〜2024年社会保険法の改正ポイントを徹底解説〜

こんにちは!マナラボのすげのです。
2025年7月1日から、ベトナムの社会保険制度が大きく変わります!

今回のテーマはズバリ…

**「この人も社会保険に入れなきゃダメなの!?」という“加入対象の拡大”**です。

「パートも?」「外国人も?」「無給の役員も?」

はい、誤解を恐れず言えば全部 YES です。

でも大丈夫。この記事では、新しい法律の内容と企業実務への影響を、すっきり・わかりやすく・正確にまとめていますので、安心して読み進めてくださいね。

一目でわかる!改正のポイントまとめ表

項目2014年法(現行)2024年法(2025年施行)
加入対象者正社員など契約者ベースパート、無給役員、自営業主、外国人など追加
外国人労働者政令143/2018で規定法律第2条に明記
パートタイム基準不明確、(実務上は入ってない)月収が参照額以上なら加入義務あり
無給役員加入義務なし加入義務あり(報酬設定要)
海外派遣ベトナム人実質任意扱い法で明記し強制加入
試用期間中グレーゾーン非加入を明文化(政令158/2025)

【第2条】で変わった!加入義務者が一気に拡大

では、法律のどこが変わったのか?
答えはズバリ「第2条」です。

この条文で、加入しなきゃいけない人=強制加入者が「13類型」にはっきり分類されています。
特にl〜n号では、これまで対象外だった人たちが次々に追加!

ここからは、そんな“新しく加入が必要になる人たち”をケース別5つ解説していきます!なぜこの5つを選んだのか?それは!実務に大きな影響を与えるから

  • 多くの企業が、これまで社会保険の対象外として扱っていた人たちが含まれている
  • 今後の運用や契約処理、コストに直接関係する
  • 見落とすと違法リスク・指摘対象になりやすい

まずはサマリから。日系企業の影響度は私の印象です。

新たな対象グループ法的根拠(第2条)これまでこれから(2025/7/1〜)実務ポイント日系企業への影響度
① 月収が参照額以上のパートタイム労働者第1項 l号対象外と思われがち月収が参照額以上で1か月以上の契約なら強制加入給与・労働時間を見直し、契約書も整備すること★★★★★
② 無給の企業管理者(役員・監査役等)第1項 n号加入不要(無給なら)報酬の有無にかかわらず加入義務あり報酬額(最低参照額)を設定し保険申告を行う★★★★★
③ 登録済みの個人事業主(hộ kinh doanh)第1項 m号任意加入だった所得税申告済みなら2025年から強制加入所得税情報と連携して保険加入、段階的適用★★☆☆☆
④ 契約ベースの海外派遣ベトナム人労働者第1項 g号加入は任意的扱い契約に基づく海外就労者は強制加入対象送り出し企業が保険手続・納付を管理すべき★☆☆☆☆
⑤ 外交官の帯同配偶者(無給・生活手当あり)第1項 h号加入義務なし給与がなくても生活費が出ていれば加入対象在外任務であっても国内機関と連携して加入処理★☆☆☆☆

 ① 月収が「参照額」以上のパートさんも加入対象に!

これまでの常識:「パートは短時間だし、保険いらないでしょ」
→ 新法:「1か月以上の契約+月収が参照額(現行2,340,000VND)以上なら加入!」

📖【第2条 第1項 l号】
「契約期間1か月以上で、月収が最低拠出基準額(参照額)以上のパート労働者は強制加入対象とする」

🌟ポイント
・週2勤務でも、月収が参照額超えていればNG(加入必要)
・時給労働でも、「契約」があるなら対象です!

なお、2,340,000VNDについては以下を参照のこと。

📖【第7条第3項(Luật BHXH 2024)】
「参照額は、国家の財政能力・物価指数・経済成長に応じて政府が決定するものであり、社会保険の計算や給付の基準とする。」

② 無給の役員・取締役も「加入しなきゃ」いけない時代に

これまで:「うちはオーナーが社長で無給だから大丈夫」
→ 新法:「報酬がゼロでも、法的役職にあれば加入義務あり!」

📖【第2条 第1項 n号】
「給与を受けていない企業管理者(取締役、監査役など)も強制加入の対象とする」

🌟ポイント
・役員報酬ゼロでもNG。最低でも「参照額ベース」で報酬を設定し、社会保険を算定
・名義だけの取締役も要注意!名前が登記にあるなら加入対象です

これ日系企業だと監査役とかは影響あるかもしれませんね。

③ 自営業主(hộ kinh doanh)も、ついに“義務化”へ!

これまで:「事業主だから、保険なんて関係ないでしょ」
→ 新法:「営業登録していれば、強制加入の対象です!」

📖【第2条 第1項 m号】
「営業登録された個人事業主は、政府の規定に基づき強制加入とする」

🌟ポイント
・2025年7月から:税務申告している事業者が対象
・2029年7月から:その他(簡易課税など)も段階的に対象へ
・市場商人、オンラインショップオーナー、軽飲食なども該当する可能性あり

 ④ 海外で働くベトナム人も、保険に加入しないといけない!

