ベトナムのケーススタディと法令ニュースです。

本日は『ベトナムから日本に出向するベトナム人が日本の本社で働いた時に「雇用保険」に加入する必要があるのか?』というトピックでお伝えしたいと思います。

ベトナム人が日本に出向するケース

最近だとベトナムから日本に出向(日本の会社と雇用関係あり)するケースもちらほら増えてきました。例えば以下のようにケースがあるかもしれません。日本の人材不足は日本の経済活動にとって大きな影響です。

  • ベトナム国(外国)から転任してくるメンバーが「日本には一時的に勤務しているだけです。日本企業を退職することはないので、日本の雇用保険に加入したくない」と主張しているけどどうなの?
  • ベトナムの雇用保険も加入しているのに日本でも加入する必要があるのか?

「雇用保険」に加入しないことは可能なのでしょうか?

原則として雇用保険に加入する必要あり

  • ①1週間の所定労働時間が20時間以上で、かつ
  • ②1か月以上継続して雇用される見込みがある方

については、日本の会社から給与が支給されている限り、雇用保険に加入する必要がある

です。つまり短期以外は「雇用保険」に加入する必要がありそうです。これは自国(ベトナム)で雇用保険に加入している場合でも、社会保険協定の判断には影響しないようです。(ただし、日本側の役所等によって言っていることが違うので注意です)

②の適用要件について 31日以上雇用が継続しないことが明確である場合を除き、この要件に該当します。

例えば、次の場合には、雇用契約期間が31日未満であっても、原則として、31日以上の雇用が見込まれるものとして、「雇用保険」が適用されます。

  • 雇用契約に更新する場合がある旨の規定があり、31日未満での雇止めの明示がないとき
  • 雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約で雇用された労働者が31日以上雇用された実績があるとき

なお、外国(ベトナムなどの国)と日本の間に社会保険協定が発効している場合は、その取り決めに従うことになります。

参考情報

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/dl/250318.pdf

ただし「企業内転勤ビザ」の場合は雇用保険に加入の必要なし?

以下のような制度もあるようです。

「企業内転勤ビザ」を持つ外国人には、原則として雇用保険は適用されません。これは「企業内転勤ビザ」は一時的な転勤や出向が主な目的であり、雇用保険の失業給付を受け取ることがないためです。

じゃあ「企業内転勤ビザ」ってなんなの?という話になりますよね。

企業内転勤ビザとは?

企業内転勤ビザは、在留資格「企業内転勤」に該当します。このビザは、企業内の人事異動により、海外の事業所から日本の事業所に転勤する専門技術者を受け入れ、企業の国際展開を支援するためのものです。

この「海外の事業所」には、日本企業や外資企業の事業所が含まれます。また、株式会社などの民間企業だけでなく、独立行政法人などの公的法人も対象です。

企業内転勤ビザの在留期間は「5年、3年、1年、3月」のいずれかで、申請者の就労予定期間、希望する在留期間、転勤契約の期間、所属機関の規模や安定性などを総合的に審査して決定されます。この決定には法務大臣の裁量があります。

企業内転勤ビザの「転勤」とは、同一会社内の異動や、子会社など系列会社への出向を含みます。異動先の会社と資本的な関連性が必要です。

要は、なにかしら関係のある(資本関係)会社からのいわゆる「出向」の場合のビザですね。

まとめ

本日は「ベトナム人が日本の親会社に出向した場合の雇用保険」について解説しました。

  • 要件(週に20時間かつ1ヶ月以上雇用)を満たす場合には必要あり
  • 企業内転勤の場合は必要なし

です。