この記事のもくじ

1. はじめに|2025年、VNeID義務化の波がやってくる

こんにちは、マナラボの菅野です。

「なんか最近、“法人もVNeIDが必要になる”って聞いたけど、うちは関係あるのかな?」

そんな声をよく耳にします。

はい、結論から言いますと──

2025年7月1日以降、ベトナムで活動する企業・団体は、電子識別アカウント(VNeID)を“原則的に”取得していないと、行政手続きにログインすらできなくなる可能性があります。

つまり、「VNeID?うちにはまだ早いでしょ〜」なんて思っていると、

e-Taxや公共手続きの画面で“入口でストップ”する未来が待っているかもしれません。

法人も対象!義務化の根拠はココ

この制度の根拠は、ベトナム政府が2024年6月25日に公布した
**政令69/2024/NĐ-CP(電子識別および認証に関する政令)**です。1年前だったんか。

その中の第40条第4項には、次のような規定があります👇

機関・組織に発行されたアカウントは2025年6月30日まで有効。2025年7月1日以降は、VNeIDアカウントによって国家公共サービスポータルや行政手続き情報システムにログインしなければならない。

つまり、

  • 今まで使っていたe-Taxのアカウントは2025年6月末で終了!
  • 7月からはVNeIDアカウントが“入り口”になる!

というわけです。

そこで登場するのが「様式TK02」

では、法人がVNeIDアカウントを取得するにはどうすればいいのでしょう?

その答えが、今回の主役──
「様式TK02」(Phiếu đề nghị cấp tài khoản định danh điện tử – Dùng cho cơ quan, tổ chức)です。

このTK02こそが、

✅ オンライン申請ができない場合
✅ 代表者がベトナムにいない場合
✅ 書類でしっかり手続きを残したい場合

に使う「公式申請書」なんです。

 本記事の目的はズバリこれ!

🔹 「様式TK02って何?」
🔹 「どうやって書くの?誰が出すの?」
🔹 「非居住の代表者でも大丈夫?」
🔹 「実務上どう進めたらいいの?」

これらの疑問に対して、やさしく、でも正確に解説することが本記事のミッションです。

2. 「様式TK02」とは?|紙ベースで申請したいあなたに

さあ、いよいよ今回の主役、「様式TK02」について掘り下げていきましょう。

🧾 様式TK02とは?

まず正式名称からご紹介します。

Phiếu đề nghị cấp tài khoản định danh điện tử
(機関・組織向け電子識別アカウント発行申請書)

この様式TK02は、ベトナム政府の政令69/2024/NĐ-CPに基づいて発行された、
法人・団体がVNeID(電子識別アカウント)を申請するための公式書式です。


なぜ「紙」で申請するの?

VNeIDの申請には、実は2つの方法があります。

方法内容
✅ オンライン申請国家識別アプリ(VNeIDアプリ)から申請。
→ 申請者がレベル2の電子識別アカウントを持っていれば可能。
✅ 書面申請様式TK02を使って、識別管理機関に提出。
→ レベル2アカウントがない代表者や、外国人がいる企業に多い。

「うちの代表、まだTRC(滞在カード)取ってないからVNeIDもない…」
そんな会社さん、結構あります。

その場合は、**この様式TK02を使って紙で申請するのが正攻法!**なんです。

TK02の特徴:オンラインではできない細やかな申請も可能

オンライン申請では選べない項目や、詳細の書き込みができるのも様式TK02の良さ。
たとえば:

  • 略称や外国語名称など複数言語に対応
  • 委任による申請時の代表者情報の記載欄あり
  • 活動分野や業種など、企業独自の情報もしっかり記載できる

いわば、「紙だけどカスタマイズ性の高いフォーム」なんです。


 書面提出が向いているのはこんなケース

✅ 代表者がベトナムに住んでいない(=非居住者)
✅ 会社設立直後で、まだVNeIDのログイン環境が整っていない
✅ 委任による代理人申請を予定している
✅ 書面で履歴を残したい・ベトナム語書類に慣れている

そもそも、なぜ「非居住の代表者」だと直接申請が難しいの?

法人VNeIDの申請には、レベル2の電子識別アカウント(VNeID Level 2)を使ってログインする必要があります。ところがこのレベル2アカウント、取得には**有効な滞在許可証(TRC/PRC)**が必要です。
つまり、

  • 日本に住んでいて
  • ベトナムに長期滞在しておらず
  • TRCなども持っていない

…という状況だと、レベル2アカウント自体が取得できないのです。

だからこそ「委任+代理申請」が現実解!

ベトナムで実務を担当している現地マネージャーやスタッフが、
レベル2 VNeID を取得していて、かつ代表者から正式な委任を受けていれば──

  • アプリにログインして、
  • 様式TK02を提出して、
  • 法人VNeIDの申請が可能になります

 ⭐️政令上の位置づけ:どこに書いてあるの?

様式TK02は、政令69/2024/NĐ-CPの第12条第1項に登場します👇

「機関または組織の法定代表者、またはその者から正式に委任された者は、様式TK02に基づき書面で申請し、電子識別・認証管理機関または都合のよい識別管理機関に提出することができる。」

──と、明確に「委任は申請OK」と定められているんです!(ただね。実務はね)

まとめ:非居住者でも、準備次第でVNeID申請は可能!

  • 非居住の法定代表者が直接申請できなくても、委任により代理人が対応可能
  • 政令69/2024/NĐ-CP 第12条がその根拠
  • 委任状はしっかりと整備し、提出書類とあわせて準備を!

「うちの代表、日本にいるけど大丈夫かな…」と思った方、
今からでも遅くありません。必要な書類を確認して、きちんと備えておきましょう!

