衝撃的なニュースを11月に見ました。

それは、

サイゴン商業銀行(SCB)に預けられたベトナム人々の貯蓄の93%、約1兆ドン(約440億米ドル)を自身の目的のために使用していた! 不正といっていいでしょう。

Truong My Lan, chairwoman of disgraced property developer Van Thinh Phat, had used 93% of people’s savings deposited at Saigon Commercial Bank (SCB), worth around VND1 quadrillion (US$44 billion), for her own purposes.

引用元:VNEXPRESS

です。チョイオイ!って感じです。天文学的な数字で最初はピンと来なかったのですがこの金額いくらか? わかりますか?ドンだともはや、桁が大きすぎて(京?)わかりません(涙)。

ドルにすると約440億米ドル。これは日本円にしておおよそ6.5兆円です。

やばい!これは本当に大きい金額です。いつもだと不正の事件は不正のトライアングルに当てはめて検討するんですけど桁が違いすぎて今回は規格外。この理論で説明ができないかもしれません。狂っているというか? バグっています。

この事件は国際的にも注目されているそうです。そりゃそうですよね。

ベトナムの不動産開発会社ヴァン・ティン・ファット(Van Thinh Phat)の会長のトゥオン・ミー・ラン(Truong My Lan)という女性だそうです。

どくれくらい大きな金額か? 自分ごと化してみよう。

とても大きな金額です。もっとリアルに感じるために比較してみましょう。グラフ化するとよくわかります。

ベトナムの国家予算と比較してみる

ベトナムの国家歳入(税収など。日系企業からの追徴課税も入っていると思います)は約10兆円だそうです。今回の不正のお金は約6兆円ですから、国家予算の60%程度にあたる金額の不正です。

これを日本に置き換えると約68兆円の不正です。国家歳入が114兆円程度なので。過去の大きな不正を調査しても「億」レベルです。さすがに不正で「兆」レベルには行きません。ここからもこの事件が「やばい」というのがわかるかと思います。

ベトナムのGDPと比較してみる

ニュースによれば、この金額はベトナムのGDPの10%程度らしいです。いやー、凄すぎます。

2022年のベトナムのGDP(4,090億USD)と比較すると、上記の440億USDという疑惑の数字は約10.7%に相当します。また、この金額は中堅銀行の総資産の何倍にもなり、ベトナムの「大手」銀行の総資産にほぼ匹敵するようです。銀行の総資産より大きな金額(同程度)を私用につかっていたわけですから、いかに大きな金額が実感するのではないでしょうか?

これを日本と比較するといくらか?日本のGDPはざっくり600兆円程度です。この10%なので60兆円くらいですね。上記と同様程度の金額ですから国家歳入とGDPには相関関係があると言えます。

サムソンの業績と比較してみる

ベトナムで重要な企業であるサムソン(ベトナム)。その巨大企業の売上は2021年の情報ではありますが8.5兆円程度です。今回の不正の金額がおおよそ6兆円ですからそこと比較しても金額の大きさが際立ちます。

>>【2023年最新】ベトナムの製造業の今と今後

会計リテラシーで私たちへの影響を妄想してみる。あながもしSCBに預金があったら??

この不正、巨額だということはわかりました。では我々にとってどんな影響があるのでしょう?ビジネスと基礎的な会計リテラシーを使って妄想してみましょう。あなたにもできます!

以下の記事を参考にしてください。

>>経理・会計の専門じゃない人が仕訳を理解するための2つの視点と5つのボックス

銀行のビジネスをめちゃくちゃ単純化すると

  • #1 お金のある人からお金を集める(預金してもらう)
  • #2 お金のない人に貸して利息をもらう

です。

今回の場合、SCB銀行はLanという人に6兆円を貸付(投資)ています。もしこれが焦げ付いたら??こまるのは#1の人ですよね。預金したお金がどっかにいっちゃった可能性があるんですから。図解すると以下のようになります。

預金者へ預金を返済するためには「現預金」が必要です。仕訳というので考えると

預金(あなたから預かったお金)****/  現預金***  

預金という負債が減り、現預金が減ります。そう、現預金が必要なわけです。当たり前ですが。でもその「預金」を個人のラン氏に貸し付けて、ラン氏は自分のために使っています。それがもし現預金として回収できなかったら??困るのは預金を預けている人ですよね。

おそらく銀行を潰すことは国の面子に関わるのでそんなことはないと思います。でも国にが助けるにしてもその資金の出どころをは? と考えると複雑な気持ちになりますよね。何やってもどうせ国が助けてくれる!は少年犯罪の構造と似ていると思います。犯罪起こしても未成年だから許されるだろ。みたいな。

いやあ、なんともびっくりする話ですよね。まだまだ貧しい人がまだまだいる一方でこんなことしちゃう悪い人もいるというのが人間界の現実です。お金に強欲な人間もいるもんです。

小学生のころはお化けが怖かったのですが今は怖くありません。むしろ会いたいです。生きてる人間が一番恐ろしいのかもしれませんね。

こういうところベトナムがしっかりしてくれれば日系企業(外資系)への理不尽な(いじめ)税務調査や意味不明な罰金は減るんじゃないかなあと思ったりもしますね。