こんにちは!

マナラボの菅野です。

この記事では、ベトナムに支店を持つ企業が気をつけたいVAT(付加価値税)申告のルールについて、やさしく丁寧に解説していきます。

「同じ省の支店と本社は一緒に申告していいの?」「請求書を発行したら別申告になるの?」といった、実務でありがちな悩みを一緒に解消していきましょう!

 

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支店には2種類あるって知ってましたか?

ベトナムでは、「支店」とひとことで言っても、税務上は2つのタイプがあります。ほとんどが「従属支店」だと思います。

従属会計支店(Dependent accounting branch)

  • 会計処理は本社でまとめてやる
  • 本社と一緒にVAT申告をするのが基本
  • 一部条件を満たすと、支店単独でも申告できる

独立会計支店(Independent accounting branch)

  • 支店が自分で帳簿をつけて、税金も計算・申告する
  • 一般企業と同じように、支店単独でVAT申告が必要

 法的根拠も理解しましょう

この記事の内容は、以下のベトナムの法令に基づいています.

  • 政令126/2020/ND-CP(2020年10月19日施行)
  • 通達80/2021/TT-BTC(2021年9月29日施行)

特に、通達80/2021/TT-BTC 第12条および第13条が、支店のVAT申告に関する重要なポイントを定めています。

ベトナム従属会計支店のVAT申告ルール

2つのケースに分類し整理しながら理解しましょう。

同じ省内にある支店の場合

基本は本社と一緒にVAT申告でOK!例えば本社がバクニンにあってバクニンに支店を作る場合です。

でも、次のような場合は支店が単独で申告する必要があります。

  1. 商品・サービスを直接販売している
  2. 独自の請求書を使用している(支店で税務署登録済)
  3. 仕入れ・売上にかかるVATを完全に管理している
  4. 税務署に「申告方法」を登録済

👉 このような支店は、支店所在地の税務署に申告します(通達80/2021/TT-BTC 第13条第4項)。本社と支店で別々に申告するという意味ですね。

「商品を直接販売し、かつ、その従属ユニットが登録した請求書、またはその従属ユニットを管轄する税務署で納税者が登録した請求書を使用し、さらに売上VATおよび仕入VATを完全に管理・会計している場合、その従属ユニットは、その所在地を管轄する税務当局に対して付加価値税を申告・納税しなければならない。」

通達80/2021/TT-BTC 第13条第4項

他の省にある支店の場合

他の省にある従属支店は、基本的には本社でまとめて申告し、支店のある地方ごとに税額を配分します(同通達第12条第1項)。

「複数の省レベルの地域で事業活動を行い、本社が他の省レベルの地域に所在する納税者は、政令126/2020/ND-CP第11条第2項および第4項に従い、本社において会計および税務申告を集中して行うものとする。納税者は、本社を管轄する税務当局に税申告書を提出し、事業・生産活動を行っているそれぞれの地域の税務当局に対して、納付すべき税額を配分しなければならない。」

通達80/2021/TT-BTC 12条第1項

ただし、こちらも条件を満たせば、支店単独での申告が可能です。

VATの 配分が必要な5つのケース

ちょっと複雑ですね。ただ見てもらえればわかるように実務上影響のあるビジネスは限られています。

以下のような事業に該当する場合は、本社でVAT申告をして、地方(省)ごとに配分が必要です。

対象業種配分方法の概要備考
電子くじ(lottery)各省の売上比率に応じて配分様式01-6/GTGT使用
不動産譲渡物件所在地で申告+本社で合算様式05/GTGT使用
建設工事工事所在地で申告+本社で合算複数省にまたがる工事も対象
製造拠点(加工・組立含む)製品売上の比率で配分例:工場が地方にある場合など
水力発電所(複数省)投資額割合で各省に配分特殊なインフラ事業の場合

複雑ですよね。

条文内容対象申告方法備考
第12条他省での事業活動におけるVAT配分支店・工場など本社申告+配分
5ケースで配分義務あり
第13条支店のVAT申告従属ユニット原則:本社申告
例外:条件を満たせば支店単独
条件は4つ全て必要

まとめるとこのようになります。

ベトナム独立会計支店の申告はシンプル!

独立会計支店は、本社とは完全に別でVAT申告を行います。

  • 会計処理も自前
  • 請求書も自分で発行
  • 税務署も支店所在地を管轄するところに直接申告

👉 一般的な企業と同じ感覚で処理してOKです。

最後に:まとめ

支店のVAT申告は、本社との関係性(会計の独立性)や、業種、場所によってルールが大きく変わります。
登録の際に「どこで、どう申告するか?」を明確にしておくことが、税務リスクを防ぐカギになります!

ご不明点があれば、専門家に確認することをおすすめします😊

まとめの表です。

支店の種類所在地VAT申告の方法配分の必要
従属会計支店同一省内本社と合算(例外あり)基本なし
従属会計支店他省本社で申告+地方へ配分5ケースで必要
従属会計支店(販売・独自請求書あり)どこでも支店単独で申告
不要(ただし要登録)
独立会計支店どこでも支店単独で申告不要

お役にたてれば幸いです。