2024年12月22日、政治局は「科学、技術、イノベーション、そして国家デジタルトランスフォーメーションの飛躍的進展」に関する決議第57号(No. 57-NQ/TW)を発表しました。

この決議は、ベトナムが2030年と2045年に向けた目標を達成するための道筋を示したものです。この記事では、その内容をわかりやすくお届けします。

決議第57-NQ/TWとは?

科学技術やデジタル技術の発展は、世界中で国家の成長にとって重要な役割を果たしています。ベトナムも例外ではなく、この決議は、より良い未来を築くための具体的な計画を示しています。

科学技術、イノベーションおよびデジタルトランスフォーメーションを発展させることは、国の発展にとって決定的な要素であり、新たな時代において豊かで強力な国を築くための前提条件であり、最良の機会となります。

これまで、党と国家は科学技術の応用と発展、イノベーション促進およびデジタルトランスフォーメーションの推進、そして第4次産業革命への積極的かつ主体的な参加に向けた多くの政策や方針を打ち出し、重要な成果を達成してきました。

しかしながら、科学技術、イノベーション、国家デジタルトランスフォーメーションの発展速度と飛躍的な進展は依然として遅く、規模、潜在力、科学技術とイノベーションのレベルは先進国に比べて大きく劣っています。また、多くの階層、部門、公務員、国民のデジタルトランスフォーメーションへの理解が十分でなく、科学技術やイノベーションの研究・応用においても飛躍的な成果が得られておらず、戦略的技術や基幹技術を十分に掌握していません。法的制度、仕組み、政策も必要要件を満たしておらず、高品質な人材も不足しており、特にデジタルインフラが未整備で、多くの課題を抱えていると判断しているようです。

そのため、戦略的で革命的な政策と決定が求められており、これにより科学技術の発展、イノベーション、デジタルトランスフォーメーションに新たな原動力を与え、2030年までに「現代的な産業を持つ中所得国」、2045年までに「高所得の先進国」となる目標を達成するための基盤を築く必要があります。

2030年までの短期目標と、2045年までの長期ビジョンに焦点を当てています。

ベトナムの2030年までの目標とは?

2030年までにベトナムは以下の目標を達成することを目指しています。

1. 科学技術とイノベーションの潜在力とレベル

  • 重要分野での発展
    科学、技術、イノベーションの潜在力とレベルを多くの重要な分野で先進的なレベルに引き上げ、上中所得国の中で上位グループに位置する。
  • 企業のイノベーション力向上
    企業の技術とイノベーション能力が世界平均を超える。
  • 国際的な評価
    いくつかの科学技術分野で国際的水準に到達する。ベトナムはデジタル競争力と電子政府開発指数で東南アジアのトップ3、世界トップ50にランクインする。人工知能(AI)の研究開発で東南アジアトップ3を目指す。数値が入っていいですね。
  • デジタル技術産業の中心形成
    ベトナムがデジタル技術産業やその分野で中心的な地位を確立し、少なくとも5社のデジタル技術企業を先進国と同等のレベルに引き上げる。

2. 経済指標の目標

  • TFPの寄与率
    総要素生産性(TFP)が経済成長への寄与率を55%以上にする。
  • ハイテク製品の輸出
    高技術製品の輸出が輸出総額の50%以上を占める。
  • デジタル経済の拡大
    デジタル経済の規模をGDPの30%以上にする。
  • オンライン公共サービスと非現金取引
    国民および企業によるオンライン公共サービスの利用率を80%以上、非現金取引率を80%以上にする。
  • イノベーション活動を行う企業の割合
    イノベーション活動を行う企業の割合を全企業数の40%以上にする。

3. 研究開発(R&D)への投資

  • GDP比率
    研究開発(R&D)への支出をGDPの2%に引き上げ、そのうち社会支出が60%以上を占める。
  • 国家予算の配分
    年間予算の少なくとも3%を科学技術、イノベーション、デジタルトランスフォーメーションに割り当てる。
  • 人材と組織の育成
    科学技術とイノベーション分野の人材を10,000人あたり12人に増やす。国際的に評価される科学技術機関を40〜50機関設立する。

4. デジタル技術インフラの整備

  • 近代的なデジタルインフラ
    高度で近代的なデジタル技術インフラを整備し、戦略的デジタル技術(AI、IoT、ビッグデータなど)を習得する。
  • 全国的な5Gカバレッジ
    全国的に5Gカバレッジを実現し、スマートシティの建設を主要都市で完了する。
  • 主要技術企業の誘致
    世界有数の技術機関および企業を少なくとも3社誘致する。

5. 国家デジタルガバナンス

  • 中央と地方の接続
    中央から地方までの行政管理をデジタル環境でスムーズに接続する。
  • データベースの整備
    国家データベースおよび業界データベースを整備し、デジタル資源を効果的に活用して経済・社会を促進する。

2045年のベトナムのビジョン

決議57-NQ/TWに基づく2045年のビジョン
第2章第2節では、2045年に向けたベトナムの目標が以下の通り明確にされているようです。

1. 持続可能な発展

科学技術、イノベーションおよびデジタルトランスフォーメーションが持続的に発展し、ベトナムを高所得の先進国にする。デジタル経済がGDPの50%以上を占める。

高所得の先進国にするというのにものすごい意気込みを感じますね。

2. 国際競争力の強化

デジタル技術企業の割合を先進国と同等に引き上げ、少なくとも10社を国際的なレベルに成長させる。世界有数の技術機関・企業を5社以上誘致し、研究および生産拠点を設立する。

毎年の「国家デジタルトランスフォーメーションデー」の目的とは?

2022年の「決定505/QD-TTg」第1条に基づき、10月10日を「国家デジタルトランスフォーメーションデー」と制定。第2条では以下の目的が定められています。DXですね〜。

  1. 計画の加速
    2025年までのデジタルトランスフォーメーションプログラムを効率的に実施し、2030年のビジョンを達成する。
  2. 意識向上
    デジタルトランスフォーメーションの重要性と利益について社会全体の認識を向上させる。
  3. 社会全体の参加促進
    政治システム全体およびすべての国民が一丸となり、デジタルトランスフォーメーションを成功させる。

決議57-NQ/TWは、ベトナムが未来のチャンスを掴むための重要な指針です。これを実現するためには、政府、企業、そして国民一人ひとりが目標達成に向けて協力し合う必要があります。

「2030年と2045年、どんな未来が待っているのか?わたしたちもベトナムの挑戦を一緒に見守りましょう!」