こんにちは、マナボックス の菅野です。

本日は、ベトナム企業法の「定款」の記載事項についてまとめていきます。

この記事はこんな人のために書いています。

ベトナム進出を考えている。進出する予定で、「定款」の記載事項について悩んでいる。

ベトナム企業法における定款記載事項は、「必要的記載」と「任意的記載」分類されます。

ベトナム法務の専門家のリー氏の意見も聞きながら解説していきます。

2007年から、14年間で、日系企業を中心に述べ300社以上の会社を支援。日本語のネイティブのベトナム法律の実務に精通している専門家。

法律だけでなく、実務にも精通している。

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ベトナム企業法における「定款」で必要記載事項

日本の会社法で言うと「絶対的記載事項」に該当するものです。

Ly さん
Ly さん
ベトナム企業法の24条に「必要的記載事項」が記載されています。これに基づき実際の定款も作成していきます。
  1. 会社の本店の名称,住所。支店及び駐在事務所の名称及び住所
  2. 経営分野,業種。
  3. 定款資本、有限責任会社については,それぞれの社員の持分及び持分の価額
  4. 有限責任会社の社員の権利及び義務
  5. 管理組織機構⭐️
  6.  企業の法定代表者の人数,管理職名及び権利,義務。法定代表者が複数の場合は,法定代表者の権利,義務の分掌
  7. 会社の決定の採択方式。内部紛争の解決原則。
  8. 管理者及び監査人に対する給与,報酬,及び賞与の確定根拠及び方法。
  9. 社員が会社に対し,有限責任会社については持分の買取りを請求する権利を有する場合
  10. 税引後の利潤の分配及び損失処理の原則
  11. 会社が解散する場合,解散の手順及び財産の清算手続
  12. 会社の定款の修正,補充の方法

それぞれ解説してきます。

1: 会社の本店の名称,住所

ベトナム法人の会社の名前及び住所

電話番号なども記載します。

ベトナム語、英語、省略バージョンで会社名を記載します。

2: 経営分野、業種

事業内容、ライセンスが記載されます。事業コードや主な事業も記載

とても重要な情報です。

3:定款資本、それぞれの社員の持分及び持分の価額

投資家(社員)の情報と資本金の金額及び社員の持分情報

投資家が、会社であれば、

  • 企業の名称
  • 履歴事項全部証明書
  • 発行日
  • 発行官庁
  • 本社の住所
  • 電話番号

などが記載されます。

払込資本金は、ドン、USD、JPYで記載されます。

補足

定款資本の変更がある場合についても記載される。
例えば、定款資本金通りに現預金が拠出されない場合や増資がある場合

4:有限責任会社の社員の権利及び義務

有限会社の投資家(社員)の権利及び義務の記載

こちらは企業法をベースに記載します。

第 76 条 会社所有者の権利

1.組織である会社所有者は,以下の権利を有する。

  • a) 会社の定款の内容を決定し,会社の定款を修正,補充する。
  • b) 会社の発展戦略及び年次経営計画を決定する。
  • c) 会社の管理組織機構を決定し,会社の管理者,監査役を任命,免任,罷免する。 d) 発展投資プロジェクトを決定する。
  • đ) 市場の開発,マーケティング及び工業技術に関する対策を決定する。
  • e) 会社の直近の財政報告書中に記載された財産の総額の 50 パーセント以上の,又は会社の定款に定めるそれよりも小さな割合若しくは価額以上の価額の借入れ,貸付け,財産売却及びその他の会社の定款が規定する各契約を承認する。
  • g) 会社の財政報告書を承認する。
  • h) 会社の定款資本の増額を決定する。会社の定款資本の一部又は全部を他の組織,個人に譲渡する。社債発行を決定する。
  • i) 子会社の設立,他の会社への出資を決定する。
  • k) 会社の経営活動を監察し,評価する。
  • l) 納税義務及びその他の財産的義務を果たした後の会社の利益の使用について決定する。
  • m) 会社の再編,解散及び破産の申立てを決定する。
  • n) 会社が解散又は破産を終えた後の会社の財産価額全部を回収する。
  • o) この法律及び会社の定款の規定に従ったその他の権利を有する。

