こんにちはラボの菅野です。
実は2024年の8月に中国の成都というところに短期間ですが来ています。この成都というところ、どうやらパンダ(熊猫)で有名のようです。
成都は中国四川省の省都であり、パンダの故郷として世界的に有名で、このパンダは成都の象徴的な存在であり、観光や文化的アイデンティティの重要な部分を占めています。そう、街はパンダ一色なんですよね。
私の仕事柄どうしても会計や税務とリンクさせる習慣があり、パンダに関する会計や税務を調査してみました。
パンダは中国から世界中にレンタルされている!ベトナムは?
まずジャイアントパンダは、現在、野生では中国にしか生息していません。具体的には、四川省、陝西省、甘粛省の山岳地帯に限られた地域に生息していりようです。
かなり昔だと思いますが、かつてはパンダは中国全土やミャンマー、ベトナムにも広く分布していたようですがが、数千年にわたる気候変動や人間の活動(森林伐採や農地開発)によって生息地が縮小したようです。パンダは主に竹(よく映像でみますよね)を食べるため、竹林が豊富な高山地域に生息しています。竹は栄養価が低いため、パンダは大量に食べる必要があります。そのため、竹が豊富な特定の地域に限定されているのです
まあ、気候と主食(竹)が一致していないとパンダはそもそも生きれないということなんでしょうね。
なので私たちが上野や和歌山で見るパンダはパンダから「借りて」きているんです。
中国からパンダをレンタルしている国は日本以外にも複数あります。具体的な例を挙げると:
- アメリカ
- シンガポール、スペイン、フランス、ベルギー
- ドイツ、マレーシア:
- 韓国、オランダ
- フィンランド、オーストラリア、デンマーク、ロシア
- そして日本も!
これらの国々は、中国と「パンダ繁殖研究合作協議」の契約を結んでパンダをレンタルしているようです。通常、健康で繁殖力のあるつがいのパンダを10〜15年間レンタルする形式が一般的だとか。
パンダのレンタルの条件としては、以下のようなものがあります:
- 気候条件と環境が整っていること(暑すぎてもだめですね)
- パンダの飼育能力があること(そうじゃないと健康に問題が生じる可能性があり死んでしまいます)
- パンダのための研究計画が策定されていること(そもそも趣旨だそうです)
- 必要に応じた各種の支払いができること(中国へのレンタル料が必要です。「保護活動や研究費」に充てられれると)
お金の部分も大事なので比較的、裕福な国に限られていますね。ベトナムは現在はレンタルしていないのでパンダを見ることはできません。
なお、この背景にある政治的なお話はここでは一才しません。
じゃあいくらでレンタルしているの?
だいたい1頭あたり年間で5千万円くらいだそうです。
中国へのレンタル料は通常、1頭あたり年間約50万ドル(約5400万円)です。上野動物園の場合、2頭で年間約95万ドル(約1億800万円)を中国側に支払っています。
「高い!」と思うかもしれませんね。
レンタル料は主に受け入れ側の動物園が負担します。ただし、地方自治体や企業からの支援を受けている場合もあります。なので上野動物であれば上野動物園が負担しているようです。
契約期間:通常、健康で繁殖力のあるつがいのパンダを10〜15年間レンタルする形式が一般的。
追加費用:レンタル料以外にも、パンダの飼育には特別な施設、餌、専門スタッフなどが必要で、受け入れ側の動物園にとって経済的支出が発生します。
考えられる会計処理や税務の観点
パンダのレンタルに関する会計処理と税務上の処理について、以下のようにまとめることができます:会計処理の予想
- レンタル料の計上:
- 支払時に「支払手数料」などの費用科目で計上します。
- 例: (借) 支払手数料 100,000,000 / (貸) 現金預金 100,000,000
- その他「委託料」や「使用料及び賃借料」などの科目でも処理されているかもしれません。
- 前払費用の処理:
- 数年分を前もって払う場合などの年間契約の場合、未経過分は前払費用として資産計上します。
- 例: (借) 前払費用 50,000,000 / (貸) 支払手数料 50,000,000
- 減価償却:
- パンダ飼育施設などの固定資産は減価償却を行って費用化させていきます。
- 例: (借) 減価償却費 10,000,000 / (貸) 減価償却累計額 10,000,000
税務上の処理:
- レンタル料:
- 通常の事業年度の必要経費として損金算入できるはずです。
- 施設投資:
- 固定資産として計上し、法定耐用年数に基づいて減価償却を行います。
- 海外送金:
- 源泉徴収や消費税の取り扱いに注意が必要でしょうね。
- 寄付金:
- レンタル料の一部が寄付金的性質を持つ場合、損金算入限度額の規制を受ける可能性があります。
- 交際費:
- パンダ関連のイベント費用などは、交際費等として取り扱われる可能性があります。
ざっとこんな感じです。動物の場合、固定資産で計上される可能性もありますがパンダはレンタルなのでそうはならないでしょう。
パンダのレンタル料は高いのか?を会計思考で考えてみよう!
上野動物園の場合、2頭で約1億円でしたね。これが高いのか?をざっくり考察してみましょう。以下のような情報を集めました。
- 上野動物園の売上;年度によって違いますが大体90億円程度
- 人件費:ざっくり30億
- 付加価値:データを見ると意外と外注費が大きいことがわかりました。不明なところもあるので付加価値は算出しませんでした。
以下のデータから金額をもとにおおまかに予想してみました。
https://www.tzps.or.jp/pdf_files/management_reform_plan.pdf
2頭で1億だとすると売上に対する割合は1%強です。そう考えると小さい投資であるとも感じますよね。じゃあ、パンダによってどれだけ売上が増えたのか?という記事を調べてみました。
- 2011年に来日したリーリーとシンシンの公開は、シャンシャンの公開と比べて入園者数を3倍以上増加させる効果があった
- シャンシャンが2017年6月に誕生し、一般公開が始まった際、上野動物園の入園者数は前年比で17%増加しました。2018年には約340万人が上野動物園を訪れ、前年比で約10%の増加が見られました。
- シャンシャンの人気により、上野動物園は2017年度に入園者数が6年ぶりに400万人を超えました。この年の入園者数は418万535人で、前年の384万人を9%上回りました
- シャンシャンの一般公開と同時に始まったインターネットによるライブ映像配信も好評で、アクセス数が2千万回を超えました。これにより、パンダの人気が集客に大きく寄与していることが裏付けられています
引用元:https://www.all-senmonka.jp/moneyizm/77247/
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28548380U8A320C1000000/
明らかに売上増に寄与しています。そう考えると(投資とリターン)動物園にとってはそこまで大きなレンタル費用ではないとも考えることもできますよね。10%の影響だとおおよそ9億円くらいです。入園者が3倍となったのであればリターンももっと大きいと言えますよね!
お金を使う場合には
- 消費
- 投資
- 投機
などにきちんと分けて考えるといいお金の使い方ができると思います。
2024年の都知事選をきっかけにちょっと話題にもなったプロジェクションマッピングとも会計思考といった意味で関連しています。プロジェクションマッピングに「投資」という発想があって「リターン」がどれだけあったの?といった思考がどうしても大事なんです。目的や経済的な話、夢じゃなくてリアリティな視点がないとやっぱり難しいんですよね。
参考になれば幸いです。