今話題になっているフジテレビのお話し。
タレント中居正広の女性トラブルに関し、フジテレビ社員の関与が報じられたことを受け、日本生命、トヨタ自動車、明治安田生命、NTT東日本、アフラック生命保険などの大手企業がフジテレビでのCMを当面差し止めると発表しました。これが大きな反響を呼んでいますよね。
本日はここから学ぶ「会計思考」というテーマでお伝えします。どんな企業であれ、「会計」が絡んでくるのです。
この記事のもくじ
まずはテレビ局のビジネスモデルを理解しましょう!
テレビ業界ビジネスモデルを理解することはとても大事です。
広告収入ビジネスモデル
テレビ局は、広告収入を主な収益源としています。これはわかりやすいですよね。みなさんがテレビを見てればCMが流れるでしょう?広告したい会社(代理店を通じて)からお金をもらっています。これには、以下の2種類があります。
タイム収入:番組の放送時間内に放送される広告から得られる収入です。
例)ドラマやバラエティ番組内で挿入されるCM。スポット収入:番組間や特定の番組に関係なく放送される広告から得られる収入です。
例)ニュース番組とドラマの間に流れる広告。
そして(株)フジ・メディア・ホールディング(以下、フジテレビ)の場合は大きく以下に分類されています。
- メディア・コンテンツ事業
- 都市開発・観光事業
の2つです。
メディア・コンテンツ事業のビジネスモデル
広告収益モデル
上記の通りですね。もう一回記載すると…
- タイム収入: 特定の番組内で放送される広告から得られる収入。
- スポット収入: 番組間や特定の番組に依存しない広告から得られる収入。
コンテンツ配信モデル:動画配信サービス(FODなど)の月額課金や視聴回数に応じた収益。映像コンテンツや音楽ソフトの販売、デジタル配信収入。
イベント・ライセンス事業:自社制作番組を活用したイベントの開催や、グッズ販売、コンテンツのライセンス供与による収益。
都市開発・観光事業のビジネスモデル
よくサンケイビルという言葉を聞きますよね。ここと関連するビジネスです。わかりやすくいえば「不動産の家賃収入」です。
不動産開発と賃貸モデル:レジデンス、オフィス、物流施設などの開発・賃貸による安定収益。不動産の販売や資産の売却によるキャピタルゲイン。
ホテル・リゾート運営モデル:観光需要に応じたホテルやリゾート施設の運営による宿泊収益。施設内の飲食やイベントによる追加収益。
投資運用モデル:不動産投資信託(REIT)を活用した資産運用による収益拡大。
フジテレビからスポンサー消える 日本生命、トヨタなどがCM差し止めの意味とは?
冒頭で申し上げた通り、大手企業がぞくぞくとCMを差し止めしています。これがどう会社のP/Lに影響を与えるか?です。当然ですが広告収益が減少しますよね。
2024年3月期の「メディア・コンテンツ」の売上を見ると以下のようになります。
- 売上高: 4,336億円(全体の74.5%を占める)
- 営業利益: 157億円(前年比43.4%増)
この売上減少するということです。1月19日時点で以下のようですがこれからもっと増えていくと思います。
スポニチ本紙の調べでは、この日午後4時までに、番組CMなどを除いた全393枠のうち40本がACに変更
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/7baa84188f7ce5d72dcbdb7fedf3b283dd4a06ca
現状のまま続くとものすごい売上げ減少する可能性があるというわけですね。仮に売上が減るとするといわゆるリストラも必要になるかもしれません。
気になる指標:1人当たりで分析
ここから分析です。比較するとわかりやすいので日テレと比較します。なおソースは以下のリンクです。かなり有用な情報を提供しているサイトなのでぜひ参考にしてください。
1人当たり営業利益
フジは約6300人程度で日テレは5100人くらいです。
一人当たり営業利益ですがフジが約5百万円で日テレが9百万円。1人当たり営業利益ですので大きいと思います。ぜひ自分の会社と比較してみてください。私の会社と比較すると雲泥の差です😭
平均給与だと?