第 77 条 会社所有者の義務

  • 1.会社の定款資本を全額,期限どおりに出資する。
  • 2.会社の定款を遵守する。
  • 3.会社所有者の財産と会社の財産を特定し,分別しなければならない。個人 である会社所有者は,その個人及び家族の出費と会社の会長,社長又は総社 長の各出費を分別しなければならない。
  • 4.会社と会社所有者との間の売買,消費貸借,賃貸借,その他の契約,取引 は,契約に関する法令及び関連を有する法令のその他の規定を遵守しなけれ ばならない。 5.会社所有者は,定款資本の一部又は全部を他の組織又は個人に譲渡する方 法によってのみ,資本を引き出すことができる。その他の形式により会社に 出資した定款資本の一部又は全部を引き出した場合,会社所有者及び関連を 有する個人,組織は,会社の各債務及びその他の財産義務について連帯して 責任を負う。
  • 6.会社所有者は,会社が弁済期の到来した各債務及びその他の財産義務を全 額弁済することができないときは,利益を引き出すことができない。
  • 7.この法律及び会社の定款の規定に基づくその他の義務を負う。

引用元:ベトナム企業法

5:管理組織機構(機関設定)

有限会社の機関設計について記載

  • 会長(または社員総会)
  • 社長
  • 法定代表者

会社の機関、いわゆる、組織について記載します。有限会社は、3つのパターンがあります。詳細は以下にて記載しています。

>>ベトナム会社法の有限会社の機関のパターン

6:企業の法定代表者の人数,管理職名及び権利,義務。法定代表者が複数の場合は,法定代表者の権利,義務の分掌

法定代表者の詳細

これは5と関連してきますよね。

社長及び法定代表者の詳細を記載します。氏名、生年月日、パスポート番号、住所などです。

ここで、「管理者名」と記載されています。では、「管理者」とはなんでしょうか?抽象的な意味なので、わかりにくいと思います。

ベトナム企業法によれば、第 4 条で、役職を想定しています。

つまり、経営により関わる役職の人だと考えられます。したがって、〜〜マネジャーなどの「中間管理職」は含まれませんので、この場合は、いちいち記載する必要がありません。

この「管理者」ですが、いわゆる社長・法定代表者以外について、わざわざ定款に記載する必要はないのですが、ワークパーミットの取得(専門家)の関係で、定款の付録などを作成する必要があるかもしれません。

>>【ベトナム労務解説】外国人労働者の労働許可証に関するDecree152を解説【実務で混乱?】

第 4 条 用語の解釈

  • 「企業の管理者」とは,私人企業の管理者及び会社の管理者をいい,
  • 私人企業主,
  • 合名社員,
  • 社員総会の会長,
  • 社員総会の構成員,
  • 会社の会長,
  • 取締役会の会長
  • 取締役,社長又は総社長及び
  • 会社定款の規定に従ったその他の管理職の地位にある個人をいう。

7:会社の決定の採択方式。内部紛争の解決原則

会社の決定の採択方式。内部紛争の解決原則を記載します。

企業法に基づいた文言が記載されます。

8:管理者及び監査人に対する給与,報酬,及び賞与の確定根拠及び方法

  • 会社は、経営の結果及び効率性に基づき、社員総会の会長、社長又は総社長及びその他の管理者に報酬、給与及び賞与を支払う。

役員に関する報酬です。

9:管理者及び監査人に対する給与,報酬,及び賞与の確定根拠及び方法

  • 社員が会社に対し,有限責任会社については持分の買取りを請求する権利を有する場合

企業法に基づいた文言が記載されます。該当あれば記載しますが、基本的にないので記載しません。

10:税引後の利潤の分配及び損失処理の原則

  • 税引後の利潤の分配及び損失処理の原則

企業法に基づいた文言が記載されます。利益の分配、債務の負担原則の方針が記載されます。

11:会社が解散する場合,解散の手順及び財産の清算手続

  • 会社が解散する場合,解散の手順及び財産の清算手続について

企業法に基づいた文言が記載されます。

12:会社の定款の修正,補充の方法

  • 会社の定款の修正,補充の方法

企業法に基づいた文言が記載されます。定款は、設立申請の際に、提出する必要がありますが、その後は、変更しても、特に役所に提出する必要がありません。変更する場合、変更後の定款について、所有者である社員が押印した上できちんと保管する必要はあります。

