こんにちはマナラボの菅野です。
今日のテーマは『ベトナム税務でこんなことがあったら罰金が発生する。その内容』です。
もしあなたがベトナム税務調査でわからなすぎて実際になやんでいるとか将来メンタル的にも準備しておきたいのであるのならばお役にたてます。
ベトナムでの外資系企業の税務リスクは高いです。おそらくなんですけどまずは「外資系からなるべく税収を増やそう」というマインドセットが強いからです。ローカル会社と外資系の対応の違いに驚愕することも多いですがこれは「ベトナムでのビジネス手数料」と思ってとにかくビジネスをすすめることが大事だと思っています。
この会社からいくら取る。そのためのストーリーはなんでもある。といった構造がどうしてもあります。もちろん大きなサプライズは防止しないといけないですがそれでもある程度の金額を指摘されてしまうのは覚悟しなければいけません。理不尽さと金額のインパクトを総合的に見て判断します。
2020年10月19日、ベトナム政府は税務及びインボイスに関する行政違反処分を規定する政令125号(Decree No.125/2020/ND-CP)を発行しました。ここに申告書に関する罰則がまとめられています。
税金の申告書に間違いがあった場合の罰則
ベトナムの政令125号の5条と12条によれば税務申告書に誤りがあった場合以下の金額が罰則として課されます。まとめると以下のようになります。
要は申告書に何らかの誤りがあった場合にはこの罰則が課される可能性があるということです。
違反タイプ | 罰金の範囲 (VND) | 条文参照 |
---|---|---|
税務申告で誤った申告(納付すべき税金の不足若しくは過少、又は免税、減額若しくは還付の金額の増加につながらない場合) | 5,000,000から8,000,000 | 第5条、12条 第16条、第17条 |
税逃れとして分類される遅延税申告 | 税逃れ額に基づいて異なる | 第5条 |
違法な請求書の使用 | 違反の重大性によって決定 | 第5条、第16条、第17条 |
複数の誤った税申告 | 繰り返し/悪化事情の場合はより高い | 第5条 |
それも申告書の数あたりです。
Article 5. Sanctioning principles
3. If an entity or person commits multiple administrative violations, a penalty for each violation shall be imposed, except in the following cases:
a) If a taxpayer makes incorrect declarations in one or more required data fields contained in tax files for the same tax type at a time, the act of making such incorrect declarations falling into the case of imposition of penalties for violations arising from the implementation of tax procedures shall only be subject to the penalty for the act of making incorrect declarations in tax files of which the amount is highest amongst other penalties for those acts committed as provided herein, and shall be treated as the violation committed repeatedly under the aggravating circumstances;
Article 12. Penalties for acts of making false or incomplete declaration of information contained in tax dossiers that do not lead to any deficiency in taxes payable or any increase in amounts of tax exemption, reduction or refund
3. Fines ranging from VND 5,000,000 to VND 8,000,000 shall be imposed for one of the following violations:
a) Falsely or incompletely filling out data fields related to the determination of tax obligations in tax dossiers;
b) Performing the acts prescribed in clause 3 of Article 16; clause 7 of Article 17
引用元:No. 125/2020/ND-CP
救済処置も規定はされていますがなんともいえませんね。なお、16条と17条は
罰金の理由なんてなんとでも言えちゃうよね…。
ここでのポイントは以下の2つです。
- 申告書のミスによって税金の納税に過不足があるかは関係ない
- ミスの定義が曖昧
です。
12条の(税額の不足や税額の控除・減免・還付額の増加に至らない場合)についても規定しているということです。例えば「付加価値税の申告書」になにか形式的な「間違い」があったとしてでも罰金となる可能性があるということです。たとえば「氏名」のミスだけでも指摘できちゃうということでしょう。
正しい名前→YAMADA TARO, 申告書の名前→YAMEDA TAROも「ミス」ですが納税金額には影響ありません。
もう一つは「ミスの定義」です。これが曖昧ですし、下手をすればすべての会社から罰金を要求することができます。なんとも恐ろしい。12条の3項のa)
税務書類の納税義務の決定に関連するデー タ欄に虚偽または不完全な記入をした場合;
「虚偽又は不完全な記入」です。これって抽象的な文言なのでいかようにも解釈できちゃうんです。これが法律のトラップというか…。
上記で申し上げた通り形式的なミスでも罰金になるのですが、もう一つは「仮払いインプットVAT」の考えかたです。あなたがなにかを購入した場合、VATも払うと思いますがこれは「仮払いインプットVAT」として「預かりVAT」から控除できますし、還付もできる可能性があります。
>>ベトナム付加価値税(VAT) の仕組みを脳みそに焼き付ける!
たとえばレストランに行った時の経費のVATを申告書にインプットVATと記載して申告したとしますよね。でもその経費は「事業関連性」がないと指摘された場合、インプットVATと記載して申告書が「間違っている」と言おうと思えばちゃうわけです。あと利率とかもですね。(コロナからの救済から1部10%から8%になったんですけどこれも対象外か曖昧😭)つまり、無理ゲーなんですよね。
その気になればすべての会社に指摘できる可能性があるわけです。
そして、もう一個のポイントが「申告書の数」あたりという点です。四半期の場合、1年で4回ですので最大で考えられるのが8百万ドン✖️4の32百万ドンです。15万円くらいですから小さくはないですね。
今日のまとめ
本日は『ベトナムの税務申告に関するミスは絶対に防げない?』というテーマでお伝えしました。政令によれば「誤り」があれば「税金額に不足」がなくても罰金を指摘できるということでした。
なので金額に上限はありますが「ほしい」と思ったら企業に対して要求することができるということです。私たち外資系企業はそのことを理解して全体として「いい感じ」に落ち着く感じにもっていくことが必要なんじゃないかなと個人的には思っています。