こんにちはM-labの菅野です。

本日は『異文化コミュニケーション、カルチャー・マップ8つの指標で理解する』をベトナムという視点で解説というテーマでお伝えします。

ベトナムの異国で働く場合の大きな悩みは「コミュニケーション」でしょう。私はインドとベトナム合計2013年からで10年以上海外でビジネスをしていますが、問題を突き詰めて抽象化してみると9割以上はこのことが原因です。

日系企業の私たちがビジネスやプライベートで成功するか? はこの文化の違いを認識し、調整することにかかっていると言っても過言ではないでしょう。

そのためにものすごいいいノウハウがすでに世の中に出ていましたのでそれをまとめるとともにベトナムの場合は? という視点を含めて解説しています。

今や日本人だけ、日本語だけで稼いでいくのは難しい状況です。したがってこのスキルはどんなビジネスパーソンにとっても重要なスキルです!

エリン・メイヤー/田岡恵 英治出版 2015年08月
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そもそもカルチャーマップってなに?

これは、数十年にもわたって「複眼的な方法」で各国の文化を考察した学術研究に基づいています。この歴史に学ぶことがとても重要だというのは容易に理解できると思います。

このカルチャーマップには8つの指標があります。なお以下のLabで研修のコンテンツを共有しています。

>>M-lab_日本・ベトナムビジネスコミュニケーション研修『社長とスタッフ間の誤解を解消し、信頼を築く方法』スライドと裏話の共有

8つの文化的な行動は以下の通りです。

  1. コミュニケーション(Comunication)→明確か? 曖昧か?
  2. 評価(Evaluating)→ネガティブを直接か?間接か?
  3. 説得(Persuading)→抽象から具体か? 具体から抽象か?
  4. 指導(Leading)→縦関係の組織か? 横の組織か?
  5. 決定(Deciding)→1人で決めるのか? みんなできめるのか?
  6. 信頼(Trusting)→感情で信頼するか? 論理で信頼するか?
  7. 見解の相違(Disagreeing)→異なる意見を受け入れやすいか? 否定するか?
  8. スケジューリング(Scheduling)→時間を守るか? 柔軟性があるか?

について行動尺度を設定しています。8つに分かれていますがもう少し抽象化してまとめると以下のようになるでしょう。記憶しやすくはなると思います。

  • 組織内か? 組織外も含むか?
  • 時間の概念か? それ以外か?

そうするとおおむね3つのグループということがわかりますよね。

  1. 組織内
  2. 組織内と組織外
  3. 時間的な概念

図の線はリンクさせると記憶しやすいということです。

それぞれ詳しく見てみましょう。

1、空気読めるの?コミュニケーション

まず一つ目の「コミュニケーション」です。海外マネジメントにおいてはこれが一番大事でしょう。

これは以下のようにまとめることができます。

空気読めるの?

直接的に伝えるのか? 間接的に伝えるのか?

です。日本人であるあなたであれば「空気を読む」という言葉を聞いたことがあるでしょう。これが非常に大事ですもんね。メッセージをほのめかして伝えることが多いでしょう。例えば女性をデートに誘った時に「今週は仕事で忙しいの」の本当の意味は「ごめんなさい。あなたとは行きたくないの」であることがほとんどです。これを理解しなければ

明確(Low-Context) vs. 暗黙(High-Context)という言い方がされています。High-Contextが空気読む文化ですね。

明確な文化では、情報は直接的に、明瞭かつ詳細に伝えられます。暗黙の文化では、背景情報や文脈を読み取ることが重要です。

ベトナムと日本のコミュニケーション

検証されたデータによれば、日本もベトナムもなんとハイコンテキストよりでした。意外ですね。ただベトナムのほうがローテキストよりです。なのではっきり言ったほうがいい。

日本(High-Context):