定款の「任意的記載事項」

任意的に定款に記載する事項として望ましい事項一部は以下の通りです。

第 49 条 社員総会の構成員の権利この条第 1 項に規定するもの以外に,定款資本の 10 パーセント以上若しく は会社の定款に定めるそれよりも小さな他の割合を保有する,又はこの条第 3 項に規定する場合に属する社員,社員のグループは,以下の各権利を有する。

第51 条 持分の買取り

第55 条 社員総会

第56 条 社員総会の会長社員総会の会長が不在又は自己の各権限を行使し,義務を履行することが できない場合,会社の定款に定める原則に従って,社員総会の会長の各権限 の行使及び義務の履行を書面により一人の社員に委任し

第 58 条 社員総会の会合の実施要件及び方式一回目の会合がこの条第 1 項に規定する実施要件を満たさなかった場合で, 定款に異なる規定がない場合,社員総会の会合の招集は,以下のとおり実施 する。

59 条 社員総会の決議,決定会社の定款に異なる規定がない場合,以下の各事項に関する決定は,社員 総会の会合における議決により採択されなければならない。

会社の定款に異なる割合の規定がない場合,会合での社員総会の決議は, 以下の場合において,採択される。

第 61 条 書面による意見聴取の形式による社員総会の決議,決定の採択手続 仮和訳者 弁護士 塚原 正典 46 会社の定款に異なる規定がない場合,決議,決定を採択するための書面によ る社員の意見聴取の権限及び方式は,以下の規定に従い行われる。

第 62 条 社員総会の決議,決定の効力  1.会社の定款に異なる規定がない場合,社員総会の決議は,採択された日又 は当該決議,決定に記載された効力発生日から施行効力を有する。

第 63 条 社長,総社長2.社長又は総社長は,以下の各権限及び義務を有する。 d) 会社の内部管理規則を発行する。ただし,会社の定款に異なる規定があ る場合を除く

第 76 条 会社所有者の権利e) 会社の直近の財政報告書中に記載された財産の総額の 50 パーセント以上 の,又は会社の定款に定めるそれよりも小さな割合若しくは価額以上の価 額の借入れ

第 79 条 組織が所有する一人社員有限責任会社の管理組織機構会社の定款に異なる規定がない場合,社員総会,会社の会長,社長又は総 社長の組織機構,活動,職務,権限及び義務は,この法律の規定に従う。

第 80 条 社員総会3.社員総会の会長は,会社の定款に定める手順,手続に従って会社所有者に より任命され,又は社員総会の各構成員により多数原則により選任される。 会社の定款に異なる規定がない場合,社員総会の会長の任期,権限及び義務 は,この法律の第 56 条の規定及び関連を有するその他の規定に従う。 4.社員総会の会合の招集権限,方式は,この法律第 57 条の規定に従う。 5.社員総会の会合は,社員総会の構成員総数の少なくとも 3 分の 2 が出席するときに行われる。会社の定款に異なる規定がなければ,それぞれの社員総会 の構成員は一票ずつ同等の価値の議決票を有する。社員総会は,書面により 意見を聴取する形式により決議,決定を採択することができる。

6社員総会の決議,決定は,採択された日又は当該決議中に記載された   発効日から効力を生ずる。ただし,会社の定款に異なる規定がある場合を除 く。

第 81 条 会社の会長会社所有者の各権利の行使及び義務の履行に関する会社の会長の決定は, 会社所有者の承認を得た日から効力を生ずる。ただし,会社の定款に異なる 規定がある場合を除く。

86 条 会社と関係者との契約,取引 1.会社の定款に異なる規定がない場合,組織が所有する一人社員有限責任会 社と以下の者との間の契約,取引は,社員総会又は会又は会社の会長,社長又は総 社長及び監査役により承認されなければならない。

会社の定款に異なる規定がない場合,社員総会の構成員又は会社の会長, 社長,総社長及び監査役は, 契約,取引の承認について通知を受けた日から 10 日以内に多数原則,一人一票の原則に従って決定しなければならない。各 当事者の関係者は,議決権を有しない。