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労働災害補償(給付)決定書とは?
労働災害補償(給付)決定書は、労働災害や職業病により被災した労働者に対して、企業が適正な補償を行うために必要な公式文書です。本決定書は、労働者の権利を保護するとともに、企業が法的義務を果たしていることを証明するために重要です。本日はこれについて解説していきますね。
労働災害補償の法的根拠を知っておこう!
主要な法律および通達
労働災害補償は、以下の法令および通達に基づいて行われます。
労働安全衛生法(労働法第84/2015/QH13号):労働者の安全を確保し、災害時の補償規定を定める。
政令第45/2013/ND-CP号(2013年5月10日):労働時間、休憩時間、労働安全および衛生に関する詳細規定。
通達第28/2021/TT-BLDTBXH号(2021年12月28日):労働者に対する補償、手当、医療費の詳細な実施方法。
これらの規定により、労働者が災害に遭った際に、企業は適正な補償を行う義務を負います。
労働災害補償の対象者と補償額の計算方法
補償対象者は誰?
労働災害補償の対象となるのは以下のケースです。
✅ 労働災害によって労働能力が5%以上低下した労働者
✅ 労働災害により死亡した労働者の遺族
✅ 職業病により労働能力が低下した労働者
ただし、労働者の重大な過失(飲酒運転、意図的な規則違反など)が原因で発生した事故は補償対象外となる場合があります。
補償額の計算方法
補償額は、労働能力の低下率に応じて計算されます。(通達第28/2021/TT-BLDTBXH号に基づく)
- 労働能力低下率が81%以上または死亡した場合: 最低30か月分の給与
- 労働能力低下率が5%〜10%の場合: 最低1.5か月分の給与
- 労働能力低下率が11%〜80%の場合: 以下の計算式を適用
補償額の計算式Tbt = 1.5 + {(a - 10) × 0.4}
(a = 労働能力低下率 %)
補償額の具体例
例1:労働能力低下率15%の場合
Tbt = 1.5 + {(15 - 10) × 0.4} = 3.5か月分の給与
例2:労働能力低下率35%の場合
Tbt = 1.5 + {(35 - 10) × 0.4} = 10.5か月分の給与
労働災害補償(給付)決定書の記入ガイダンス
以下のポイントに留意です。
✅ 企業名:正式名称を記入
✅ 労働災害発生日時・場所:具体的な日時・場所を明記
✅ 労働能力低下率:医療機関の診断書をもとに記入
✅ 補償額:法律に基づき正確に算出
✅ 決定者の署名・押印:企業代表者が正式に署名・押印
項目 | 記入内容 | 記入例 |
[1] 企業名 | 労働災害補償(給付)を決定する企業名 | 有限会社〇〇 |
[2] 報告書情報 | 労働能力低下率評価報告書、または死亡認定報告書の番号と発行日 | No.1234 / 2025年3月1日 |
[3] 申請担当者 | 労働災害補償(給付)申請を行った担当者の職務および部署名 | 総務部 田中太郎 |
[4] 労働者氏名 | 労働災害に遭った労働者の氏名 | 学田 愛生 |
[5] 低下率 | 通達第28/2021/TT-BLDTBXH号第3条第1項に基づき、補償(給付)の対象となる労働能力低下率 | 20% |
労働災害補償額の算定
以下のような違いがあるようです。
- 労働災害補償額:会社が支払う(雇用者負担)
- 労働災害給付額:社会保険庁が支払う(社会保険基金からの給付)
労働能力低下率 | 補償額(Tbt) |
81%以上 または死亡 | 最低30か月分の給与 |
5%〜10% | 最低1.5か月分の給与 |
11%〜80% | 1.5 + {(a – 10) × 0.4} |
労働災害給付額の算定
労働能力低下率 | 給付額(Ttc) |
81%以上 または死亡 | 最低12か月分の給与 |
5%〜10% | 最低0.6か月分の給与 |
11%〜80% | 補償額 × 0.4 |
ベトアムの労働災害補償の申請手続き
ちょっと細かいですが申請の方法についても概要をざっくり説明しますね。
必要書類一覧
労働災害補償を申請するためには、以下の書類を準備する必要があります。
- 労働災害調査報告書(事故の詳細が記載されたもの)
- 医療機関の診断書(労働能力低下率の証明)
- 労働災害補償(給付)決定書
- 通勤災害の場合の追加書類(通勤時の事故証明など)
補償金の申請の流れ
労働災害補償の申請は、以下の手順で行われます。
- 書類を準備し、企業内で決裁を受ける:企業内の総務部や労務部が書類を確認し、承認を得る。
- 関係機関(労働局、社会保険庁)へ提出:必要書類をそろえたうえで、労働局や社会保険庁へ正式に提出する。
- 審査後、補償の支払い:提出された書類が審査され、承認された場合、補償金が支払われる。
このプロセスを適切に実施することで、労働者の権利を守り、企業としての責任を果たすことができます。