こんにちは公認会計士の菅野です。
本日のテーマは『歌手に仕事を依頼した場合の個人所得税の金額』というテーマでお伝えしたいと思います。
ベトナム市場を開拓するために、歌手や役者に仕事を依頼することもあると思います。その時にどうしても気にしなければいけないのがベトナム税務のことです。報酬を支払うとそれは所得だからどうしてもこの論点がでてきてしまうのですね。
なおベトナムではよくKOLという言葉使われているようです。これは、メディアよりも発信力を持つようになったインフルエンサーのことを指すようです。KOL (Key Opinion Leader = インフルエンサー)ですね。
現在はテレビなどのメディアでなく、「個人の力」が大きくなりました。企業も個人に対して「雇ってあげている」から「どうか力を貸してくれませんか」という構図が強くなるはずです。
DJ社長の令和の虎のプレゼンが非常に勉強になります。
この記事のもくじ
歌手や俳優などのKOLに支払った報酬の個人所得税の取り扱い
以下の3つのパターンで歌手や俳優に依頼するケースが想定できます。
- 個人的にお願い
- 個人事業主にお願い
- 企業にお願い
この3つです。それぞれ解説していきます。
1/ ビジネス個人ではない歌手や俳優
ビジネス個人ではない歌手や俳優と直接広告サービス契約を締結する場合は以下のような取り扱いになります。
給与総額から10%を源泉徴収(居住者の前提)
です。
給与に準じた書類(契約書、支払い書類など)と「FORM01 / CIT」を作成して、企業側が源泉徴収して申告します。
2/ 事業者登録をしている歌手や俳優と直接広告サービス契約を結んだ場合
これは以下に分類する必要があります。
事業主(歌手等)の収益が、
- 2.1_1億VND/年以下の場合(約50万円)
- 2.2_1億VND/年超の場合(約50万円)
2.1. 事業主の収益が1億VND/年以下の場合 → 納税義務なし。個人事業主は、PIT、VAT、事業ライセンスを支払う必要はありません
2.2. 事業主の収益が年間1億ドンを超える場合 →事業活動の税金を自己申告します(5%の付加価値税、2%のPITです)。この場合、依頼した企業は税金を源泉徴収する必要はありません。
なので、2.1が節税になりますね。
通常のサービス費用(契約、現金以外の支払い書類など)などの書類を準備し、事業主は請求書を発行する必要があります。
3/ 広告サービスプロバイダー、歌手・俳優の運営会社を通じた契約の場合
会社が課税所得を申告(通常20%)
この場合、通常のサービス費用(契約書、現金以外の支払い書類など)などの書類を準備し、サービスを提供した運営会社はVATインボイスを発行する必要があります。あなたの会社が通常取引している取引と同様だと理解するといいでしょう!
まとめると以下のようになります。
税務の論点 | 源泉徴収の義務 | 書類 | |
1 個人 | 個人所得税 | あり(10%) | 給与に準じた書類(契約書、支払い書類など)と「FORM01 / CIT」 |
2 個人事業主 | 金額基準あり
| なし | サービス費用(契約、現金以外の支払い書類など)などの書類 売り手はインボイス発行 |
3 運営会社 |
| なし | 通常のサービス費用(契約書、現金以外の支払い書類など)などの書類 売り手はインボイス発行 |
- オフィシャルレター第10633号/CT-TT&HT
- オフィシャルレター 4263/CT-TTHT
が発行されています。
日本の場合の歌手等の芸能人の税務は?
では日本ではどうでしょうか?ざっくりまとめると…。
「給与所得」なのか「事業所得」の2つのパターンに分類されるようです。雇用関係か?マネジメント契約か?で分類されます。
歌手などがプロダクションと「雇用契約」を結んで、その活動の対価を給与で受け取る人は「給与所得者」になります。普通のサラリーマンと同じ取り扱いです。なので源泉徴収することによって税金が納税されます。
一方、上記のプロダクションに雇われるのではない場合で「マネジメント契約」を結んで活動する人はサラリーマンでなく「個人事業主」としての活動となります。この場合の所得は「事業所得」となります。年度末には確定申告する必要があります。「事業所得」の大きな特徴として収入ー経費=事業所得となるので経費を上手に使うことにって税金額をコントロールすることが可能です。
ベトナムと比較しても考え方におおきな差はありませんね。
本日は、広告活動などで利用するかもしれない歌手や俳優に仕事を依頼した場合の税務、すなわち源泉徴収する必要があるのか?どんな種類の税務なのか?税率は?について解説させて頂きました。
もし、あなたの会社がベトナム市場開拓するために歌手に依頼することがあれば参考になるはずです!