こんにちはマナボックスの菅野です。
今日は『ベトナムの残業時間が300時間まで延長』というテーマでお伝えします。
- どんなケースに認められるのか?例外はないのか?決議の趣旨
- 事前手続きが必要なのか?
- いつから有効でいつまで有効なのか?
- 現在の法令(労働法107条と政令 145/2020/NĐ-CP 号)の関係
について理解できます。
この記事のもくじ
残業時間の上限規制を緩和する決議(17/2022/UBTVQH15)のまとめ
まず最初にまとめますね。以下のようになります。
項目 | ベトナム労働法の内容 | 今回の決議17/2022/UBTVQH15 |
範囲 | 【限定的】 107条:以下の産業分野,業種,業務又場合
政令 145/2020/NĐ-CP 号の61項も検討 | 【拡張された】 以下を除く全員 18歳未満や障害のある労働者、危険な業務に従事する人、妊娠7カ月目以降(作業場所によっては6カ月目以降)もしくは12カ月未満の子供を養育中の女性労働者 |
残業時間 | 年300時間 | 年300時間 月60時間 |
適用方法 | 使用者は省級人民委員会に属する労働に関する専門機関に書面で通知 | 左記に加え「同意」 |
以下にてそれぞれ詳しく解説していきます。
No. 17/2022/UBTVQH15の趣旨とは?
- 新型コロナウイルス感染で経済的にネガティブな影響を受けた社会及び経済の回復のため
- 上記から労働者と企業の双方のニーズが合致(人手不足と残業代ほしい労働者、WINWIN)
上記の趣旨を踏まえそれぞれ見ていきましょう。
残業時間300時間を適用できる場合
以下の場合です。
- 一定の場合を除く従業員すべて
- 使用者と従業員の双方が合意した場合
原則合意があれば残業時間の延長可能と理解し、体が弱い場合など残業を強いることが望ましくない場合は不可能と理解するとわかりやすいです。
- a) 15歳以上18歳未満の従業員
- b) 軽度の障害で労働能力が51%以上低下している者、重度の障害または極めて重度の障害を持つ者。
- c) 重労働、危険、有害な作業、または極めて困難、有害、有害な作業に従事する従業員
- d) 妊娠7ヶ月目以降の女性従業員(高地、遠隔地、国境地域、島で勤務する場合は妊娠6ヶ月目以降)。
- dd) 生後12ヶ月未満の子供を養育している女性従業員。
年間300時間まで時間外労働をさせることができる使用者は、使用者と従業員の双方の合意のもと、1ヶ月あたり40時間を超え60時間を超えない範囲で時間外労働をさせることができます。
つまり、年間300時間と月間60時間という範囲内で残業が可能となりました。
>>M-Lab_【ベトナム労働法】ベトナム残業時間200時間の問題の実務的な解決方法【実務的なノウハウ!】
しかし、この決議によると、300時間までの延長について、事業分野が制限されないことになりました。従業員の同意を得て残業計画が決まりましたら、事前に労働局に通知します。許可ではない点がポイントです。
期間について いつからいつまで?
以下の期間について有効です
2022年4月1日から2022年末まで適用
その後、2023年以降の適用については、10月ごろに開催される国会で検討される見込み
残業時間の延長の手続き
以下の手続きが必要です。
使用者(会社)は、労働法第107条4項に基づき省人民委員会の労働当局に書面による通知を送付しなければならない。
つまり、「同意」+「書面」で通知ですね。
4.この3項の規定に従って時間外労働を行う場合,使用者は省級人民委員会に属する労働に関する専門機関に書面で通知しなければならない。
引用元:ベトナム2019年労働法
以下の書類で通知可能だと考えます。実施には労働局の人からアドバイスをもらいながら書類を準備するのがいいと思います。
必要書類: ·
- 時間外労働についての合意書(政令 145/2020/ND-CP 号の附録 IV Format 01/PLIV ) ·
- 年間 200 時間以上 300 時間以内の時間外労働をすることについての通知書(政令 145/2020/NDCP 号の附録 IV Format 02/PLIV )
- 付随の説明資料(例:残業計画表)
本日のまとめ
今日はベトナムの残業時間の延長300時間について解説しました。
- 原則、全員が対象。体が弱い場合などは不可
- 同意と書面の通知
- 2022年4月1日から2022年12月末まで
- コロナによる経済影響への配慮
でした。お役にたてると幸いです。