こんにちは、マナボックスの菅野です。

海外で経営をしていての一番の悩みとはなんでしょう?

おそらく、その一つとして、「キックバック」があるのではないでしょうか?ベトナムも含め、新興国では、ほぼ、起きていると言っていいと思います。

特に不正という意識もなく、当事者は行っているケースがほとんどです。

「当然の権利でしょ」「他の人もやってるんだから私もやる」

こんなニュアンスかもしれません。

ただ、キックバックのスキームを理解していない人もいますし、フワってしている人もいます。買い手?売り手?どっちだっけ?みたいに混乱するんですよね。

そこで、本日は、キックバックについてわかりやすく解説していきたいと思います。

典型的なキックバックとは?

登場人物は以下の通りです。

事例と図解でキックバックを理解する

  • A社売り手
  • B社買い手(購買担当者)

もう少し、砕いて表現すると…

  • どうしてもモノやサービスを売りたい人
  • それを買う人(いい条件なら買ってあげてもいいと思っている人)

こんな感じです。お気づきかもしれませんが、キックバックが発生する構図として、「買い手」の力関係が強い場合に発生します。

「いい条件なら、購入してあげてもいいよ〜」という上から目線です。

余談ですが、購買担当者として、期間が以上に長い。取引先(購買先)を変えようとすると、異様に嫌がるような場合は、とても怪しいと言えます。

具体例と図解で理解を深めましょう。

A社、売り手:1,000の商品を売りたい

B社、買い手の購買担当者:キックバックが欲しい。1,200で発注するから、200をバックしてくれ。

図解にするとこのような感じになります。

もう一歩、踏み込んで会計処理や税務上の論点まで、踏み込んで見ましょう!

買い手の会計処理

買い手の場合、1,200というお金を会社から支払っています。そのため、1,200という購入(費用)が計上されます。

一方で、200というのはあくまで、個人が受け取っています。通常、キャッシュがほとんど。そのため、B社はこの200に対しては記帳されませんね。

B社の影響としては、1,000で購入できるものを、1,200で購入したという影響があります。あなたがB社の社長であれば、たまったもんじゃありませんよね。

売り手の会計処理と税務上の論点

売り手の会計処理を整理しましょう。

A社は、1,200で販売しているので、1,200の売上が計上されます。その後、200を支払っているので、この分の会計処理が必要です。売上割戻や売上値引き、販売管理費が妥当なのか?を判断する必要があります。

帳簿の現預金及び小口現金と実際の現預金及び小口現金を照合するのであれば、必ず、この200について会計処理が必要になります。そうするとこの200の損金に算入されるか?否か?という点について論点が生じそうです。

親戚ぐるみのキックバック

あとはこのパターンもあります。親戚など共謀者を含めたキックバックです。

事例と図解で親戚ぐるみのキックバックを理解する

登場人物は以下の通りです。

  • Aa社、売り手1 :正規の業者
  • Ab社、売り手2:買い手の購買担当者の親戚
  • B社、買い手:購買担当者

このような感じです。ポイントは、B社とAb社の人が親戚関係にあるという点です。B社を利用して儲けよう!という企みがあるケースです。

具体例と図解で理解を深めましょう。

  • Aa社、売り手1 :正規の業者(普通の市場価格の1,000で販売しますね)
  • Ab社、売り手2:買い手の購買担当者の親戚(よし、売上を増やして一緒に儲けよう。そうすれば、お金を共有できる)
  • B社、買い手:購買担当者(B社はお金あるから3,000でも大丈夫)

図解すると以下のようになります。

これももう一歩、踏み込んで会計処理を確認していきましょう。

買い手の会計処理

買い手であるB社は、3,000というお金を会社から支払っています。そのため、3,000という購入(費用)が計上されます。

B社の影響としては、1,000で購入できるものを、3,000で購入したという影響があります。そう言った意味では、2,000の損失が発生していますね。

売り手Ab社の会計処理

買い手の購買担当者の親戚であるAbの会社ですね。こちらは、1,000で購入して3,000で販売しているので2,000の儲けです。これを親戚の間で共有するこということが予想できますよね。

売り手Aa社の会計処理

Aaの会社です。こちらは、マーケットプライスの1,000で販売したという会計処理になります。

3社が絡む場合のキックバック

加えて、このパターンもあります。3社以上が関わるケースですね。

事例と図解で3社が絡むのキックバックを理解する

登場人物は以下の通りです。

  • C社、売り手1 :販売者
  • B社、売り手2:C社から仕入れてA社に販売
  • A社、買い手:購買担当者

ポイントは、3社が存在するという点と、買い手の力が強い前提があるということです。

具体例と図解で理解を深めましょう

  • C社、売り手1 :販売者(キックバックもほしい。市場価格1,000を3,000でいったん売るけど2,000はB社にキャッシュで渡します。その後、一部キックバックしてほしい)
  • B社、売り手2:C社から仕入れてA社に販売(どうしてもA社に販売したい。C社から3,000で仕入れ)
  • A社、買い手:購買担当者(キックバックが欲しい、4,000で購入するからなんとかして)

図解は以下の通りです。

そしてこれ、踏み込んで会計処理まで見ましょう!

買い手の会計処理

買い手であるA社は、4,000というお金を会社から支払っています。そのため、4,000という購入(費用)が計上されます。

一方で、1,400というのはあくまで、個人が受け取っています。そのため、A社にとっては、帳簿譲、直接は、影響ありません。

ただ、A社の影響としては、市場価格1,000で購入できるものを、4,000で購入したという影響があります。すなわち、3,000という損害を被っているというわけですね。

売り手B社の会計処理

真ん中の会社です。

まず、A社に4,000で販売していますからこれが収益として計上されます。そして、3,000で仕入れていますから、3,000というコストが計上されますね。そのため、会計帳簿上は4,000と3,000の差額である1,000が利益として計上されます。

一方で、C社から2,000のキックバックを受け取っていますが、通常はキャッシュであることがほとんどであるため、帳簿外のキャッシュが存在することになります。そして、この中から、A者の購買担当者に1,400を共有し、100をC社の担当者に渡すという可能性が考えられます。

売り手C社の会計処理

最後にC社ですね。

こちらは、3,000で販売しているので、3,000の収益が計上されます。そして、2,000をB社に渡しているので、原則として、その分を費用または値引きとして会計処理をする必要があるはずです。そして、2,000については、損金算入されるか?という論点は生じます。

100は個人がもらっているため、C社の会計処理には影響ありません。

本日のまとめ

本日は、特に海外におけるキックバックのスキーム を詳しく解説させて頂きました。

売り手の気持ちや買い手の気持ちの背景を考えると理解しやすくなると思います。

「売りたい、関係性を維持したい」

「お金がほしい」

こんな感じです。

キックバックのリスクは、多岐に渡ります。ちょっと詳しくはここでは言えないのですが…。

そのため、本気で留意する必要があります。

あなたの会社が、キックバックのスキームを理解して、犯罪に巻き込まれないことを祈っていますね。それでは、また!