テレビのニュースでは取り上げられていませんが、ネットでは話題になっていますね。「財務省解体」。
2025年2月、日本では「財務省解体デモ」が複数回実施されました。特に2月21日には、東京・霞が関の財務省前で約1000人が参加する大規模なデモが行われ、参加者は消費税廃止や財務省の解体を訴えたようです。
このデモには、人気YouTuberのヒカル氏や実業家の三崎優太氏(青汁王子)などの著名人も参加し、SNSやYoutubeを通じて情報を発信。これが私の目に入ってきたんですね。
ヒカル氏が公開したデモに関する動画は大きな反響を呼び、公開から2日足らずで高評価が10万を超えるなど、多くの人々の関心を集めたんです。
こんなことや財務に感することで、少し気になってので深堀しました。
なお特に政治的なことに意見を言うつもりは全くありません。あくまで「会計リテラシー」があると深い見方もできるようになるよねっていう思いで記事を書いています。
なにが不満で財務省の解体を求めているのか?
まず、ここです。SNSでいろいろ出てくるんですがた「財務省解体」を求めているのか?がわからなかったのです。「財務省解体」の文字だけが独り歩きしているような気がしました。調べてみると以下のような不満をもっているということがわかりました。ただ、本当のところはわからないところもあるんですけどね。
緊縮財政政策への反発:財務省が推進する緊縮財政政策により、公共サービスや社会保障が削減され、国民の生活が圧迫されているとの批判が高まっています。特に、国民に対する還元が少ない一方で、外国人や外国への支援が多いと感じているみたいなことですね。2025年2月28日の報道によれば、石破茂首相率いる連立政権は、次年度予算案3437億円削減をする方針を示しました。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-02-28/SRZ6EET1UM0W00
消費税の廃止要求:消費税が国民の負担を増大させているとの認識から、デモ参加者は消費税の廃止を求めているようです。
財務省の権限集中への懸念:財務省が日本の財政政策において過度な権限を持ち、他の省庁や国民の意見が十分に反映されていないとの指摘があります。
この3つだそうな。
日本国の損益計算書を見てみよう
では、日本のP/Lはどうなっているのでしょうか?こちらを考えてみましょう。国としてに収入(売上)をみるためには以下の2つの要素が必要です。
- 一般会計予算(法人税などの税収)
- 社会保障給付の負担(給与明細などでみる社会保障、会社負担と個人負担)
この2つです。一般会計予算だけ見てしまうことが多いと思います。私もそうでした。
日本の売上
そうすると日本国の歳入(売上)は以下のようになります。なお、「借金」は会社でいうとB//Sに当たるものなので含めていません。
- 一般会計予算→約70兆円
- 社会保障→80兆円
の合計の150兆円です。これをあなたの会社の売上だと考えてください。
ここで「え!」と思ったこともあるかもしれません。税収である「一般会計」よりも「社会保険」(従業員負担と会社負担)のほうが大きんです。
なお、一般会計予算→約70兆円の内訳は以下。消費税は23兆円ですね。総売上に対して23兆円です。
租税及び印紙収入:696,080(61.8%)(億円)
- 所得税:179,050(15.9%)
- 法人税:170,460(15.1%)
- 消費税:238,230(21.2%)
- 相続税:32,920(2.9%)
- 揮発油税:20,180(1.8%)
- 酒税:12,090(1.1%)
- たばこ税:9,480(0.8%)
- 関税:9,170(0.8%)
- 石油石炭税:6,060(0.5%)
- 自動車重量税:4,020(0.4%)
- 国際観光旅客税:3,110(0.3%)
- その他の税収:890(0.1%)
- 印紙収入:10,420(0.9%)
日本の費用
続いて費用です。どんなことに使っているのでしょうか?調べてみると収入のうち81%は「社会保障」に使われています。
2024年度(予算ベース) 137.8兆円(対GDP比 22.4%)
【給付】社会保障給付費
- 年金:61.7兆円(44.8%)《対GDP比 10.0%》
- 医療:42.8兆円(31.0%)《対GDP比 6.9%》
- 福祉その他:33.4兆円(24.2%)《対GDP比 5.4%》
- うち介護:13.9兆円(10.1%)《対GDP比 2.3%》
- うちこども・子育て:10.8兆円(7.8%)《対GDP比 1.8%》
引用元は以下。

上記のPLとして図解化すると以下の通りです。
あなたが社長だったらどうしますか?
