こんにちは!マナラボのすげのです。

こんな悩みありませんか?

「ベトナム現地法人を休眠にしようと思うんだけど…
うちの法定代表者(駐在員)が親会社を退職しちゃってて、
そのままの状態で休眠しても大丈夫ですか?」

休眠ですので上記のようなことは想定されるでしょう。

今回はこの「休眠前に代表者を変更すべきか?」というテーマについて、法令と実務の両面からガチ解説していきます!

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✅ 結論:原則、法定代表者は休眠前に変更(または追加)すべき!

以下の理由から、変更を先に済ませておくのがベストプラクティスです。どうしてもこうなってしまいますね。

理由内容
① 法令違反のリスクベトナム企業法では**「ベトナムに常駐する代表者が必要」**というルールあり
② 実務リスク税務・契約・銀行など、代表者の署名・対応が必要な場面は休眠中でも存在
③ 登記の手戻り防止ERC(企業登録証)に記載されている代表者情報を後で変えるのは面倒

では、それぞれ詳しくみていきましょう!

 1. 今の状況はこういうこと

事実

  • あなたの会社(ベトナム現地法人)は事業一時停止(=休眠)を予定している。
  • 現在の法定代表者は駐在員だが、すでに親会社を退職済み(=もう会社の管理外)。

 2. 論点:このままの状態で進めてもいいの?

  • ✅ 代表者のまま放置して休眠に入れるか?
  • ✅ それとも、休眠前に法定代表者を変えなければいけないか?

 3. ベトナムの法律ではこう決まっています

法律を解釈してみましょう。どうしても法律を無視することはできません。以下の解釈はちょっと形式的な解釈で柔軟性にはかけますが、まずは法律を確認。

法定代表者の居住要件(企業法2020年 第12条)

「会社は常に少なくとも1名の法定代表者がベトナムに居住していなければならない。
唯一の法定代表者が30日以上不在の場合は、他の者に書面で委任しなければならない。」

つまり、日本に帰国した駐在員が代表者のままでは、ルール違反になる可能性はあるということです。

 登記事項の変更義務(企業法 第30条)

「法定代表者の変更があった場合、10日以内に企業登録機関に変更申請すること。」

これも重要です。
辞めた人を代表者のまま放置することは法的にアウトです。ここはまあそうでしょう!と。納得感はありますね。

4. 放置した場合のリスクとは?

あくまで法令上ですが以下のリスクがあるといえます。ただ法令と実務には結構大きな差があるということは認識しておくといいかなとは個人的には思います。

リスク内容
✖️ 法令違反ベトナム国内に代表者が不在 →罰金の可能性(例:2,000〜3,000万VND)
✖️ 実務対応できない税務調査、銀行手続、インボイス発行で署名者不在
✖️ 偽造トラブル第三者が勝手に署名 → 書類無効+刑事罰リスク

5. 「休眠中」でも責任はゼロにはなりません!

ベトナムでは、休眠中であっても以下の義務は残ります

  • 納税・社会保険の支払い
  • 過去に結んだ契約の履行(例:賃貸契約・リース契約)
  • 税務署や行政機関とのやり取り

この対応をするには、信頼できる法定代表者が必要不可欠です。

6. ではどうすればいい?

言われてみれば当たり前に感じるかもしれません。けれども以下の対応が必要でしょう。

✅ ステップ①:新しい法定代表者を選任

  • ベトナムに居住していて、対応できる人を選ぶ。
  • 必要なら「複数代表制」にして、1人を追加しておくのもアリ。

✅ ステップ②:ERC(企業登録証)の変更登記

  • 登記は変更から10日以内に提出。
  • 添付書類:決議書、IDコピー、新旧代表の情報など

✅ ステップ③:休眠届の提出

  • 書類提出は開始日の3営業日前までに!
  • 様式II-19(休眠通知)、代表者署名が必要。

7. 現場でよくある“つまずきポイント”

以下のほうなこともあるでしょうね。

ケース問題
代表者が退職・帰国済印鑑や電子署名が使えない。休眠届が出せない!
旧代表者が連絡つかない税務署の対応が滞り、追加納税通知も放置状態に…
変更せずに休眠突入いざ事業再開時にERCが古い情報のままで登記できず、手戻り地獄に!

8. 迷ったらこのフローチャートで対応だ

 
Q1. 現代表者はベトナム在住?
├─ いいえ → 変更すべき!
└─ はい
Q2. 今後30日以上の不在予定?
├─ はい → 委任状か変更すべき!
└─ いいえ
↓ Q3. 休眠中も対応してくれる?
├─ いいえ → 変更すべき!
└─ はい → 条件付きOK

 9. 必要書類リスト

ざくっとですが法的代表者を変更するんは以下のことが必要になります。

用途書類名
代表者変更決議書、通知書、IDコピー、定款該当条文など
休眠届様式II-19、決議書、印鑑/e署名
その他銀行署名変更届、eインボイス担当者変更申請、電子署名機器の名義変更など

📝 10. 最後に|今やるべきことチェックリスト

  • ✅ 代表者が退職していないかを確認
  • ✅ ベトナムに居住している人かを確認
  • ✅ 変更決議を作成 → 登記申請
  • ✅ ERCを変更したら、休眠通知を提出
  • ✅ 休眠中も代表者が対応できるよう体制を整備!

ご相談ください(必要なら)

「自社で手続きするのが難しい」「代表者の決め方がわからない」などお困りの際は、
お気軽にマナボックスまでご相談くださいね!

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(すげの)