こんにちは!マナラボの菅野です。
お客様からこんな焦った声をたまに聞きます👇
「ベトナムのTRC(レジデンスカード)を取ったら、全世界の所得を申告しなきゃいけないって言われたんですが…!」
なのでノミニー法的代表者のほうがいいかもですよ!
たしかに、そう聞くとびっくりしますよね。
日本に住んでて、ほとんどベトナムにいなかったのに、なぜか日本の給与までベトナムで課税される?
もしこれが本当だったら、まさに“二重課税の地獄”です。
でも、ご安心ください。まずは結論から!
- TRCを持っているだけでは、全世界所得に課税されることはありません。(そんなのあったら大変)
- 日本とベトナムの二重課税回避条約が、しっかり守ってくれます。
今回は、この問題を法律・通達・国際条約の3本柱でわかりやすく解説します!
この記事のもくじ
🏷️ TRC(レジデンスカード)とは?税務上の「居住者」になる?
TRCは、外国人がベトナムで中長期滞在するための「一時居住許可証」です。よくレジデンスカードっていったりしますね。
投資家、駐在員、会社代表などが対象で、取得時にはベトナム公安省に住所を登録したりするんだそうです。
そして実は、この「TRCを持っていること」自体が、「常居所を持つ」と見なされる根拠になってしまうのです。
>>ベトナムでパスポートやテンポラリーレジデンスカードを公証する方法を徹底解説!【写真あり】
📚 根拠はこちら!
財務省通達111/2013/TT-BTC 第1条1項b号:
「外国人の常居所とは、TRCに記載された住所または永住証に登録された住所とする」
(b) Đối với người nước ngoài: nơi ở thường xuyên là nơi ở thường trú ghi trong Thẻ thường trú hoặc nơi ở tạm trú khi đăng ký cấp Thẻ tạm trú)
つまり、「TRCを持っている」だけで、ベトナムに“住んでいる”とみなされる可能性があるわけです。
税務上の「居住者」と「非居住者」の違いとは?
税務上、個人は「居住者」か「非居住者」に分類されます。
区分 | 条件 | 課税対象 |
---|---|---|
居住者 | ベトナム滞在が年間183日以上、または常居所あり+他国での居住証明がない | 全世界所得(累進税率) |
非居住者 | ベトナム滞在183日未満+他国の居住証明あり | ベトナム源泉所得のみ(定率20%) |
つまり!
TRCを持っていても、183日未満の滞在で日本の「居住者証明書」を出せば、ベトナムでは非居住者と扱われ、海外所得は課税されません!
>>【無料版】ベトナム個人所得税対策の完全マップ【動画編】36個の動画で解説
ベトナム税務当局もはっきり明言!
これはただの口約束ではありません。
ベトナム税務総局は、公式なオフィシャルレター(Công văn)の中で、次のように明言しています:
✅ 公文書3276/TCT-TNCN(2020年)
「日本の税務当局から居住者証明書(Giấy chứng nhận cư trú)が交付された場合、
当人はベトナムでは非居住者として扱われる」
→ ベトナム国内の所得のみ課税対象。国外所得は課税されない!
📌 事例では、ある外国人がベトナムに183日未満しか滞在しておらず、日本で居住者証明を取得したことで、「非居住者」とされました。そのほかもいろんなオフィシャルレターが出されています。
文書名 | 主な内容 |
---|---|
111/2013/TT‑BTC | TRC保有人は常居所あり。183日未満でも他国証明なしの場合は居住者。 |
3276/TCT‑DNNCN | 日本の居住証明取得により非居住者と認定。 |
4936/TCT‑TNCN | 証明書の有無で居住者/非居住者を「選択的」に決定可能と明示。 |
8445/CT‑THHTなど | 地方税務局も上記中央の判断を踏襲。 |
🌍 租税条約でも「二重課税NG」と明記!
さらに、日本とベトナムは租税条約を締結しています。
この条約の目的は、まさに今回のような二重課税の回避です。
>>日本とベトナムの間の租税条約(Japan-Vietnam Double Taxation Agreement, DTA)を徹底解説!
📖 第4条「居住者の判定」
両国の居住者に該当する場合は、次の優先順位でどちらかを決めます:
① 恒久的住居(permanent home)
② 生活の中心(収入、家族など)
③ 常時居住地(habitual abode)
④ 両国当局による協議
つまり、日本に家族がいて、収入も日本、生活の中心が日本である場合、
たとえベトナムでTRCを持っていても、日本が「税務上の居住地」として優先されます。
だからこそ、ベトナムが全世界所得に課税することはできないのです。
あとは常識的に考えて、TRCもってるから全世界所得に対して税金はらえ!って変じゃありません?ベトナム側だってこんなことで日本とわざわざ敵対するようなことをするわけがありません。もしこんなことしたら大使館とか日本商工会等が動かないとまずい話です。
実際の対応:何を提出すれば安心?
では、どうすれば“非居住者”と認めてもらえるのでしょうか?
✅ 提出すべき書類(確定申告時など):
日本の税務署が発行する「居住者証明書」(Form 9)
- 日本語名:居住者証明書
- ベトナム語名:Giấy chứng nhận cư trú
- ベトナムとの租税条約に基づいて発行されるもので、1年ごとに申請が必要です。
国税庁の「No.9210 居住者証明書の請求」によると:
「居住者証明書交付請求書・居住者証明書(その他用)」という名称で提供されており、**書式番号は第9号(Form 9)**と明記されています nta.go.jpusfl.com+7nta.go.jp+7nta.go.jp+7。
このForm 9を日本の税務署に提出し、日本の税務署が審査後、
→ 「租税条約上、日本の居住者であること」を証明する文書が発行されます
日本の収入証明(あると安心)
- 日本での確定申告書控え
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
📌 根拠:通達111/2013/TT-BTC 第1条1項
「他国の居住者であることを証明できない場合、ベトナムに常居所を有する者は居住者とみなす」
→ 裏を返せば、居住証明があれば非居住者と認められる!
要注意パターン:こんなときは課税対象に!
以下について注意
状況 | ベトナムでの課税対象 |
---|---|
TRCあり・183日以上滞在 | 居住者 → 全世界所得(累進課税) |
TRCあり・183日未満+日本の居住証明あり | 非居住者 → ベトナム所得のみ(20%) |
TRCあり・183日未満+居住証明なし | 居住者と見なされ、全世界所得課税されるリスク大! |
マナボックス からのアドバイス
ベトナムでTRCを持っている方、
「居住者証明の提出」は“やらなきゃ損!”の鉄則です!
「TRCがある=世界所得すべて課税される」なんてことが、
条約や通達をちゃんと知っていれば、回避できるトラブルなんです。
実務の現場でも、「知らなかった…」では済まされないケースがあります。
今のうちに、会社経由でしっかり確認&準備しておきましょう!
📌 もし不安な場合は、私たちマナボックスにご相談ください。
「TRCはあるけど、日本にほとんど住んでる」「申告ってどうすればいいの?」
という疑問にも丁寧にお応えします!
以上、今回はTRCを持っていても日本の居住証明があれば世界所得は課税されないという話題でした!
税務の世界は「知っているだけで得をする」ことが多いです。
これからもこうした知恵をどんどんお届けしていきますね。
それでは、また次回!
✍️ すげの(ManaBox Vietnam)