ってしまうということです。キャッシュは、はっきり言ってめちゃくちゃ大事です。キャッシュは人間の体に喩えると血液です。なくなったら、死んでしまうから一番大事なのです。
もう一度言いますね。「キャッシュは大事」です。人生お金じゃないよっていう人いるんですけど、それは100%経営してきたことがない人の発言です。
やっぱり重要なんですよね。キャッシュ不足を防止することが大事です。
企業価値そしてあなたの価値が長期的に見て下がるから
- 「ベトナムでは、〇〇を申告しないなんて、あたりまでしょう」
- 「ローカル企業では、こうですよ。大丈夫でしょ!」
- 「あそこの会社もやってるんだから、いいでしょ」
という会話を聞くことが、たまにあります。しかし、正直申し上げましてこの会話も「イケテナイ」です。
なぜならば、ファイナンス的な思考が抜けているからです。つまり、短期的な視点なんですよね。
税務コンプライアンスをきちんと遵守していないとどうなるか?
- コンプライアンス違反により、世間の評判が下がる。
- 信用が落ちて、取引のチャンスを失う。
特に、日本で上場などを目指している場合は危険です。コンプラ違反している会社はIPOできない可能性が高まります。それ以前にベトナムでビジネスをさせてもらっている以上、コンプランアンスをしてない会社は話にならないと思います。
また、明からさまな税務コンプライアンス違反している場合、それは、信用を失い、結果的に売上(キャッシュ)を減らすことになるからです。
お金のやりとりとは、言ってしまえば、「信用」のやりとりです。信用・信頼があるからこそ、お金のやりとりが発生します。信用があるからこそ、それが、お金に変わるのです。それが、税務コンプライアンス違反で、信用を失うとなれば、当然お金を稼ぐこともできません。
- 信頼・信用→お金
- 信頼・信用を失う→お金も失う
信用を積み上げるのはコツコツ、失うのは一瞬。本当にそうなんですよ。
もう少し砕いていうと、もし、大事な法律を守れないなら、その国のことを語る資格がないのかななんて思います。
とは言え!この辺のバランスは、難しい場合はあります。嘘!なのかストーリーを作って説明するのか?の境目は、個人的に意見が異なります。(この辺の詳しい話は、文章化できないのです)
ちなみに、私の基準は、
Don’t be evil(邪悪になるな)
Googleの行動規範と同じですね。邪悪、悪い人でない。という基準でストーリーを作るということは、いいと信じています。
ベトナムの経営者はベトナム税務とどう向きあうべきか?
では、あなたがどう向き合うべきでしょうか。こちらも、私の経験からの意見です。
- お金のリテラシーを持つ(会計リテラシー)
- リスクを認識した上で、対策して、諦める
この2つですかね。
お金のリテラシーを持つ。
これ大事です。やっぱり、お金の知識は大事です。
- 財務3表のつながりの基礎
- 数値感覚(現場と会計がリンクする感覚)
歴史を振り返っても、成功している会社や魅力的な会社の社長はこれがあります。
税務リテラシーも、同じですよね。お金のリテラシーが必要です。
・損金不算入になったらどうなのか?
・付加価値税の構造
・個人所得税の税額
など、
その上で、税務の指摘されやすくて大きなところを予めイメージすることが大事です。認識する。
>>ベトナム税金 コラム第5回「ベトナム税務調査概要④ リスクマップ図」
あとは専門家にまかして、認識し、対策し、諦めちゃう
以下の3つのステップです。
- 専門家にまかせる
- 認識する。準備する。
- 諦めて本業に集中
それぞれ解説します。
専門家にまかせる
会計事務所などのコンサルの力をかりるです。
たまに全部自前でやろうとして、それこそ、数千マン円の追徴課税等を払うことになった事例もあります。
プライドなどもあるかもしれません。気持ちわかります。私も駐在員でしたので。ただ、コンサルファームは、事例や専門知識を得るために物凄い時間を使っています。
これを利用しない手はないんですね。利用しちゃいましょ!
ベトナムの税務リスクを認識する
専門家などを利用し、事前にベトナム税務リスクを認識します。これが大事です。
事前に認識しているのと、認識せず、税務調査でサプライズ。
この差はかなり大きいのです。罰金対策もそうですが、精神的なダメージも大きいのです。
日本本社の社長や上司からの厳しいお言葉。終日、打ち合わせ…。
めっちゃ辛いですよ。
なので、事前に認識して、予め本社と共有しておく。
これがベストです。
諦めちゃう。そして、本業に集中!がベスト
ベトナムの税務のリスクを認識したうえで、諦めて本業に思いっきり集中。
これが大事かなって思います。
ベトナムの税務は、「論理と感情」から成り立っています。まるでマーケティングですよね。そして、ポイントは「感情」があると言う点です。エモーションです。
つまり、扱いが難しいのですね。正解がありません。
なので、変にあなたが、ムキになってしまい、あなたの時間を「数百時間」を失ってしまうっていうのは正直賢くないのかなって思います。
10年後はわかりませんが、多少の理不尽は受け入れた方が、長期的な目線で、見ると合理的に正しい意思決定だと思います。
⭐️本日のまとめ⭐️図解あり!
本日は、ベトナム税務調査と経営の関係というテーマでお話させて頂きました。時間は有限です。もはや、タイム イズ マネーではなく、タイム イズ ライフです。
図解もしますね。
あなたがベトナム税務のリスクをきちんと理解し、評価した上で、判断できることを祈っております。
それではまた!