ベトナム現代の労働環境では、従業員が個人的な事情で無給休暇を申請するケースが増えています。無給休暇申請書は、休暇の理由や期間を企業に正式に伝え、許可を得るための重要な文書です。本記事では、無給休暇申請書の内容解説と具体的な書き方ガイドラインをお届けします。
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そもそも無給休暇申請書って何?
無給休暇申請書とは、給与を受け取らずに一定期間休暇を取りたいときに、雇用主に許可を求めるための正式な文書です。この申請書には、休暇の理由や期間を明確に記載する必要があります。有給が残っていないときなどでしょうね。
こんなときに無給休暇申請書が必要!
- 健康上の理由:手術後の療養や定期的な通院が必要な場合。
- 家庭の事情:結婚式や葬儀、家族の看護など。
- 自己啓発:スキルアップのためのコースやトレーニング参加。
- その他個人的な理由:長期旅行、引っ越し、新しい職場探しなど。
無給休暇申請書を提出することで、仕事に戻った後もスムーズに職場での関係を保つことができます。
ベトナム無給休暇に関する法的根拠
無給休暇は、ベトナムの労働法や関連法令でしっかりと規定されています。以下は、主な法的根拠のまとめです。
- どんな場合?
- 社会保険との関連
- 会社は拒否できる?
との観点です。
2019年労働法第115条
従業員は以下の場合、事前に通知することで有給休暇を取得できます。
- 結婚:3日間の休暇。
- 実子または養子の結婚:1日間の休暇。
- 両親や配偶者、実子または養子の死亡:3日間の休暇。
- 祖父母や兄弟姉妹の死亡:1日間の休暇。
上記以外の場合、雇用主との合意があれば無給休暇を取得可能です。この規定により、柔軟に対応できる余地が生まれます。
社会保険に関する規定(2017年決定595/QD-BHXH第42条第4項)
- 無給休暇が月に14日以上の場合:
- その月の社会保険料は支払われません。
- ただし、この期間は社会保険の加入期間として計算されません。
- 無給休暇が14日未満の場合:
- 社会保険料は通常どおり支払い、保険の加入期間として計算されます。
無給休暇の拒否に関する罰則(2022年政令12/ND-CP第18条第1項)
- 従業員が法的に認められた無給休暇を申請したにもかかわらず、雇用主がこれを不当に拒否した場合、2〜5百万VNDの罰金が科されます。
無給休暇申請書の書き方ガイド
無給休暇申請書を作成する際には、以下の指示に従って記載してください。各ステップに対応する項目を具体的に記入することで、スムーズな承認を得られる可能性が高まります。
申請書の構成と記載項目
1. 会社名
[1] 従業員が現在勤務している会社名を記入してください。2. 審査・承認者の部署名と役職
[2] 無給休暇申請を審査・承認する権限を持つ人の部署名、役職を記入してください。3. 所属部署
[3] 従業員が勤務している部署/課/セクション/チームを記入してください。4. 承認者の部署名と役職
[4] 審査・承認する権限を持つ人の部署名と役職を記入してください。5. 休暇期間
[5] 無給休暇の申請期間の開始日と終了日を具体的に記入してください。6. 休暇理由
[6] 休暇申請の理由を具体的かつ合理的に記載してください。一般的な理由(例:「個人的な理由」「家族の用事」)は避け、詳細に説明しましょう。7. 引き継ぎ担当者情報
[7] 業務を引き継ぐ人の氏名、役職、部署を記入してください。8. 引き継ぎ業務内容
[8] 引き継ぐ業務内容を具体的に記入してください。詳細に記載することで、引き継ぎがスムーズになります。9. 署名
[9] 申請者が署名し、氏名を明記してください。
無休休暇申請書が提出されたら?
べトナム法人で働く従業員から無給休暇申請書が提出された際、適切な対応を行うことは、従業員との信頼関係を築き、職場の雰囲気を向上させるために非常に重要です。ここでは、日本人社長の視点で、無給休暇申請を効率的かつ公正に対応するためのポイントをご紹介します。
1. 具体的で合理的な理由を求める
無給休暇の申請理由が明確であることは、承認の重要なポイントです。「家族の事情」や「個人的な理由」のような曖昧な記載は避け、以下のように具体的に理由を記載させましょう:
- 適切な例:
- 「母親の病院への付き添いが必要なため、2025年2月1日から10日間の休暇を申請します。」
- 「資格取得のため、短期集中講座に参加する必要があります。期間は2025年3月1日から2025年3月15日です。」
アドバイス:
申請書には、理由が詳細に書かれているかどうかを確認し、不足している場合は追加の説明を求めましょう。これにより、不必要な混乱を防ぎます。
引き継ぎ業務の計画を確認する
無給休暇中の業務が滞らないことを確認することは、企業運営において非常に重要です。引き継ぎ計画の具体性を確認する際、以下をチェックポイントとしてください。
- 誰が業務を引き継ぐのか?
- 引き継ぎ担当者の名前、役職、部署が記載されているか。
- どの業務を引き継ぐのか?
- 業務内容や引き継ぎに必要な資料、手順が明確に記載されているか。
- 引き継ぎが完了しているか?
- 引き継ぎが申請前に完了しているか確認し、必要に応じて担当者に確認を取る。
アドバイス:
「業務引き継ぎの詳細記載が不十分」と判断した場合は、補足説明や引き継ぎ状況の確認を従業員に依頼してください。
申請書のフォーマットと内容を統一する
従業員全員が同じ形式で無給休暇申請を行うことで、管理がスムーズになります。以下のような統一フォーマットを推奨します:
- 申請書の構成:
- 従業員の氏名、役職、部署
- 休暇期間(開始日と終了日)
- 休暇理由(具体的かつ簡潔)
- 引き継ぎ業務の詳細(担当者と内容)
- 申請者の署名と申請日
アドバイス:
法人内で申請書のテンプレートを用意し、従業員全員に共有することで、情報の不備を防ぎ、承認プロセスを効率化できます。
社内規定を明確にする
無給休暇に関するルールを社内で明確に定めておくことで、従業員に一貫したメッセージを伝えられます。例えば:
- 休暇日数の上限: 連続して取得可能な日数や頻度を設定。
- 承認プロセス: 提出期限、上司や人事部門の承認手順を明確化。
- 例外対応: 特殊な状況(例:緊急の家族の事情)に対する柔軟な対応策を規定。
アドバイス:
規定はベトナムの労働法(例:2019年労働法第115条)に準拠させ、従業員に定期的に説明会を行うことで理解を深めます。
フォローアップの仕組みを整える
無給休暇中の従業員との連絡が途絶えないよう、フォローアップの仕組みを設けましょう。以下の方法が効果的です:
- 定期的な進捗確認: 長期休暇の場合、定期的に従業員と連絡を取り、復帰予定や状況を確認。
- 復帰後のサポート: 復帰後にスムーズに業務に戻れるよう、状況確認や研修を提供。
お役にたてれば幸いです。