これすごいですよね。本当にできるのかなあ?なぞ。

これまで:「海外に行ってるから、ベトナムの保険は関係ない」
→ 新法:「契約に基づく海外勤務なら、社会保険に入ってね」

📖【第2条 第1項 g号】
「契約に基づき海外で働くベトナム人労働者は、強制加入の対象とする」

🌟ポイント

おそらくですが以下のようなケースに影響があります。

ケース強制加入対象?
ベトナムの送り出し企業を通じて日本に技能実習生として行く✅ はい(契約ベース)
台湾の工場に2年間契約で派遣される✅ はい
ベトナム法人が駐在員として社員を日本支社へ派遣✅ はい(出向契約ベース)
個人がSNSを通じて海外の農場と直接契約し、ベトナム当局を通さず渡航❌ おそらく対象外(非契約的・非認可)

💡 ポイント:
「契約に基づく海外就労」であること、かつ「法律に基づいた送り出し制度」であることが条件です。


・技能実習生、特定技能、台湾派遣などすべて対象
・送り出し企業が保険申請・納付を代行することが原則
・将来の年金受給や一時金申請にも影響!

 ⑤ 外交官の帯同配偶者(無給)も保険加入対象に!

これまで:「給料もらってないし、保険関係ないでしょ」
→ 新法:「国家から給与がなくても、生活手当があれば加入義務あり!」

📖【第2条 第1項 h号】
「外交官に帯同する配偶者で、国家予算から給与を受けないが生活手当を受給する者は加入対象とする」

🌟ポイント
・在外任務に帯同している無給の配偶者もカバー
・公的セーフティネットをしっかり整備する流れ

企業にとっての実務的インパクト、ぜんぶ見せます!

2025年7月からは、「この人は加入対象かな?」と迷ったら、原則“加入する方向で”考えるべき時代です。
では、具体的に企業にはどんな影響が出るのでしょうか?見ていきましょう!なお金額はかなりざっくりなのでそのあたりはご了承ください。

 1. コスト増は避けられないかも

  • 加入対象者が増える=保険料負担も増える
  • 企業負担は給料の 17.5%(外国人も同率/健康保険、失業保険除く)

例)
無給役員に参照額2,340,000VNDで報酬設定した場合
→ 企業側の保険料は約409,500VND/月

アルバイトが月給3,000,000VNDだったら?
→ 企業負担は約525,000VND/月

地味に効いてきますよね。でもこれ、罰則を受けるより全然マシです。

2. 労働契約・報酬・就業規則の見直しが必須!

  • パートや短時間労働者にも労働契約書を!
    → 契約がない=保険手続きできない=違法扱いに
  • 無給役員には「報酬規定」を明文化
    → 参照額以上の金額を設定し、保険料算出の基準に
  • 契約書や就業規則に**“社会保険加入の条件”**をきちんと記載しておく

3. 社内での確認フローとチェック体制が重要に!

  • 「誰が対象なのか」「契約期間や給与はいくらか」「免除要件はあるか」
    → 毎月チェックを!

  • 社労担当・会計担当だけで判断せず、役員/人事/現場責任者とも情報共有しましょう。

 4. 外国人従業員・海外派遣者にも対応が必要

外国人の取り扱いは、次の3つに注意です:

ケース加入対象?備考
12か月以上の労働契約の外国人✅ 加入必要【第2条第2項】
企業内転勤者(社内異動)❌ 免除要証明書類
社会保障協定あり(例:韓国)❌ 免除可所定手続きが必要

👉 日本との協定は未締結ですが、今後に備えた情報収集を!

5. 「試用期間中は加入不要」だけど注意あり!

政令158/2025/NĐ-CPではっきり書かれました。

📖「労働契約の試用期間中は、強制社会保険の対象としない」
(※ただし、試用期間を超えて雇用継続する場合は即日加入を!)

👉「じゃあ3ヶ月ごとに試用で契約更新しよう」みたいな脱法スキームはNG!
→ 労働法上の“実質的継続雇用”と見なされます。

今すぐやるべき6つのチェックリスト

✅ 社内に「無給役員」はいませんか? → 報酬設定+加入手続き!
✅ パートさんの給与は参照額を超えていませんか?
✅ 個人事業主として契約しているスタッフはいませんか?
✅ 海外派遣中のベトナム人スタッフがいませんか?
✅ 外国人スタッフの契約期間は12ヶ月以上ですか?
✅ 試用期間後、社会保険手続きは速やかにしていますか?

これを「毎月の給与処理フロー」に入れるだけで、違反リスクがグッと減ります!

よくある誤解とその答え【Q&A】

Q:パートさんは全員加入?
A:いいえ。「1か月以上の契約」かつ「月収が参照額(現在2,340,000VND)以上」の場合だけです。

Q:外国人でも加入しなくていいケースある?
A:あります。「企業内転勤者」「契約時に退職年齢超え」または「社会保障協定あり」の場合です(第2条第2項)。

Q:無給の役員に“ゼロ”報酬のままでいい?
A:NGです。参照額以上の報酬を設定し、社会保険料の算出に使います。

まとめ|「人を雇う」=「社会保険を考える」時代へ

これからのベトナムでは、

💬「給料出してないから保険いらないよね?」
という時代は終わります。

それは企業にとって、コストアップという「痛み」かもしれません。

でも同時に、従業員の安心企業の信頼性、そして将来の備えという「得るもの」も大きいんです。