こんにちは!マナラボの菅野です。

今日は2025年7月1日に施行された「Law No. 90/2025/QH15」について、やさしく・詳しく・うそなしで解説していきます。

なんとこの法律、一度に8つもの法律を改正・補足するという、まさに「法改正の詰め合わせパック」なんです!

🧭 Law No. 90/2025/QH15ってどんな法律?

2025年6月25日にベトナム国会で可決され、7月1日から施行されたこの法律は、以下の8つの法律を改正・補足しています:

  1. 入札法(Law on Bidding)
  2. PPP投資法(Public-Private Partnership)
  3. 関税法(Customs Law)
  4. 付加価値税法(VAT Law)
  5. 輸出入税法(Export & Import Tax Law)
  6. 投資法(Investment Law)
  7. 公共投資法(Public Investment Law)
  8. 公的資産管理法(Law on Management and Use of Public Assets)

各法律がどう変わったのか、ここからじっくり見ていきましょう!

最初にまとめちゃいます。

改正対象法主な改正内容実務への影響・ポイント日系企業への影響度
関税法(第47a条)・On-the-Spot(OTS)取引を法定化(ベトナム国内での引渡しを輸出入とみなす)・OTS取引のグレーゾーンが解消・税関対応の明確化★★★(極めて重要)
付加価値税法・OTS取引に対して0%VATを明記・二重課税の懸念を払拭・キャッシュフロー安定化★★★(極めて重要)
入札法・「注文(Order)」方式を導入・入札優遇の対象拡大(女性・障がい者雇用企業など)・公的案件に参入しやすくなる・社会的配慮ある企業に恩恵★★
PPP投資法・提案型PPP案件の法整備(Investor Appointment)・インフラ事業に参画する日系企業にとっては新たな道★★
投資法・戦略技術や既存インフラ保有企業への配慮・製造業・ICT企業に有利(技術を活かして提案しやすい)★★
公共投資法・地方分権強化・迅速な投資判断が可能に・ODA案件や地方政府との協業に関係する場合に影響
輸出入税法・OTS制度との整合を図るための技術的修正(詳細は政令待ち)・税務処理への影響あり(通達に注意)
公的資産管理法・公的資産運用の手続き簡素化・自治体提携案件や施設貸与に携わる企業向け

ポイント①:入札法の大改革!「注文」という新たな選択肢

✅ 「注文(Order)」制度が法律に!

今まで明文化されていなかった「注文」という形式が、正式に Clause 17, Article 1 of Law No. 90/2025/QH15 に明記されました。

たとえば以下のような場合に「指名」ではなく「注文」という形で直接委託が可能になります:

  • 国家戦略分野のサービス提供
  • 科学技術・エネルギー・デジタルインフラ・国防・交通など
  • 特定の研究成果の商用化など

✅ 雇用に関する優遇も拡大

これまでの「従業員の25%以上が女性や障がい者など」のような条件が削除され、一定割合に関係なく、該当する従業員を雇用していれば入札での優遇対象となります。

ポイント②:On-the-Spot(OTS)取引が初めて「法律の条文」に!

これまで政令ベースで運用されていた「OTS取引」ですが、今回の改正でついに【関税法第47a条】として正式に法文化されました!

第47a条(関税法)
「外国の商人の指示により、ベトナム国内の企業間で商品が授受される場合、それを輸出入と見なす。通関手続きと税関監督を受ける必要がある。」

これにより:

  • OTS取引の法的根拠が明確に
  • 企業の安心感がアップ
  • 過去の“グレーゾーン”が一掃!

詳細なOTSの定義については別記事にまとめているので、リンクをご確認ください。

ポイント③:OTS輸出でも0%VATが明記!

OTS取引での商品供給に対して、VAT 0%の適用が法令上で保証されました(付加価値税法の改正条項)。

これは企業にとって非常に重要で、二重課税を回避できる=キャッシュフローに優しい設計です!

 ポイント④:PPP・投資法の「提案型プロジェクト」促進

Law No. 90では、以下のような企業が自ら提案し、自ら投資家として選定されやすくなる道が拓かれました:

  • 戦略的技術を持つ企業
  • 既にデジタルインフラ・プラットフォームを保有している企業

これにより、スピーディーかつ現実的なプロジェクト進行が可能に!

ポイント⑤:公共投資・資産管理の地方分権が加速!

  • 「特別公共投資プロジェクト」が新設
  • 中央政府の承認が必要だった部分が地方自治体の裁量に
  • より迅速かつ柔軟な投資判断が可能に!

いつから施行?移行措置は?

  • 施行日:2025年7月1日
  • 一部制度(例:OTSの移行処理やPPP投資の判断基準など)は経過措置あり
  • 各企業・行政機関には政令・通達による補足が順次発行される予定

まとめ:この法改正で何が変わるのか?

対象変わること
製造業・輸出業OTS取引の合法化+0%VAT適用
公共調達関係者入札制度の柔軟化+“注文”方式の合法化
スタートアップ・研究機関優遇措置の拡大、新たな公的機会の創出
自治体・公共機関投資判断・運用の自立性アップ

最後に

このLaw No. 90/2025/QH15は、単なる法改正ではありません。

実務レベルでの制度運用の柔軟化と明確化
企業・行政・投資家が連携して成長していくための土台

──そんな意味を持った、とても重要な一歩です。

また、詳細に各法律ごとの変化をまとめた特集記事も今後アップ予定ですので、引き続きマナラボをチェックしてくださいね!

それではまた次回!菅野でした👋