こんにちは、マナボックスの菅野です。
今日は『ベトナムにおける投資家に対しての配当・利益分配』についてお伝えします。
- 配当・分配の意味、要件とその根拠
- 配当の流れ
- 実務上の論点(相殺や中間配当の実務)
それでは解説していきます。また、本社への資金環流のまとめについては限定記事となりますが、以下でまとめております。
>>M-Lab 日本本社への資金還流の3つの方法を徹底解説【わかりやすいマップ付き】
ベトナム企業法上における定めのまとめ
有限会社(1名・2名及)び株式会社において以下のように定定められています。企業法上、有限会社の場合は「分配」という用語が利用されており、株式会社の場合は「配当」という用語が利用されています。さまざまな企業形態がありますが、有限会社と株式会社について解説します。なお、ベトナムに進出している企業のほとんどは有限会社です。
>>ベトナム統一企業法の会社進出形態の種類を整理する 【まとめ記事】
2名以上有限責任会社 | 1名有限会社 | 株式会社 | |
誰が?決定できる? | 社員総会 2020年企業法第55条 | 投資家(組織・個人) 2020年企業法第76条 | 株主総会 2020年企業法第135条 |
配当金額の条件 | 2020年企業法第55条 【債務弁済能力】 納税義務や法令の規定に基づくその他の財政的義務を果たし、かつ、利益分配後に弁済期が到来する各債務やその他の財政的義務を十分に全額弁済する場合 税務担当官が個別に判断する可能性もあり | 2020年企業法第76条 左記同様【債務弁済能力】 | 2020年企業法第135 条 普通株式に対する利益配当の条件
ただし「優先株式」に対する配当の支払いは、優先株式に個別に適用される状況によって実行される。 |
どのように送金(外国投資家に対して) | DICA(直接投資口座・資本口座)を通して実施 外国投資家による利益配当の受領や利益の海外への送金は、為替管理にかかる法令に基づいた口座を通じなければならない。ただし,財産及び現金ではない形式により払い込む場合を除く。 (2020年企業法第35条)。 | ||
いつまでに? | – | – | 配当は、株主総会の年次総会が終わってより6か月以内 |
なにを? | 現金 | 現金 | 現金や会社の株式、または会社の定款に定めるその他の財産によって支払うことが可能。現金で支払う場合は、ベトナムドンによる。 2020年企業法第135条 |
このようになります。
有限会社における利益分配の流れ
大きくは以下の流れにそって利益分配を実行します。
- 配当可能か?確認する
- 必要な書類を準備して税務当局に提出
- 銀行に送金依頼する。
以下のリンク先で詳細を詳しく解説しています。
>>ベトナムから日本の親会社へ配当・分配する方法の7つのステップを解説します!
中間配当は可能か?年間に複数の配当は可能か?実務上の話
こちらについては以下のリンクで解説します。
>>M-Lab_ベトナムでは外国投資家に対して「中間配当」は可能なのか?法令の根拠と実務の例を解説
債務で配当・分配が可能か?
こまかい論点ですが、以下のリンク先で解説しています。
>>【M_Lab】配当についてのベトナムのオフィシャルレターのマニアックな点を解説してみました。図解あり【親会社にお金なくて、ベトナムにお金が多くある場合、相殺って何?】
今日のまとめ
本日は、配当・分配について解説しました。
- 要件を満たせば可能
- 投資家である社員総会・株主総会が決定
- 外国送金の場合は資本金口座を通して送金
でした。お役に立てれば幸いです。