  • 日本のビジネスシーンでは、会議の際に意見を言わないことが多い。しかし、会議後に非公式な場で上司や同僚と話すことで、真の意見や感じていることが共有されることが一般的である。
  • 「空気を読む」が日本文化における重要なスキルとされており、直接的な言葉でのコミュニケーションよりも、相手の気持ちや状況を察知することが求められる。
  • 例えば、レストランでの食事中にコップが空になったとき、店員に言わずとも自動的に注がれることが多い。これは客が何も言わなくてもそのニーズを察するサービスが一般的であることを示している。

ベトナム(Moderate to High-Context depending on the situation):

  • ベトナムのビジネス文化も日本と似ている部分があり、特に初めての関係では直接的な批評やネガティブな意見を避ける傾向がある。
  • ベトナムの家族文化においては、家族の長が意見や決定をする場合、その意向は家族内で尊重されることが多い。そして、その意向を読み取り、家族の他のメンバーがそれに従うことが期待されることもある。
  • ベトナムの市場での取引などでは、言葉よりも身振り手振りや顔の表情でのコミュニケーションが活発に行われることがある。

こんな感じだそうです。確かに日本人は友人に「太ったね」とか絶対言わないですよね。

ただし、異国人のコミュニケーションの場合は、ローコンテキストではっきり伝える

日本人もベトナム人もハイコンテキストであるから曖昧な表現で「空気読んでよね」となるか?というとそうは行きません。当たり前ですよね。

したがってあなたがベトナム人とコミュニケーションする時にはなるべく曖昧な表現を避け、シンプルで明快である必要があるでしょう。

これはアサーションを意識するといいかもしれません。実際は私はこれを意識するようになってから大分、組織がよくなりましたよ。

>>ドラえもんのしずかちゃんから学ぶ!自分にも相手も大切にする自己表現【アサーション 】

それ以外にも「コミュニケーション」では以下のツールを利用すると効果です。これ本当です!

>>あなたのメンバーの説明能力を向上してもらうためのテンプレート「SEE-I」【海外子会社マネジメントでも使えます】

>>PREPは、やっぱり大事というお話。プロセスエコノミーにも使えると思う

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2、フィードバック、評価の方法 ダメ出しを直接的に?それとも率直に?

 

2つ目です。

これは以下のように言い換えることができるでしょう。

ダメ出し、ネガティブなフォードバックを直接的に話すのか?間接的に話すのか?

要するに部下などのいけてないところを見つけた時にそれをストレートにダメ出しするか? そうではなく間接的に伝えるか?遠回しに伝えるか?の違いです

ベトナムと日本の場合のダメ出しの方法

評価の文化的違い、特に直接的(Direct Negative Feedback)と間接的(Indirect Negative Feedback)の日本とベトナムにおける違いと具体的な事例とストーリーを挙げて説明します。どちらの国でも「間接的」よりではあるので、似ていると言えば似ていますね。

日本(間接的):

  • 日本のビジネスシーンでは、特に部下への評価やフィードバックは直接的な批評を避ける傾向があります。例えば、「もう少し改善が必要かもしれませんね」というような柔らかい言葉で意見を伝えることが一般的です。
  • ストーリー: ある日本の企業で、新しいプロジェクト提案をした若手の社員がいました。上司からは「それは面白い考え方ですね。しかし、もう少し他の部署の意見も取り入れてみては?」というコメントが返ってきました。この言葉から、提案が現状のままでは受け入れられないこと、改善が必要であることを若手の社員は理解しました。

ベトナム(Moderate to 間接的 depending on the situation):

  • ベトナムでも日本と同様に、評価やフィードバックは比較的柔らかい言葉で伝えられることが多い。特に社会的な階層や年齢が絡む場面では、敬意を保ちつつ、間接的に意見を伝えることが求められます。
  • ストーリー: ベトナムの伝統的な家庭で、子供が学校の成績が良くなかった場合、親は「今回はちょっと難しかったかな?」と言って、子供に次回頑張るよう励ますことがあります。直接的に「お前の成績は悪い」とは言わず、子供の気持ちを尊重しつつ、間接的に期待を伝えるアプローチを取ります。

