こんにちは!マナラボの菅野です。

今日はちょっと大事なお知らせがあるんです。

「請求書の発行タイミング」が、また変わります。

正直に言うと、インボイス制度って、すでにややこしいですよね。

「え?今度は時間まで見直し?いつ発行したらいいの?」

そんな声が聞こえてきそうです。

でも安心してください!この記事を読めば、「うちの業種はどのタイミングで請求書を出すべきか?」がスッと頭に入ります。

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💡そもそも何が変わるの?

2025年6月1日から、政令70/2025/ND-CPという新しいルールが施行されます。

この政令は、インボイス(請求書)や関連書類の発行・保管・廃棄について、既存のルールを細かく見直すものです。

今回フォーカスしたいのは、「発行タイミング」です。
これ、想像以上に影響が大きいです。

たとえば…

  • 電気・水道・通信サービスなどの「月まとめ型」の請求
  • サービス業の「先払い・後払い」ケース
  • 医療機関やタクシー、さらにはカジノまで(まさかの)

いろんな場面で、「あ、今まで通りじゃダメなんだ」となる可能性があるんです。

 ケース別・発行タイミングの変更ポイントをやさしく解説します!

法律はこう書いてあります。

「売上に対して請求書を発行する時期は、所有権移転・サービス提供完了・代金受領などの各段階で定められる」
(出典:政令70/2025/ND-CP 第1条第6項)

以下の知識も前提条件となりますからきちんと読んでくださいね。

>>【ベトナムインボイス】政令123/2020/ND-CPの条文構造とポイントを完全解説!

>>【やさしく解説】政令70号で「請求書の出し方」が変わる|インボイス実務11の注意点!!

ただ、これってシンプルなようで実務では混乱の元なんですよね。

では、よくあるケースをいくつか取り上げてみます。

商品の販売:売ったらすぐ発行!

モノを売ったら、所有権が移るタイミングで請求書を出す。
これは今までと似ています。
ポイントは、「支払いされたかどうか」は関係ないということです。

サービスの提供:完了したら発行!

サービス提供が終わった時点で請求書を出す、というのが原則です。
ただし、先払い途中での支払いがあったら、その都度出します。
(※預かり金や一部の前払金は除く)

ここがちょっとややこしい。
たとえば、ウェブ制作のような「分割請求」だと、支払時=発行時です。

 毎月同じようなサービス(電気・水道など)

これは今回の大きなポイント。
翌月の7日まで、または契約期間が終わった日から7日以内に発行すればOKです。

ゆっくりでいいのはありがたいですが、逆に「うっかり忘れる」ことも増えそうですね。

医療機関の場合:その日のうちにまとめて発行もOK

患者さんが請求書を「いらない」と言ったら、医療機関はその日まとめて発行すればOK。
「欲しい」と言われたら、その場で出します。

社会保険関連の請求書は、支払が行われた時点で出します。

✅ その他の特例業種はこんな感じです

業種発行タイミングのポイント
ガス・原油引渡数量や販売価格が確定した時点
融資利息受取時(なければ記録時)
宝くじ抽選の前まで
カジノ・電子ゲームその日の売上締め後1日以内
タクシー乗車終了時
保険保険料収益が記録された時

廃棄や保管のルールも変わります!

実は、今回の改正では「いつ請求書を捨てていいか?」についても明記されています。

  • 電子インボイス:アクセス不能にして、二度と見られないようにするのが「廃棄」です
  • 紙の請求書:焼却、裁断など。情報が読めなくなるようにする必要があります

廃棄できるのは、「保存期間が終わったものだけ」なので、気をつけましょう。
(根拠:政令70/2025/ND-CP 第1条第2項c)

保管のルールは意外と柔軟そうです

電子も紙も、「安全・完全・改ざん不可」で保管するのが原則。
でも、電子の方は自分に合った方法でOKとされています。

つまり、クラウドでも社内サーバでもいい。
印刷や検索ができるようにしておけば大丈夫、というわけです。

【条文付き】2025年6月1日以降のインボイス発行タイミングチェックリスト

(出典:政令70/2025/ND-CP 第1条第6項)

本質は変わっておりませんが(この本質は変わっていない!というのが大事ですね)、細かなところは変わっている部分があります。あとはほとんどはベトナムに進出している日系企業には影響ない売上のパターンですしね。例えばカジノとか。

チェック業種・取引形態請求書発行のタイミング(新ルール)条文参照
商品の販売(国内取引)所有権または使用権の移転時第1条第6項 a
商品の輸出通関完了の翌営業日までに発行(売主が日付指定可)第1条第6項 b
サービスの提供(完了ベース)サービス完了時点第1条第6項 c
サービスの提供(先払い・中途払い)支払を受けた時点(※一部の前払・預かり金は除く)第1条第6項 c
電気・水道・通信・物流・銀行などの定期取引翌月7日まで、または期間終了から7日以内第1条第6項 d
原油の探査・採掘・処理原油:販売価格確定時、ガス:月間引渡数量確定時(税申告期限内)第1条第6項 đ
融資(利息収受あり)利息受取時第1条第6項 e
融資(利息なし・オフバランス管理)利息が発生した時点または記録された時点第1条第6項 e
タクシー(運賃計算ソフト使用)乗車終了時第1条第6項 g
医療(顧客が請求書不要と伝えた場合)当日終了後まとめて発行第1条第6項 h
医療(請求書希望者または社会保険用)請求書希望者には即時、社会保険の場合は支払時点第1条第6項 h
保険業保険料収益が記録された時点第1条第6項 i
宝くじ(事前印刷タイプ)抽選前までに発行第1条第6項 k
カジノ・電子ゲーム(賞金付き)当日の売上締め(0:00~23:59)から1日以内第1条第6項 l

 

まとめ:今やっておくと安心な3ステップ

  1. 自社の業種がどの分類に当てはまるかを確認しましょう
  2. 請求書の発行タイミングが今の運用とズレてないかをチェックしましょう
  3. システムや社内ルールの見直しを始めておきましょう

最後に一言。今回の変更、「また面倒になった」と思う方も多いと思います。
でも逆に言えば、「これを機にちゃんと見直すチャンス」です。

一気にやらなくても大丈夫です。
まずは自分の業種から、一つずつ整理していきましょう。

ではでは、また次の記事でお会いしましょう!