マナラボの法令ニュースです。
今日のテーマは『銀行から借入金がある場合に関連当事者取引に該当するのか?」です。
もしあなたの会社が金融機関から借入をしているのであればお役にたてます。ベトナムは利息が高すぎるのでベトナムの銀行から借入はないかもしれませんが、日本やシンガポールの金融機関などからの借入金はあるケースはあるかもしれません。
それでは行ってみましょう。
銀行からの借入金は政令をあてはまると「関連当事者取引」となる
政令132/2020/ND-CPによれば
- 借入金が「資本」の少なくとも25%に相当し
- 銀行から貸付金が借入した企業の中長期債務の50%以上
の2つの条件を満たせば
例えば企業A(銀行)が企業Bに以下の状態で貸付した場合には「関連当事者取引」となるということです。
- 企業Bの資本金:100
- 企業Bの中長期債務:50
- AからBへの貸付金:25
この場合、BとAは「関連当事者取引」に該当することになります。
一般的には第3者と考えられる外部の銀行が上記の要件を満たすことによって「関連当事者」となってしまうのは違和感があるかもしれません。私もあります。
しかしながら、企業A(銀行)が企業Bに対して大きな貸付を行い、その貸付が企業Bの資本の大きな部分を占め、かつ企業Bの中長期債務の過半を占める場合、AがBに大きな経営上の影響を及ぼすと考えられます。そのためその取引は移転価格税制の対象となります。これは、企業間の財務関係が密接であることを示し、税務上の特別な注意を要する取引とされるためと理解できます。
第5条. 関連当事者
2.この条の第1項に記載された関連当事者は、以下の特定の規定に従うものとします
d) 一企業が他の企業に対して保証を提供し、または貸付を行い(関連当事者の資金源による第三者の貸付の保証や類似の財務取引を含む)、その貸付金額が借り入れ企業の資本の少なくとも25%に相当し、かつ借入企業の中長期債務の50%以上を占める場合。
引用元:政令132/2020/ND-CPの5条
銀行から借入が関連当事者に該当する場合の影響
これにより利息について留意する必要が出てくるでしょう。具体的には損金不算入になってしまうリスクです。詳細は以下をごらんください。
>>【ベトナム移転価格税制】支払利息損金算入限度額の上限を緩和!政令68/2020/ND-CP【図解でわかりやすく】
その他の条件の細かい点
最初に銀行からの借入が関連当事者取引になる可能性があると説明しました。以下の点についても解説します。
- いつ時点の「資本」「中長期債務」か?
- 「中長期債務」がない場合
です。まず時点ですが、CV5224/TCT-TTKTというオフィシャルレターによれば、「貸付」時点のBSの金額が基準となります。
また
「中長期債務」がない場合はどうなるのか? 負債はあっても短期の債務だけの場合です。素直に読み解けば該当なしと判断できます。この点2022年3月25日づけのオフィシャルレター 915 /TCT-TTKTによれば「該当なし」と明確に言っています。なので該当ありません。
今日のまとめ
今日は『銀行から借入でも関連当事者になるの?条件を満たせば該当する』というテーマでお伝えしました。
- 資本金25%相当
- 中長期債務の50%以上
の借入金の場合は銀行であっても関連当事者取引に該当します。いかがでしたでしょうか?お役にたてれば幸いです。