フジは約15百万円で日テレは13百万円くらいです。平均ではありますがかなり給与の高い!会社であることがわかります。
年収1,000万円を超えている人の割合は5.5%程度と言われいることからも高い水準だということがわかりますよね。
ただ、これも「広告収入」が大きく減ることことで、大きな影響がでるはずです。
気になる指標:PBR!
ここも気になります。まず定義ですが以下のリンクを参照ください。
>>PERとPBRを会計的な視点とビジュアル化で説明してみた!【図解】
これは2024年3月末時点で約0.5倍だと言われています。これがどういうことか?というと純資産の半分くらいの株価しかないということです。言い換えると市場からの評価が低い!ということです。
例えば1,000を出資して会社を作ったあとにその会社は500の価値しかないと思われているということです。やばいですよね。
なのでフジが全資産を売却すればもしかしたら株価が倍になるかもしれないという考え方もできます。
PBRが低いと「割安」と判断される場合もあります。お得だから買っておこう!と思う投資家もいます。けれども、過去の不祥事や視聴率の低下、広告収益の減少、将来への期待が薄いことから、投資家からの評価が下がっている可能性もあります。「テレビも終わるって言われているし将来性がねいかな」という評価です。
フジテレビのPBRが0.5倍であることは、現在の株価がその純資産に対して低く評価されており、収益力や成長性に対する市場の信頼が弱いことを表していると思っています。
株主の権利はどう?何ができる?
売上を元に戻すには経営陣が変わる必要があると株主は判断する可能性が高いです。じゃあ株主ってどんな権利あるの?と気になると思います。
会社の役員を解任する訴えを提起する権利が大きいですね。3%で出来ます。
持株数・持株比率 | 権利内容 | 詳細 |
1株以上 | 議事録閲覧権 | 株主総会・取締役会・監査役会等の議事録を閲覧する権利。 |
株主代表訴訟 | 株主が原告となり、会社役員の責任を追及する訴訟を起こす権利。 | |
1%以上 | 株主総会での議案請求権 | 持株比率1%以上または議決権300個以上を有する株主が、取締役に対して株主総会に提出する議案を通知するよう求める権利。 |
3%以上 | 株主総会の招集請求権 | 持株比率3%以上(6か月以上継続保有)を持つ株主が、株主総会の招集を取締役に請求する権利。 |
会計帳簿閲覧及び謄写請求権 | 会計帳簿や資料を閲覧・コピーする権利。請求時には理由を明示する必要あり。 | |
⭐️会社の役員を解任する訴えを提起する権利 | 役員の職務執行に関して不正や法令違反などがあるにも関わらず、解任する旨の議案が株主総会で否決された場合に、解任の訴えを裁判所に提起可能 | |
会社の業務執行に関して検査役の選任を要求する権利 | 会社の業務執行に関して疑いがある場合に、株主に代わって検査役が調査してくれます | |
33.4%以上(1/3超) | 特別決議単独否決権 | 特別決議を単独で否決できる権利。 |
株主総会特別決議の可決要件 | 特別決議は出席株主の議決権の2/3以上の賛成が必要(定款で変更可能)。 | |
50%以上(1/2超) | 普通決議可決権 | 株主総会の普通決議を単独で可決できる権利。例:役員報酬変更、剰余金の配当、役員の選任・解任。 |
66.7%以上(2/3超) | 特別決議可決権 | 株主総会の特別決議を単独で可決できる権利。例:株式併合、定款変更、M&A、増資、会社解散など。 |
90%以上 | スクイーズアウト | 90%以上の株式を保有する特別支配株主が、他株主に対して株式を売り渡すよう請求できる権利。 |
100% | 全決議可決権 | 株式総会のすべての決議を単独で可決できる状態(例:一人会社やIPO前の会社)。 |
こんな感じです。なおベトナムの場合は以下の通り。
>>ベトナム有限責任会社の運営必須ガイド:【投資家の保有割合と2つの決議要件】
まとめ
時代の大きな変化を感じますね。今後も見守っていきたいと思います。