こんにちはマナラボの菅野です。
今日は『IT企業を買収する場合のDDのポイント』について解説したいと思います。
日本でのIT人材は慢性的に不足しており人件費が抑えられるといった理由以外でもベトナムに進出してエンジニアの仲間を見つけることが重要だからです。コストはコミュニケーションコストを考えるとむしろ日本より安くないかもしれません。
IT企業の価値って?なんで買収したいの?
企業価値つまり会社の価値ですね。ITの会社の場合の価値とはズバリ
- エンジニアの人材の価値!
この人材に魅力を感じるから買収を検討するわけです。もしあなたがゼロから会社を設立するところを想像してみてください。
- 会社設立
- 人材候補を見つける
- 面接・採用
- 人材紹介会社に紹介料を支払う
- 試用期間を経て本採用
- 人材評価
- いい人材の定着
ここまで行き着くのに数年かかってしまうでしょう。これをできればしたくなく、すぐにベトナムの優秀なエンジニアに仲間になってもらうことができる。だから買収を検討するのです。これによりすでに実績のあるエンジニアチームを一気に確保することができますよね。買収によって、この膨大にかかるであろう時間を節約しつつ、すぐに高い技術力を持つチームを手に入れることが可能です。また、買収先の企業が持つノウハウや顧客基盤も、新たなシナジーを生み出すことに貢献するかもしれません。
加えて「組織文化」「カルチャー」をきちんと評価することも重要です。これがあわないと買収した側もされた側も不幸になってしまうからです。買収された側のエンジニアはいずれ退職しちゃうでしょうね。
いわゆる財務DDはそこまでキーじゃない
ここまで言い切ってしまうと他の専門家から怒られそうですがいわゆる「財務DD」はそこまで重要ではありません。特にベトナムの日系企業は監査法人による監査を受けていますから決算書について概ね正しいといえるでしょう。
製造業ではないので貸借対照表にのる土地や機械設備に価値があるわけではありません。貸借対照表にのらない「人材」に価値があるわけです。
ただ利益剰余金とか借入金、売掛金などはみておくべきでしょう。加えてVAT還付金の貸借対照表に記録されている金額もきちんと確認すべきでしょう。
税務リスクによる見えない負債に注意しよう!
では買収する時にどのような点に留意するか? それはずばり税務リスクによる見えない負債を評価することです。税務DDと言っていいかもしれません。(簿外負債も財務DDの範疇に入ると考えますが税務による見えない負債なのでここに区分しました)
- 税務調査が過去入ったか?入ってない期間はどれくらいか?
- 典型的な税務リスクは評価したか? その金額はいくらくらいか?
この点を事前に注意する必要があります。以下に関連するトピックのリンクを貼り付けておきます。
>>日本の給与分を納税しない駐在員は罰金だけでなく懲役の可能性もある!【7年も懲役】
今日のまとめ
本日はIT企業を買収する時のDDのポイントについて解説しました。
- IT企業の価値は人材。そこをしっかり評価。文化も。
- 財務DDはそこまでキーじゃない。ただ債務超過なのか?VAT還付金があるか?売掛金はあるのか?はみておくべき。
- 税務リスクによる見えない負債を評価せよ
このようになると思います。お役にたてれば幸いです。