こんにちはラボの菅野です。
本日は「キャッシュ・フロー計算書(間接法)の構造と決算書との整合性」というテーマでお伝えしていきます。
間接法のキャッシュフローの構造
まず、キャッシュフロー計算書とは何かを理解することから確認していきましょう。前提条件なので大事です。
キャッシュフロー計算書は、企業の現金の流れを示す財務諸表の一つであり、企業の現金収入と支出を把握するための重要なツールです。要はお金の流れを表す決算書です。
そして「間接法」の定義です。
キャッシュフロー計算書の間接法は、企業の営業活動によるキャッシュフローを算出するための手法であり、損益計算書に記載された税引前当期純利益を基にして行われます。この方法では、営業利益に関係のない項目を加減算することで、実際のキャッシュフローを求めます。
要は、
- 損益計算書の税引き前の利益から開始して
- 調整して(①取り除く②ズレを調整する③お金の出ない費用を調整する)
お金の増えた・減ったを表す方式の計算書です。
なにを「調整する」の?
では税引き前の利益から開始してどのように調整するのでしょうか?ちょっと上でも記載していますが、
- ①取り除いてあげる(本業の儲けを知りたいから支払い利息などを除く)
- ②ズレを調整してあげる
- ③お金の出ない費用を調整する
①は、営業外収益(例:受取利息)や営業外費用(例:リース資産の支払利息)を調整します。これにより、営業活動に直接関係しないキャッシュフローを除外するということです。
②のズレの調整は資産・負債の増減の調整です。売掛金や受取手形の増減、棚卸資産、買掛金、支払手形の増減など、営業活動に関連する資産や負債の変動を調整します。ここに前払費用の増減も入ってきます。
最後に③のお金の出ない費用の調整です。非資金損益項目の調整とも言います。例えば、減価償却費やのれん償却費などの非資金損益項目を加算します。
じゃあ、損益計算書の情報と一致しますよね。
③の調整では「減価償却費」と記載しましたね。費用だけでお金が出ていかない項目です。
なのでベトナム会計の「減価償却費」と一致するはずです。具体的には
- 6414(販売費に関わる)
- 6424(管理費に関わる)
- 6274(製造に関わる)
- (これに加えて売上原価に振替された減価償却費632など)
の合計と一致するはずです。しかし例外があります。それは「土地利用権の償却費」がある場合です。ベトナムでは土地を保有することができないので利用権(賃借料)の費用を払います。一般的には利用権を一括で支払い(最大50年)、前払費用として計上し償却していきます。
– Increase or decrease in prepaid expenses (Code 12)
This item is set up based on the total difference between the ending balance and the beginning balance of Account 242 “prepaid expenses” in the reporting period on the basis of having excluded prepaid expenses related to cash flow from investment, such as: land rents qualified for being recorded as intangible assets and prepayments of interest capitalized.
そのため、この分は②のズレを調整してあげることで間接法のキャッシュフロー計算書が作成されそうですが違います。土地の利用権の償却は③に含めてね。となっています。
つまり、間接法のキャッシュフローの「償却費」と損益計算書等の決算書との整合性を確かめるためには以下を考慮する必要があります。
- 6414(販売費に関わる)
- 6424(管理費に関わる)
- 6274(製造に関わる)
- (これに加えて売上原価に振替された減価償却費632など)
- ➕前払費用の償却に土地分があればその分
資産化された利息の前払費用の償却なんかも土地と同様な考え方をするのですがマニアックなので無視していいです。
まとめ
今日は間接法のキャッシュ・フローの構造と決算書の整合性というテーマでお伝えしました。
- 間接法は損益計算書の利益から開始して調整して作成される
- 非資金項目は減価償却費と一致するが、土地の償却(前払費用の償却)がある場合はそれも加味しないとダメ
お役にたてれば幸いです!