これらの事例を通じて、直接的なフィードバックを避ける文化の背景には、相手の尊厳や気持ちを尊重するという価値観が根底にあることが伺えます。

特にベトナムでは子供が悪いことしても親またはおじいちゃんやおばあちゃんが「怒らない」「叱らない」というカルチャーがあるようです。例えば道路で子供転んでもひたすら親たちは道路をダメ出しするという話は有名です。「あら! こんな歩きにくい道路なんて。だめねよねえ」って感じらしいです。

そのように育ってきた子を社会に出てきてから「叱られる」となるとかなりびっくりしてしまう可能性があるでしょうね。

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3、他人を説得する時、原理からか? 事例からか?

3つ目です。

これは以下のように言い換えることができるでしょう。

  • 「なぜ」vs 「どうやって」
  • 原理原則から話すのか(演繹的思考・原理優先)? 事例を根拠に話すのか?(機能的思考・応用優先)
  • 抽象から具体? 具体から抽象?

この「原理優先」と「応用優先」の思考法のわかりやすい例は各社会の法律システムにも表れているのでそれを理解を深めてください。例えばイギリスやアメリカは先例をもとに判決を下す判例法に基づいています。これは事例を優先しているので「応用優先」ですね。具体から抽象です。一方でヨーロッパ諸国はローマ法やナポレオン法典に由来する大陸法に基づいており、一般的な規制や原理を個別の判例に適用する「原理優先」です。つまり抽象から具体です。

なお、会計基準であるIFRSも「原理主義」です。

説得のスキルは最も重要なビジネススキルの一つでしょう。ベトナムで働く場合、会社内部のメンバーを説得して動いてもらわないとビジネスが全く進まないからです。当たり前ですが残念ながら日本人だけで出来ることは限られています。

ベトナムと日本の場合の「説得」の比較

まず日本ですが一般的には「どうやって?」の応用優先だと言われています。ただしアジアの場合は「包括的な」思考パターンを持っていることから「原理優先」「応用優先」のプロッティングが馴染まないと言われているようです。

ベトナムの場合もよくわかりません。このアプローチというよりか後から述べる「感情」に基づいてしまっているように思います。そもそも具体と抽象という概念がピンと来ていない人が多いと感じます。そこで私は以下の書籍の考え方を使ってよくメンバーに講義しています。

>>【具体と抽象】から学ぶ!海外マネジメントの方法がうまくいく4つのノウハウ

あとは『抽象のハシゴ(Abstraction Ladder)』という考えも使って社内研修に使っています。

なお、私の感想ではベトナム人(外国の人)と話が通じない大きな要因の一つとして、具体化とか抽象化の考えがきちんと浸透していない、理解していないことが挙げられると思っています。ここがクリアされるだけでかなり違ってくるでしょう。

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4、リーダーシップ 縦の関係を重視か? フラットか?

4つ目です。

これは以下のように言い換えることができるでしょう。5つ目とリンクさせると理解しやすいですよ。

  • 「縦」vs 「横」
  • 上司と部下の距離が遠いのか?近いのか?

少し言い方が適切じゃないかもですが、上司に対してどれくらい媚びる必要があるのか?の度合いです。まあ上司がどれだけ偉くしているか?とも言い換えることができるかもです。

ベトナムと日本の場合の「リーダーシップ」の比較

リーダーシップのスタイルにおいて、分散(Egalitarian)と階層的(Hierarchical)の違いは、文化によって大きく異なることがあります。以下は、日本とベトナムの文化における具体的な例などです。日本もベトナムも階層的(縦の関係)なので似ているカルチャーだとも思います。

政治的な背景も影響していると思いますし、相手の呼びかた(チやアイン)では年齢が強く影響しています。

日本(階層的):

  • 日本のビジネスや組織の文化では、年齢や在籍年数、役職による階層が比較的明確です。上司や先輩の意見が重視される傾向があり、部下や後輩はそれに従うことが期待されることが多い。
  • ストーリー: ある日本の伝統的な企業では、新しいプロジェクトの提案時、部下が良いアイディアを持っていても、先輩や上司が異なる意見を持っていれば、部下はその意見を尊重し、自らのアイディアを控えめに伝えることが多い。

