本記事では、ベトナムでよくある質問についてFAQという形で提供していきたいと思います。

よく頂く質問の回答のデータベースとしてご利用ください。随時アップデートしていきます。一部の回答については実務上の論点や意見が分かれる論点となっていることからマナラボ のコンテンツにしております。そのためログインする必要があります。

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ベトナムの手当について

Q:ベトナムの手当で個人所得税や社会保険の対象とならない手当を教えてください。

A:食事手当等が代表的です。

>>M-Lab_手当等で個人所得税と強制保険(社会保険など)を合理的に減らす方法 9つ列挙してみた【実務上の留意も解説】

ベトナムの退職金について

Q:ベトナムの退職金について教えてください。

A:原則として発生しません。しかし、例外があります。

>>【ベトナム労働法】「退職金」についてこんな勘違いをしていませんか?

ベトナムの有休休暇について

Q:有給休暇の留意点について教えてください。

A:以下の点に留意しましょう。

  • 買取請求がある(原則、退職時のみ)
  • 試用期間中は発生しない。
  • 1年で12日。1年未満でも1ヶ月ごとに1日付与
  • 勤務期間1 ヶ月未満の場合の年次有給休暇日数の計算は、50%以上であれば1ヶ月(1日取得)となる

日本のように6ヶ月間連続勤務などの条件はありません。

出張でも労働許可証が必要ですか?

Q:本社から出張させることになりました。労働許可証は必要ですか?

A:法律によれば、1回のベトナム滞在期間が30日以下かつ入国回数が年3回までの出張者は免除が加納です。(入国日からの1年間)

政令152/2020/ND-CP

したがって、2週間程度の出張を年に3回であれば労働許可証は必要ありません。

ベトナムの就業規則「作成や提出の義務」

Q:ベトナムでは就業規則が必要だと聞きました。こちらは義務ですか?

A:作成する必要はありますが、登録等の義務は条件によります。当局への就業規則の登録は10人以上の場合に必要となることについて旧法と変更ありません。

第118条 就業規則

1.使用者は就業規則を発行しなければならず,10人以上の労働者を使用する場合は,就業規則は書面でなければならない。

引用元:ベトナム2019年労働法45/2019/QH14

 

秘密保持契約について

Q:ベトナムの秘密保持契約の概要を教えてください。

A:旧法である法令第05 / 2015 / ND-CPの第27条4項よりも、秘密保護の実現可能性が高まるような規制となっています。

2. 就業規則は、労働法や関連法と矛盾してはならない。就業規則の主な内容は以下の通り。

d) 雇用者の資産、企業秘密、技術秘密、知的財産の保護。資産、文書、技術上の秘密、ビジネス上の秘密、知的財産のリスト、責任、その保護のための措置、これらの資産や秘密に対する侵害の定義。

引用元:法令第145/2020 / ND-CP第69条2項đ

Ly さん
Ly さん
機密情報保持については規定だけでなく、トレーニングなどを通じて、なぜ、会社の情報が大事なのか?を啓蒙する必要もあります。

ベトナムの労働契約書の個人の情報の留意点

Q:ベトナムの労働契約書で労働者の情報についての留意点を教えてください。

A:市民カード,人民証明書の情報に基づき、住所もきちんと記載することが望ましいです。

Ly さん
Ly さん
こちら、きちんとIDカードの情報と照合することをオススメします。


第21条 労働契約の内容

1.労働契約は,以下の主要な内容を有さなければならない:

a) 使用者の名称,住所及び使用者側で労働契約を締結した者の氏名,職名;

b) 労働者側で労働契約を締結した者の氏名,生年月日,性別,居住地,市民カード,人民証明書又はパスポートの番号

引用元:ベトナム2019年労働法45/2019/QH14

ベトナムの労働契約書、社長の場合

Q:社長の労働契約書の場合、雇用主と雇用人が同じになってしまいます。問題ありますか?