3. TK02の中身をひとつずつ丁寧に概要を解説|記入ミス防止!

こんにちは、すげのです(菅野です)。
「様式TK02を出せばいいのはわかったけど、これ…どこに何を書けばいいの?」
そんな疑問を解消すべく、3つのセクションに分けてやさしく解説します!

セクションA:登録者情報

ここは、申請者本人の情報欄です。申請するのが法人代表者本人なのか、それとも委任された代理人なのかで記載内容が少し変わります。

項目注意点
氏名ベトナム語フルネーム。外国人はパスポート表記どおりに記載。
個人識別番号 or CCCDベトナム人なら住民ID(CCCD)、外国人ならTRCの番号でOK。
国籍ベトナム人なら「Việt Nam」に✓。日本人は「Quốc tịch khác: Nhật Bản」など記入。

💡 代理人による申請の場合も、このA欄は代理人が記入します。

セクションB:機関・組織情報

ここが本丸です。会社の基本情報をもれなく書きます!

項目説明
ベトナム語名、略称、英語名商業登記証や税コード証明書に記載された正式名称をベースに。略称は空欄でもOK。
設立年月日登記証に記載の設立日を西暦で記載。
本店住所ハノイなど市・区・通り名まで正確に。
活動分野/業種ベトナム語で記載が望ましい。「thương mại」や「dịch vụ IT」など。
組織/企業コード・税コード登記番号(Mã số doanh nghiệp)と税コード(MST)は通常一致。
代表者の氏名・ID・国籍法定代表者情報を記載。外国人ならTRC/パスポートと国籍をセットで。

✍ 書き慣れていない方には、「登記証+税コード通知+定款」を手元に置いての記入がおすすめ!

 セクションC:誓約

ここにはこう書かれています👇

「私はこの申請書に記載した情報が真実であることを誓約し、法令に基づいて一切の責任を負うことを了承します。」

つまり、「うそ書いたら責任とりますよ」という正直者だけが通れる関門です。

💡 申請者(=A欄の人)が署名すること。忘れがちですが、右側の「登録者署名欄」にサインするのは代理人でもOKです!


4. 提出先と手続きの流れ|どこに出す?何が必要?

🏛 提出先はここ!

様式TK02は、次のいずれかに提出します:

  • 電子識別・認証管理機関(公安省傘下)
  • 地方の識別管理機関(省・市の公安出入国管理局など)

どちらに出してもOKですが、実務では本社所在地に最も近い出入国管理局に提出するのが一般的です。


📎 提出書類一覧(初回申請の場合)

  • 様式TK02(記入・署名済み)
  • 会社登記証明書(コピー)
  • 税コード通知書(MST証明)
  • 代表者のTRC/パスポート(コピー)
  • 委任状(代理人申請の場合)

📌書類はすべてベトナム語。外国語書類は翻訳+公証が求められるケースもあります(窓口による差あり)。


⏱ 発行までにかかる期間(政令第13条)

ケース発行までの期間
登録情報がデータベースにある最大3営業日以内
情報が未登録で確認が必要最大15営業日以内

※すべて「有効な書類が提出された日」からカウントされます。


5. 非居住の代表者でも提出可能?|最大の疑問に答えます

この章はすでに第5章として執筆済みですので、ここでは省略します。
(→前述の「すげのブログ風 第5章」をご参照ください)


6. よくある質問(FAQ編)|あなたの疑問に答えます

Q1. 税コードがまだ発行されていません。TK02は提出できますか?

→ 実務上、税コードが未発行の場合は**「未記入」または「Đang chờ cấp mã số thuế」と記入**してOK。ただし、VNeIDの正式発行は税コードが確定してからになるケースが多いです。


Q2. 申請書は英語で書いてもいいですか?

→ 原則はベトナム語です。英語や日本語は受け付けてもらえない可能性があります。
(実務では、社名の英語表記を併記する欄はありますが、それ以外はベトナム語で。)


Q3. オンライン申請と紙の申請、どちらを優先すべき?

→ 条件が揃っていればオンライン申請の方が早いです。
でも、代表者が非居住 or VNeID未取得の場合は紙(様式TK02)一択です!


Q4. 結果はどこで確認できますか?

→ 通常は、代理人のVNeIDアプリ、メール、SMSなどを通じて通知されます。
紙で出した場合でも、受領票の連絡先に返答があるので要チェック!


7. まとめ|VNeIDは義務。でも怖くない!

  • 2025年7月から、法人VNeIDは“あって当たり前”の存在に
  • 書面で申請する場合は「様式TK02」が大本命
  • 非居住代表者でも、代理人による申請で対応可能!(政令で認められています)
  • 申請書記入は丁寧に。提出書類に漏れがないようチェックを忘れずに!

👉 今から準備しておけば、「e-Taxにログインできない!」という未来を防げます。

8. 【保存版】様式TK02のひな形ダウンロード特典(準備中)

マナボックスでは、以下のサンプルも無料配布中です:

  • ✅ 様式TK02(ベトナム語)PDF原本
  • ✅ 日本語訳付きの記入解説シート
  • ✅ 記入例(記載済みサンプル)
  • ✅ 委任状テンプレート(日越対訳・署名欄付き)

ご希望の方は、お気軽に「TK02資料希望」とお知らせください📩
(フォーム申請 or メールでもOKです!)

9. おわりに|「やっててよかったTK02」になる前に…!

ベトナムのデジタル行政化はどんどん進んでいます。
そしてこれからは「会社にもアカウント」が当たり前の時代。

法人VNeIDは、最初の一歩が少し複雑に見えるかもしれません。
でも、しっかり準備すれば、手続きそのものは難しくありません。

そして──

「あのとき様式TK02で申請しといて本当によかった!」

と、きっと思える日が来るはずです。