ベトナム(階層的):

  • ベトナムのビジネスや社会の文化は、日本と同様に階層が明確です。年齢、役職、経験に基づいた尊敬が期待されることが一般的です。上司や長老の意見や指示が重視されることが多く、それに従うことが社会的に期待される場面が多いです。
  • ストーリー: ホーチミン市の伝統的な企業にて、若手社員が新しい提案を持ち込んだとき、彼のアイディアは革新的で有望だった。しかし、会議では彼の直属の上司が異なる意見を示したため、若手社員はその場で自らのアイディアを強く主張することは避け、後で個別に上司と話すことを選んだ。

どちらも階層的だと言えますね。ベトナムは特に年齢が上の人を敬う傾向が(呼称もかわってくる)強いです。

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5、意思決定の方法、「合意」を必要とするのか?

5つ目です。これは以下のように言い換えることができるでしょう。4つ目とリンクさせてくださいね。

  • 「合意」vs 「独断」
  • 合意(Consensual) vs. 一元的(Top-Down)

何かを意思決定する時に「上司」がという個人がするのか?それとも関連する人の「合意」を必要とするのか?です。

ベトナムと日本の場合の「決断」の比較

意思決定の方法には、合意(Consensual)と一元的(Top-Down)という二つのアプローチが考えられます。以下に、日本とベトナムの文化における具体的な例やストーリーを説明します。

日本(合意):

  • 日本のビジネス文化では「根回し」というプロセスが一般的です。これは、意思決定を行う前に関係者全員の意見やフィードバックを取り入れ、合意を形成するプロセスを指します。最終的な決定は、関係者全員の意見や懸念が考慮された上で行われます。
  • ストーリー: 大手日本の企業で新しいプロジェクトを立ち上げる際、プロジェクトリーダーは関係各部署のリーダーやステークホルダーと個別に会い、事前に意見や懸念を聞いた。これにより、正式な会議が開かれた際にはスムーズに合意が形成され、プロジェクトは円滑に進行した。

ベトナム(一元的):

  • ベトナムのビジネス文化では、高い役職や権威を持つ者の決定が強く尊重される傾向があります。特に伝統的な企業や組織では、上層部の決定が下層部に伝えられ、それに従う文化が根付いています。
  • ストーリー: ベトナムの伝統的な製造業の企業にて、CEOが新しい製品ラインの導入を決定した。この決定は彼のビジョンに基づいており、部下や関連部署はその決定を受け入れ、具体的な実行に移った。

社会主義国のベトナムでは、国家機構は唯一の支配政党であベトナム共産党の指導を受けることが憲法に明記されていることからもわかるようにかなりのトップダウンです。この影響からか、ベトナムのローカルはトップダウンであるカルチャーが染み付いてる企業が多いです。

コロナ時の対策でも両国の違いは一目瞭然でした。私がベトナムに住んでいて関心したことは「こんなに国民は従順なんだなあ。誰も文句を言わない」という点でした。

一方、日本は極端な「階層主義」を持ちながら「合意思考」の社会になっているため、意思決定が遅いと世界から評価されています。これは今の時代には沿っていないので変化する必要はありますよね。

このように、日本とベトナムの意思決定の文化は異なり、それぞれの背景や文化を理解することで、相手とのコミュニケーションや協力がスムーズに進むことが期待できます。

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6、2つの種類の「信頼」 論理か?感情か?