A:■選択肢1、出資者である日本の親会社を雇用主とする

■選択肢2、会長が雇用主となる

Ly さん
Ly さん
二つの選択肢があります。

>>あなたがベトナムの会社の社長で労働契約書を作成する時の留意点

ベトナムの健康診断について

Q:ベトナムでは健康診断が義務と聞きました。本当ですか?

A:はい。法律によれば必要です。実務的にも年に一回診断している日系企業がほとんどです。

Law No. 84/2015/QH13

Article 21. Health check-ups and treatment for occupational diseases applicable to employees

1. Annually, an employer shall organize health check-ups at least once a year for employees; and health check-ups at least twice a year for employees doing heavy and harmful jobs and disabled, underage and elderly employees.

Article 21 of the 2015 Law on Occupational Safety and Health stipulates:

– The enterprise must organize a health check-up at least once a year; – Against people doing heavy, hazardous or dangerous occupations or jobs, or particularly heavy, hazardous or dangerous jobs; People with disabilities; juvenile workers; employees are entitled to a health check-up at least once every six months. Are medical examination fees included in PIT taxable income? Send Message personal income tax

Are medical examination fees included in PIT taxable income?

Enterprises with good welfare regimes can organize health check-ups for employees more than the number of times prescribed by law. Enterprises that fail to organize periodical health check-ups may be fined under Decree 88/2015/ND-CP from VND 10,000,000 to VND 30,000,000.

第152条 被雇用者の健康の確保

1. 雇用者は、業務の種類ごとに規定されている健康基準に基づいて、採用と業務の割り当てを行わなければならない。 2. 雇用者は毎年、被雇用者と職業訓練生に対し、定期健康診断を実施しなければならない。女性の被雇用者には産婦人科の検診を実施しなければならない。重労働や有害な業務に従事する被雇用者、障害者・未成年・高齢の被雇用者に対しては、少なくとも 6 カ月に1回健康診断を実施しなければならない。

引用元:2012年ベトナム労働法

ベトナム労働法による残業時間について

Q:ベトナムでは健康診断が義務と聞きました。本当ですか?

A:はい。日本とは異なりますので留意が必要です。

>>【ベトナム労務】ベトナムの労働時間と残業時間・残業代の具体的な9つのパターンとは?【図解あり】

Ly さん
Ly さん
よく200時間という点で論点が生じます。

>>M-Lab_【ベトナム労働法】ベトナム残業時間200時間の問題の実務的な解決方法【実務的なノウハウ!】

ベトナム労働法による残業時間の上限について

Q:ベトナムでは労働法によって残業時間の上限が定められています。こちらについて教えてください。

A:はい。原則として200時間ですが、例外で業務・業種によっては年間 200 時間以上 300 時間以内の時間外勤務が認められています。旧労働法(2012)よりも範囲が広がっています。

新労働法および、政令 145/2020/NĐ-CP 号が根拠となります。

■労働法第107条第3項a号、b号、c号、d号

以下の産業分野,業種,業務又は場合の一つにあたる場合,使用者は1年間に300時間を超えない時間外労働を労働者にさせることができる;

  • a) 繊維,縫製,皮革,靴,電気,電子,農産物加工,林業,塩業,水産の製品の生産,輸出加工;
  • b) 電気の発電,供給,電気通信,石油精製; 給排水;
  • c) 高度の専門,技術水準が求められる業務で,労働市場が適時に十分な労働者を供給できないものを解決する場合
  • d) 原料,製品の適切な時期により,又は事前に予想できない客観的要素により緊急で,遅延させることができない業務を解決する場合,又は天候不順,自然災害,火災,妨害,電力不足,原料不足,生産チェーンの技術的事故により発生する業務を解決する場合;
  • đ) 政府が規定するその他の場合。

■政令 145/2020/NĐ-CP 号の61項

  • 労働法第 108 条に定める場合を除き、国家機関および単位の業績に直接関連する客観的要因によって、業務が緊急であり、遅延することができない場合。
  • 公共サービス、医療サービス、教育および職業訓練サービスの提供。
  • 通常の労働時間が週44時間を超えない企業における生産および業務運営業務。

給与計算シートの「稼働日」と「単価」について

Q:ベトナムの給与計算シートの「稼働日」と残業代を計算するための「単価」について教えてください。会社によって異なるのでしょうか?

