マナラボによる法令ニュースです。今回はオフィシャルレターの解説です。560/TCT-PCによる「日本の給与を申告してなかった人についての見解」です。

結論としては当たり前のことを言っているだけの内容なのですが、気になる内容は「懲役」です。なお前提知識として「全世界所得」を申告するというのをきちんと理解している必要があります。以下の記事でそのことを解説していますので参考にしてください。

>>【動画で徹底解説】ベトナム個人所得税の全世界所得って何だ?

>>【ベトナム 個人所得税】全世界所得とベトナム国内源泉所得の違いを理解する方法 社長は、べトナムでいくら納税すべき? 

日本の給与を申告しなかった場合に起こり得る4つの事

日本の給与を申告していなかったことから以下のことが発生する可能性があります。

  1. 追徴課税→未納の分
  2. 加算税や重加算税→罰金
  3. 利息→0.03%/日
  4. 懲役がある

と言う点です。それぞれ解説していきたいと思います。

追徴課税や重加算税、利息

日本の給与分を申告していなかった場合、これが起こり得ます。いわゆる脱税となってしまうので当然と言えば当然です。例えば、日本の給与分の未申告により年間で500万円の「脱税」による未申告があったとします。本来払うべき税金を払っていなかった500万円分が追徴課税です。

そしてそれに対して罰金が発生します。それを「加算税」と言います。さらに、悪質な場合(悪質な嘘など)と認められた場合には「重加算税」が発生します。例えば「重加算税」が100%だとするとさらに500万円を支払う必要があります。この例でいうと1,000万円です。

そして利息です。これは日当たり0.03%ですので年度にすると10.95%の利息が発生します。

詳しくは以下を参照ください。

>>【ベトナム税務】罰金・遅延税・遅延利息、追徴課税・加算税。重加算税の解説【本社と共有するといいです】

さすがに今日、日本でもらう給与・賞与を申告していない日本人はほとんどいない印象ですが、それでもこのようなOLが存在するということはまだあるということです。以下で実際のストーリーも限定記事にしています。日本人でもベトナムの常識に慣れすぎて「どうせばれないでしょ」と思っている人がいるそうです。本当かなあとは思いますけど。

>>M-Lab-日本の給与について申告しない人の不幸なストーリー

脱税なので法律に従った罰を受ける 最大7年も?

上記は一般的な罰則ですが気になるのは「懲役に課される」可能性があると言う点です。牢屋に入ってしまうということでしょう。

560/TCT-PCというオフィシャルレターの気になる文言は以下です。気になるなあ。

We request Ha Nam Provincial Tax Department to review Decision No. 792/QD-XPHC dated July 27, 2022. In case of necessity, Ha Nam Provincial Tax Department will carry out verification according to the provisions of Article 59 of the Law on Handling of Violations. Administrative 2012 (amended in 2020) to handle according to regulations.In case an taxpayer’s behavior falls under Point a, Clause 1, Article 200 of the 2015 Penal Code(amended and supplemented in 2017), the tax authority will consider transferring the violation case file to the competent authority to conduct proceedings. criminal according to regulations.

引用元:560/TCT-PC

どういうことかと言うと、納税者(脱税した人)の行為が 2015 年刑法(2017 年改正・追補) 第 200 条第 1 項 a 号に該当する場合には、それに対応した処置を取ると言っています。つまり、この場合、税務当局は、 違反案件ファイルを管轄当局に移送し、規定に従って手続きを行うことを検討することになります。

要は脱税した人は「懲役」を喰らうかも!っていう話です。懲役とは「罪人を刑務所内に拘置し、労役に服させること」を意味します。日本人がベトナムの刑務所に勾留されてしまうところを想像するとやっぱり恐ろしいですよね。

以下は2015 年刑法(2017 年改正・追補)の第200条「税金逃避」に関する罰則を表にまとめたものです。罰金はちょっと重加算税と重複するので微妙だなあと思ったりもしますが、ポイントは「懲役」のところです。最大7年も懲役を喰らう可能性があります。脱税金額がおおよそ500万円程度(為替レートはざくっと換算するため200を使ってしまっていますが‥‥)ですのでなくはない話ですよね。つまり、日本人駐在員の人が3年間駐在だった場合で日本の給与を申告してなかった場合、通常であれば脱税額は500万円は超えます。

逃避金額・状況個人の罰金個人の懲役法人の罰金法人のその他の罰則
VND 100M – VND 300M(再犯を含む)(50万-150万円)

VND 100M – VND 500M

(50万-250万円)

3ヶ月 – 24ヶ月

VND 300M – VND 1B

(150-500万円)

– 組織的犯罪VND 300M – VND 1B

– 権力の乱用- 重複犯罪<- 危険な再犯

VND 500M – VND 1.5B

(250-750万円)

1年 – 3年

VND 1B – VND 3B

(500-1500万円)

逃避金額 ≥ VND 1B(500万円)

VND 1.5B – VND 4.5B

(750万円-2250万円)

2年 – 7年

VND 3B – VND 10B

(1,500-5,000万円)

6ヶ月 – 36ヶ月 営業停止
第79条に該当する状況永久営業停止
その他の罰則(個人)

VND 20M – VND 100M

(10-50万円)

VND 50M – VND 200M

(25-100万円)

特定分野での運営・資金調達の禁止

 

Article 200. Crime of tax evasion

1. Anyone who commits one of the following acts of tax evasion with an amount from 100,000,000 VND to under 300,000,000 VND or under 100,000,000 VND, has been sanctioned. administrative violations of tax evasion or have been convicted of this crime or of one of the crimes specified in Articles 188, 189, 190, 191, 192, 193, 194, 195, 196, 202, 248, 249, 250, 251, 252, 253, 254, 304, 305, 306, 309 and 311 of this Code, if your crimial record has not been erased but you continue to violate it, you will be fined from 100,000,000 VND to 500,000,000 VND or imprisonment from 03 months to 02 years:

a) Failure to submit tax registration documents; failure to submit tax returns; Failure to submit tax returns on time as prescribed by law;

〜〜

引用元:2015 Penal Code 

今日のまとめ

今日は『脱税とそのリスク、懲役』と言うテーマでお伝えしました。

今でも、日本の給与は「申告対象外」と思っている人は少数ですがいるかもしれません。ベトナムの給与だけでしょ?と思っているパターンです。また「日本の給与は申告しないほうが得だ」と思っている人はまだまだいるかもしれません。

ただ罰金の金額も大きいし、懲役になるリスクは負いたくないはずです。このあたりは認識しておくといいでしょう。綺麗に普通に申告する。これが一番です。