6つ目です。これは以下のように言い換えることができるでしょう。7つ目とリンクさせてくださいね。「心」の場合は「意見の相違」を回避する傾向にあります。

この「信頼」ですがベトナムでのマネジメントではかなり重要です。これを忘れてしまうとビジネスの失敗の可能性は残念ながら高まってしまいます。

  • 「頭」vs 「感情」
  • 仕事ベース(Task-Based) vs. 関係ベース(Relationship-Based)
  • 「認知的信頼」 vs 「感情的信頼」

信頼関係には2種類があるようです

  • 一つは、「頭で考える信頼」です。質の高い製品を納品したりサービスを提供することで構築されます。「タスクベースの信頼構築」とも言い換えられます。
  • もう一つは、「心の信頼」です。人間的な結びつき(感情面を重視)を通じて、相手を信頼することです。「関係ベースの信頼構築」とも言い換えられます。

ベトナムと日本の場合の「信頼」の比較

意思決定の方法には、合意(Consensual)と一元的(Top-Down)という二つのアプローチが考えられます。以下に、日本とベトナムの文化における具体的な例やストーリーを説明します。

信頼の形成に関する「仕事ベース」対「関係ベース」のアプローチは、ビジネスの取引やパートナーシップの形成において重要な役割を果たします。以下に、日本とベトナムにおける具体的な例やストーリーを紹介します。どちらも「関係ベース」よりですね。義理人情を大事にする文化だとも言えます。

日本(関係ベース):

  • 日本のビジネス文化では、長期的な関係を築くことが重視されます。契約や取引をする前に、お互いの信頼関係を築くためのミーティングや食事、ゴルフなどの社交活動が行われることが一般的です。
  • ストーリー: 日本の企業Aが新しいサプライヤーを探している際、技術的な能力や価格面で条件が合致している企業Bを見つけた。しかし、Aはすぐに契約を結ぶのではなく、Bの経営者や担当者と数回のミーティングや食事を重ね、お互いの価値観や考え方を理解した上で、正式なビジネスの話に進んだ。

会社はどうでもいいけど「この上司だから辞めない」という人がいるのもこれが関係しているのかもしれません。

ベトナム(関係ベース):

  • ベトナムのビジネス文化も、日本と同様に関係ベースの信頼形成が重要です。特に家族や地域社会とのつながりは、ビジネス取引において大きな影響を持つことが多いです。
  • ストーリー: ハノイの中小企業Cが、大きなプロジェクトのためのパートナーを探していた。D社は技術的な面で優れていたが、Cの経営者はDの経営者との共通の知人を通じて、D社の信頼性やビジネスのやり方を確認した。この共通の知人の推薦により、CはDとのパートナーシップを進めることを決意した。

ベトナムでは「役所」を相手にする重要な仕事が多く存在します。たとえば、ライセンス取得・労働許可証取得、税務調査などです。

この時、この役所の人たちと時間と労力をかけて「つながり」を構築することは非常に重要なってきます。

残念ながら「正しいことをやってるのだからいいのだ」の一辺倒では悲しい結果になることが多いです。

これらの例からもわかるように、日本とベトナムのビジネス文化は、信頼の形成において関係ベースのアプローチが一般的です。このため、新しいビジネスの機会やパートナーシップを模索する際には、お互いの関係を深めることが成功の鍵となります。

 

7、意見の相違を是とするか?非とするか?

7つ目です。これは以下のように言い換えることができるでしょう。前述の通り、6つ目とリンクさせるとわかりやすいです。

  • 対立回避(Avoiding Confrontation) vs. 対立受容(Confrontational)
  • 面子を大事にするか? しないか?

要は意見が対立した時に避けるか?どうかです。

ベトナムと日本の「意見の相違」の考え方

意見の不一致や対立に対する取り扱いは、文化や国によって異なる対応が見られます。日本とベトナムの対立に対するアプローチに関する具体的な例やストーリーを以下に示します。

日本(対立回避):

  • 日本の文化やコミュニケーションスタイルは、直接的な対立を避ける傾向があります。和を尊び、グループの調和を維持することが重視されるため、オープンに意見の対立を表現することは少ないです。
  • ストーリー: 企業Eのプロジェクトミーティングで、新しい提案について討議されていた。スタッフの一人、田中は提案に疑問を感じていたが、他のメンバーが賛成しているようだったので、公然と異議を唱えることは避け、後で上司に個別に意見を伝えることを選んだ。