A:「稼働日」は企業の就業規則による。「単価」に含まれる給与も会社のルールによります。ただし合理的であることが必要です。

残業代金などを計算するときに「稼働日」の情報が必要になります。というのはそれを計算するための時間あたり「単価」は「給与等」➗「稼働日(実際には時間も考慮)」で計算するからです。そして、この「稼働日」は労働法(祝日)と企業の就業規則によって計算されます。例えば月曜日から金曜日の会社であれば週の稼働日は5日となりますよね。そうでなく金曜日から土曜日であれば週6日として月の稼働日を計算します。

次に計算式の「給与等」➗「稼働日」の「給与等」ですがこれには基本給をベースにして含めるべき手当を考えます。例えば資格手当を含めると会社のルールで決めた場合にはそれも含めます。したがって基本給が10,000,000VNDで資格手当が2,000,000VNDであれば12,000,000VNDを基礎に単価を計算することになります。

ベトナムの副業について

Q:ベトナムの副業について教えてください。

A:副業を禁止することが労働法上で出来ません。日本と異なるので留意しましょう!

第19条 複数の労働契約締結

1.労働者は複数の使用者と労働契約を締結することができるが,締結した契約内容を十全に履行することを保証しなければならない。

引用元:ベトナム労働法2019

ベトナムの労働契約について

Q:ベトナムの労働契約について教えてください。契約書は必要ですか?

A:必要です。有期と無期の労働契約があります。例外として1ヶ月未満である場合には、口頭で認められる場合があります。

>>M-Lab_「こんなはずじゃなかった!」労働契約の期間の落とし穴【実務的なお話】

第14条 労働契約の形式

2.両当事者は,この法典の18条2項,145条1項a号及び162条1項が規定する場合を除き,1か月未満の期間の契約については口頭で労働契約を締結することができる。

第20条 労働契約の種類

1.労働契約は,以下の各種類の一つに従って締結されなくてはならない: a) 両当事者が契約の期限,契約の効力終了時点を確定しない,無期限労働契約; b) 契約の効力発生時点から36か月を超えない期間で両当事者が契約の期限,契約の効力終了時点を確定する,有期限労働契約 。

c) 両当事者が締結した新しい労働契約が有期限労働契約である場合,もう一回のみ締結できる。その後,労働者が依然として引き続き働く場合は,無期限労働契約を締結しなければならない。

引用元:ベトナム労働法2019

ベトナムの試用契約について

Q:ベトナムの試用契約について教えてください。期間はありますか?

A:試用期間を定めることができますが、上限が法律で定められています。

第25条 試用期間 試用期間は,業務の性質,複雑さの程度に基づいた両当事者の合意によるが,一つの業務に対して1回のみ試用ができ,以下の条件を保証する。

1.企業法,企業における生産,経営に対して投資する国家資本の管理,使用の法律に従った企業の管理者の業務については,180日を超えない。

2.短期大学17以上の専門,技術水準を必要とする職位の業務については60日を超えない。

3.中級の専門,技術水準を必要とする職位の業務,技術工員,事務職員については30日を超えない。

4.その他の業務の場合は6日を超えない。

引用元:ベトナム労働法2019

ベトナムの賃金支払いについて

Q:ベトナムの給与支払いのルールについて教えてください。日本との違いはありますか?

A:日本と同様と考えて問題ありません。

日本の労働法による給与支払いの5原則である(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならない。と同様の趣旨のルールが定めてあります。

第97条 賃金支払期限

1.時給,日給,週給で賃金を得る労働者は,働いた時間,日,週の後に賃金を支払われる。又は両当事者の合意によりまとめて支払いを受けこともできるが,15日を超えずに,まとめて1回の支払いを得なければならない。

2.月給で賃金を得る労働者は月に1回又は半月に1回,賃金を支払われる。賃金支払時期は両当事者の合意によるが,周期的な一つの時点に決定されなければならない。

引用元:ベトナム労働法2019