日本国という大きな話なのでイメージしにくいかもしれませんですが、自分の会社だったらどうする?と考えてください。
会社の目的がもし、利益を増やす、上手に使うだとするとします。
そのためには
- 売上を増やす
- コスト(無駄な)コストを減らす
この2つの視点しかありません。ここに単価と数量の概念が入るくらいです。だとすると…
売上を増やす
収入は税などの一般会計と社会保険でしたね。もし直接税を増やしたいのであれば企業と個人の所得が増えるような施策が必要ですよね。なので企業にもっと挑戦してもらうとか外貨を稼ぐようになてもらう必要があります。所得税を増やすの税率もそうですが、お金持ちの人が日本に来たいと思うような施策が必要かもしれません。GDP総額は人口が減るのでそれが減るのはしょうがないです。でも一人あたりのGDPが下がっていることは改善しないといけないかもしれません。
次に売上の半分以上を占める社会ほけん。社会保険については増やそうとすると会社の出費も増えるし、個人の負担も増えるのでこのあたりは難しいです。
なお、社会保険の網羅的なデータは以下を参照のこと。日本が特別負担率が高いわけではないようです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21509.html
コストを減らす
あくまで会社に置き換えた話ですのでコストという表現にしました。会社でいうと原価の比率が81%を超えているのが「社会保険」です。製造業でいうと原材料の比率が81%です。この場合であれば原材料を下げる努力をすると思います。
- もっと安いところを探す
- 効率化(材料の無駄を減らす。歩留率を改善する)
ですね。日本の場合は「年金」などについてはとても難しい問題があるのでここでは詳しく触れません。タブーもあるでしょうし。「医療費」などもタブーがあるらしいので難しいところもあるのですが、病気じゃないのに病院で人に会いたいからみたいな人を減らせば削減できるかもしれません。
あとは運動とか食事とかその辺を改善すれば数十兆円のインパクトなんじゃないかなと感じたりもします。
以下の記事も非常に勉強になりました。7.3兆円くらのインパクトが見込めるのだと。
https://note.com/yusuke_tsugawa/n/nd3ea9cc30bb9
会社で言えばコストは2つあります。それは「未来費用」か「それ以外」です。要するに将来の売上のための投資になってる?みたいな話です。
>>〜理論から実践〜取引と仕訳の関係を深掘りする【ベトナム勘定科目-未来費用】
社会保険のほとんどがシニア層のための費用だとすると、会社という視点では「未来費用」使ってないじゃないか?となってしまい会社が存続できなくなる可能性が高まります。
この辺り日本をどうよくしていくか?という点では『
原材料費を2%改善し、それを「未来費用」に使う
であれば社長なら絶対すると思います。
財務省デモ解体の意味
本当の狙いはわかりません。しかしながらデータを見ると以下のようになってしまうのでは?と思いました。
財務省が推進する緊縮財政政策により、公共サービスや社会保障が削減が不安?→すでに売上の81%を社会保障に回している。内訳は無視しているのですが…。しかも、3437億円は国の収入の0.18%程度の金額の削減。
あなたの会社にたとえると?
「売上の0.18%程度の削減を目指しちゃだめなのか?もっと大事なこともあるでしょう」
消費税の廃止要求→国の収入の13%程度の収入のお話
あなたの会社にたとえると?
「売上の構成比の13%の商品よりももっと大きな話から改善していきたい!」
となるかもしれません。
会計思考を持って批判的に時事ネタを読む。AI時代だからこそ大事になっていくと思います。