こんにちはラボの菅野です。

今日は『政令132/2020/ND-CP第16条によると、関連当事者間で提供されるサービス』というテーマでお伝えします。

このような人のためのコンテンツです
  • ベトナムに進出しており税務リスクを心配している
  • ベトナム子会社から本社へ技術支援料等を払っていてそれの税務リスクがあると言われている

このような悩みを解決できる内容です。実際問題、「親会社への支払い」は指摘されやすいです。言い方を変えるとカモにされやすいです。税務担当官からすると「ここからは取れる!」と思っていると言っても過言ではありません。

移転価格税制の政令の規定に本社へのサービスについて規定

政令132/2020/ND-CP第16条によれば、関連当事者間(例:親子会社間)で提供されるサービスについて以下のような基本的な理解をする必要があります。

基本的な考え方を理解する

政令の文言だけに混乱させられないようにきちんと本質を理解することだめちゃくちゃ大事です。

売上に貢献してない単なる支払うだけの費用なら認めないぜ。

です。この基本的な考え方を理解する必要があります。ビジネスなんだから当然、支払った費用は直接的にせよ間接的せよ、売上貢献するでしょ?その基本的な考え方をを親子会社間の取引で無視したらそれはベトナムの国で法人税が減るからダメだよ(利益が減る)。というベトナム国のメッセージを理解する必要があります。

支払うのであればそれは収益に貢献する必要があるとの考えかたです。

以下が根拠条文です。要は、

  • 収益に貢献してない場合(例:子会社から単なる親会社の支払い)
  • 貢献してるかもだけど親会社への支払い金額大きくない?

の場合は、損金になりません。という規定です。

第16条 関連当事者間取引における税額算定のための費用の決定

1.独立企業間の取引の実態に合致しない、または納税者の売上や収益の創出に貢献しない関連当事者間の取引費用は、特定の課税期間内に法人所得税の課税所得を決定する際、控除対象の費用として認められません。これには以下の費用が含まれます:

  • a) 納税者の業種や事業に関連する事業や生産活動を行っていない関連当事者への支払い費用。または、納税者に提供された資産、商品、サービスに関する権利や責任を持たない関連当事者への支払い費用。
  • b) 事業や生産活動を行っているが、その資産の規模、従業員数、運営機能が、納税者から得た取引価値に見合わない関連当事者への支払い費用。
  • c) 法人所得税を徴収しない国や地域に所在する居住者であり、納税者の事業や生産活動において売上や付加価値の創出に貢献しない関連当事者への支払い費用。

引用元:政令132/2020/ND-CP第16条

こんな場合は大丈夫?

逆にいえば以下の場合は大丈夫だよと言っています。政令132/2020/ND-CP第16条によるば、関連当事者間(親子会社間、親会社への支払い)で提供されるサービスは、以下の条件をすべて満たす場合に法人税上の損金算入となります。

  • ①提供されるサービスには商業的・財務的・経済的価値があり、納税者の生産・事業活動に直接的に貢献→親会社にお金はらっているけどちゃんと価値あるサービスを受けているの?
  • ②関連当事者からのサービスは、これらのサービスの料金を支払う独立当事者と同様の状況で提供される。→価格妥当? 普通のマーケットなら100万円なのに1,000万円も払っていませんか?
  • ③サービス料金は独立企業間原則に基づいて支払われており、同じサービスに対して関連取引価格の計算方法や関係者間でのサービス料金の分配方法はグループ内で一律に適用されている。そして、納税者は提供されるサービスに関する契約書・請求書・証憑・計算方法・配分係数・グループ内の価格設定ポリシーを提供する必要がある。→価格は妥当? グループ内で整合性ある?タイとベトナムで違くない?そのエビデンスある?
  1. 関連当事者のサービス料について:

a) 本条のb項に記載された支払いを除き、納税者は以下の要件を満たす場合に、特定の課税期間内の課税対象費用からサービス料を控除することができます。サービスが商業的、財務的、経済的価値を持ち、納税者の事業や生産活動に直接使用されていること。関連当事者が提供したサービスは、非関連当事者に対して請求されるのと同じ条件で提供されたことが確認されていること。独立企業間原則および移転価格算定方法、または関連当事者間のサービス料の配分方法が、グループ全体で統一して適用されていること。納税者は、契約書、証拠書類、請求書、計算方法、配分要素およびグループの価格政策に関する情報を提供しなければなりません

専門的な機能を果たすセンターと連携し、グループに付加価値を創出するシナジーがある場合、納税者はこれらの機能から創出された総価値を決定し、関連当事者の参加によって創出された価値に応じて利益の配分を特定し、同様の性質を持つ独立企業間の取引において控除されたサービス提供や調整機能を果たすために関連当事者に支払われたサービス料に関連するものです。

b) 課税所得から控除されないサービス料には、他の関連当事者に利益や価値を提供するためだけに提供されたサービスにかかる費用、関連当事者の株主に利益を提供するために提供されたサービス、複数の関連当事者が同じサービスを提供することにより繰り返し請求される費用、または納税者に提供される付加価値が明確でないサービス、納税者が法人のメンバーとして得る利益と同じ性質のサービス、または関連当事者が第三者から提供されるサービスに追加価値を加えることなく、関連する仲介者を通じて提供される費用が含まれます。

引用元:政令132/2020/ND-CP第16条

当たり前ですが全て損金否認されたら大変です。

本日のまとめ

今日は『親会社への支払い(技術支援、コミッション、経営指導料)は税務リスクが高い。こんなことに留意しよう』というテーマでお伝えしました。

まとめると以下のような要件を満たすことによって親会社への支払いはきちんと損金算入することが可能です。ただ、判断が入る余地(例えば、ベトナムの売上ん貢献してないよね。とか、金額大きくない?とか)があるのでやっぱり税務リスクは高いです。

  1. サービスの価値: 納税者が親会社に支払っているお金が、実際に事業や生産活動に役立つ価値のあるサービスに対するものであるかどうかを確認する必要があります。

  2. 価格の妥当性: サービスの価格が通常の市場価格と比較して妥当であるかを確認します。市場では100万円で提供されるサービスに対して、1,000万円も支払っていないかどうかが問題です。

  3. グループ内の整合性: 同じサービスに対する料金が、グループ内の他の国(例えばタイとベトナム)で一貫性があり、独立企業間原則に基づいて計算されているか、そしてその証拠がきちんと揃っているかを確認します。

お役にたてれば幸いです!