日本人であれば、対立回避傾向であることはわかると思います。「和」を重んじますからね。

ベトナム(対立受容と対立回避の要素を併せ持つ):

  • ベトナムのビジネス文化では、意見の交換は活発に行われることが多い。しかし、特に上司や年長者との関係では、尊敬や礼儀を大切にするため、直接的な対立は避ける傾向もあります。
  • ストーリー: ハノイのIT会社Fの開発チームが新しいソフトウェアのデザインについて議論していた。若手の開発者、ミンは新しいアイディアを提案し、それに賛成と反対の意見が交わされた。ミンは自らの意見を積極的に主張したが、チームリーダーが異なる方向性を示唆すると、彼はリーダーの意向を尊重し、自分の意見を控えめにしました。

ベトナムは中国の影響からか、「面子」を重要視する傾向が役人を中心にしてあります。

このように、日本とベトナムは、意見の不一致や対立に対するアプローチに共通点もありますが、文化や状況に応じて異なる対応が見られることもあります。そういった意味では役所が絡む場合はこれを強く意識して交渉ごとをしたほうがいいでしょうね。

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8、時間の感覚。遅れるってどういうこと?

最後の8つ目です。これは以下のように言い換えることができるでしょう。

  • 時間に対して線形(Linear-Time) vs. 柔軟(Flexible-Time)
  • 融通が効かない vs 融通が効く
  • 時間は連続的かつ線形に捉えられるか、または柔軟にアプローチされ、多くの事項が同時に進行するか

要するに予定時間を厳守するか?否か?です。

例えば会議を9時から始めるといって8:50にみんな集まっているか? それとも9時過ぎてからなんとなーく集まりはじめるか?ですね。

ベトナムと日本の「時間」の考え方

時間の認識や価値観は、国や文化によって大きく異なります。以下に、日本とベトナムの時間に対するアプローチに関する具体的な例やストーリーを示します。これはまったく日本と違うの注意が必要ですね。

日本(線形):

  • 日本は、時間を線形に捉える文化が強い国として知られています。時間厳守が重視され、約束や会議の開始時間は正確に守られることが期待されます。
  • ストーリー: 東京の会社Gでは、全社ミーティングが毎月最初の月曜日の9:00に行われる。ある日、新入社員の佐藤が8:59に到着したとき、ほとんどの社員は既に席について待機していた。佐藤は、1分前でも遅刻とみなされる文化を実感し、以後、早めに会場に到着するよう心がけるようになった。

ベトナム(柔軟):

  • ベトナムの時間の認識は、日本よりも柔軟な側面があります。特定の時間に正確に行動するよりも、状況や関係性を考慮することが重視されることが多いです。
  • ストーリー: ハノイのカフェで、ベトナム人の友人との約束をしていた田中は、約束の時間より10分早く到着した。しかし、友人は30分遅れて到着した。友人は遅れたことを謝ったが、田中が日本のように厳密な時間の認識を持っていることを知らず、彼女自身は状況や交通の混雑を考慮しての遅れと捉えていた。

これらの例から、日本とベトナムの時間に対する認識や価値観の違いを理解することができます。日本は時間を厳格に捉える傾向が強いのに対し、ベトナムでは状況や人間関係を重視した柔軟なアプローチが一般的です。

このことについては「わかる!」と感じる人が多いのではないでしょうか? 日本は時間厳守が非常に特徴的ですよね。世界的にみてもこのことが評価されることが多いと思います。一方、ベトナムは適当です(笑)。もちろん法律的に締切がある場合などはそれを守ろうと必死になりますがそれ以外は、テキトーなことが多いです。仕事でもプライベートでも。それが良い点と理解することもできるんですけどね。

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今日のまとめ

今日は『異文化理解力、8つの指標で理解するカルチャーマップ』というテーマでお伝えしました。ベトナムでのビジネスの成功の秘訣はこれだ!と言っても過言ではありません。

是非参考にしてくださいね。