こんにちはマナボックスの菅野です。

ベトナムでのビジネスで怖いことはなんといっても税務調査でしょう。なぜならば、多額の予想しなかった罰金やそれによる人間関係、例えば本社の社長や管理部門との関係が悪化するかもしれないからです。

ではベトナム税務調査についてどのような心構えをしておくか? というのがベトナムビジネスを進める時に重要になるでしょう。

そのポイントとは「理不尽さ(心)と税収の状態」です。今日は『税収の満足度と理不尽さは反比例』というテーマでお伝えします。

今日の話はオピニオン的な要素が強いです。他の専門家は異なる意見を持つかもしれませんのでこのあたりはご了承ください。

税収の満足度と税務調査の理不尽さは反比例

ベトナムに限らず国家歳入の主な財源は「税収」です。ベトナムであれば個人所得税、付加価値税、法人税が主な税収になるでしょう。そして税務調査による追加納付や罰金、利息も同様です。

  • 税収が確保できてない→理不尽さ強い(厳しい)
  • 税収が確保できた→理不尽さ薄い(甘い)

図にすれば以下のようになるでしょう。

誤解を恐れずにお伝えすればこのような関係性があります。私のこれまでのベトナムやインドでの経験上もそのような傾向がありますし、他の専門家に印象を聞いても似たような意見を持つ場合が多くあります。この点をもう少しだけ詳しく解説していきましょう。

税収が確保できてない場合は税務調査は厳しくなる

まずこのパターンです。ベトナムには日本と同様に税収の予算があります。この予算を達成するために企業や個人から税収を徴収します。しかしながら景気によってはそれが達成できない場合がありますよね。

  • 法人が利益を出さなかったら法人税は減る
  • 個人の所得が向上しなければ個人所得税の税収は増えない
  • 消費が減れば付加価値税が徴収できない

となります。このような時は「どうしても企業から税務調査でいっぱい指摘しまくるぞ!」というモチベーションになり、場合にっては企業ごとに予算が決まっていることもあるでしょう。この場合には税務調査が厳しくなる傾向があります。

具体的に言うと「判断」を伴う答えが唯一じゃない論点で大きく指摘できそうなところを探し出してきます。例えば経費の事業関連性、VATの非課税かどうかの判断、海外サービスの実態の判断、移転価格です。これらは答えが一つでありません。いろんな考え方があります。

たまに「会計と税務は答えがあるからやりやすいよね」って言う人がいるんですがそれは間違いです。答えがない論点も多くあります。理由は上記の通り「非合理な人間の判断」が入るからです。以下でなぜ税務調査の結果、指摘がゼロにならない理由を解説しています。

>>【M-Labo】限定動画 ベトナム税務調査の実態【論理より感情だ!】

例えばお客様と居酒屋やカラオケの接待交際費を使った場合、考えによっては「事業関連性」はない!って言えちゃいます。そのカラオケはおまえが個人的に楽しんでるだけだろー!ってなっちゃうわけです。

また非課税取引のソフトウェアサービスだってストーリーによってはそれは「非課税」ではない!だから10%の付加価値税漏れだ!と指摘されるかもしれません。

>>M-lab-ソフトウェアに該当してもVATで非課税取引と認められないリスク 〇〇な人を採用していないとダメ

移転価格の適正な価格だって考えようによってはどんな価格であれ適正だと主張できるかもしれませんよね。100かもしれないですし110でも合理的かもしれないとなるわけです。

逆に税収確保してしまったら税務調査は甘くなる

逆に税収を確保してしまったら税務調査は甘くなる傾向にあると思っています。もう少し深堀りすると以下の観点で厳しさの度合いが決まってくるでしょう。

  • 省ごとの税収(場所)
  • 時期

例えば〇〇省に超大きな企業があってそこが多額の税を納めていたら他の会社からは厳しく取り立てなくてもよくなります。細かい点や判断が入るようなところは指摘されにくくなります。たとえリスクがあるような論点でも指摘されなかったという事もあります。大きなリスクがあったとしても結局は外部環境で決まってしまうこともあるんですね。

あとは時期です。例えば12月で税収がほぼほぼ100%確保(予算と比較して)できた場合、もう12月は税務調査に入ったとしても指摘するモチベーションがわかなくなる場合があります。これは会社の予算とも似ています。例えば売上の予算が1,000だったとして実績が決算月の12月時点で1,000であれば、実際は12月に売上があったとしても来季にまわしたいと思ってしまう場合がありますよね。なぜかと言うと時期の売上予算が大きくなってしまうからです。この場合12月じゃなくて来年の1月以降にしたいなあと思うことがあるんですね。

それと一緒で税務調査も予算を達成してしまえば、今年はもう指摘しなくていいや!と心理的になりがちなのです。なのっで12月に税務調査結果が出ると「ラッキーかも」ということがちょくちょくあります

ただしあなたの会社がやっておくべきことはかわらない

これまで税務調査は運。という点でお伝えしてきました。しかし私たち日系企業のやるべきことは変わりません。事前に税務リスクを適切に認識・評価し、できるだけ準備する。これがとても重要です。

これをしなかったために多額の罰金や本社社長と子会社の社長の仲が悪くなってしまい、帰任しても昇給できない、退職してしまったという事例は少なくありません。そんなの嫌だと思います。

ベトナム税務調査は運だ。となり何もしないなんて愚の骨頂です。絶対やめてほしいんですよね。理由は上記のとおり、あなたにとってメンタルにもキャリアにも悪影響を及ぼすからです。

今日のまとめ

本日は『税務調査は運かも』というテーマでお伝えしました。それは税収の状態と税務調査の理不尽さは反比例であるいうことです。まさに感情で意思決定して論理で正当化するですね。

>>【M-Labo】限定動画 ベトナム税務調査の実態【論理より感情だ!】

税務調査は運的な要素が強いですが、きちんとリスクに応じて準備する必要性はあります。なにも準備しないで「運任せ」は自殺行為ですので注意してくださいね。