こんにちは!ラボの菅野です。

今日は「2025年の祝日スケジュール、どうなってるの?」というテーマで、ちょっと気になる公文書2つ――「8726/VPCP-KGVX」と「6150/TB-BLDTBXH」について、分かりやすく、かつ楽しく解説していこうと思います。

「あれ?4月30日って何曜日だったっけ?5月2日は出勤日?」という方へ

カレンダーを見てふとこう思った方、きっと少なくないんじゃないでしょうか。

「今年のゴールデンウィークってどうなるの?」「祝日が平日に挟まれてるけど、連休になるの?」とか、
頭の中で祝日と土日の並びをパズルのように組み立て始めてませんか?(私はします)

そんな中でよく出てくるのが「振替出勤日」とか「5連休」とかいうワードです。
しかも、今年は政府がそれをちゃんとお達しで決めてるんですね。そこで登場するのが――

はい、出ました。**公文書「8726/VPCP-KGVX」通知「6150/TB-BLDTBXH」**です。
読むとね、たしかに全部書いてあるんですが……文字が多すぎて見る気が起きないと思うんです。

というわけで、今回はこの2つの文書をやさしく、ふわっと、けれどちゃんと!解説していきます。

8726/VPCP-KGVXってそもそも何?

これは首相ファム・ミン・チンさんが発出した公文書で、
「テト(旧正月)・国慶節・4月30日・5月1日といった祝日をどう扱うか」を定めたものです。

ざっくりいうと、「この日は休みにしようね。ついでにこの日は出勤日にしてね。」という指示が書かれています。

たとえば、

「5月2日(金)を休みにしたいから、代わりに4月26日(土)に出勤してね」

みたいな感じ。これ、実はめちゃくちゃ大事です。
なぜなら「週末出勤させる=休日手当出す」って思いがちですが、振替出勤は平日扱いなんですね。

スポイラーのタイトル

政府官房

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ベトナム社会主義共和国

独立 – 自由 – 幸福
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文書番号:8726/VPCP-KGVX
件名:2025年のテト(旧正月)および一部祝日に関する件

ハノイ、2024年11月26日


宛先:労働・傷病兵・社会問題省 大臣 殿

労働・傷病兵・社会問題省が提出した以下の公文書に記載された、2025年の旧正月、国慶節およびその他一部祝日に関する計画について、ファム・ミン・チン首相は次のように指示します。

  • 公文書番号:5152/BLDTBXH-CATLĐ(2024年10月22日付)

  • 公文書番号:5621/BLDTBXH-CATLĐ(2024年11月8日付)


1.上記文書に記載された旧正月、国慶節、および4月30日(南部解放記念日)と5月1日(国際労働デー)の祝日における勤務日の振替案について、首相は全面的に同意します。

労働・傷病兵・社会問題省は、行政機関、公的機関、政治団体、社会政治団体、企業および従業員に対して正式に通知を行うものとします。


2.各機関および部署においては、業務が継続されるように当番体制の整備と合理的な業務配置を行うこと。特に、突発的・緊急的な業務に対応できるよう、職員の当番勤務を事前に割り当てることを重視してください。
これは、テトおよび祝日中においても、国民および組織に対する適切なサービス提供を確保するためです。


3.各省庁・機関・地方自治体は、2025年を「加速と飛躍の年」と位置づけ、5カ年計画(2021~2025)の目標達成に向けた確固たる基盤作りを行うこと。

そのために以下を推奨します:

  • 企業・組織・個人に対して、積極的かつ自発的な生産・事業活動を促進する計画・対策を講じる

  • 商品・サービスの供給と需要の安定物価と市場の管理に努める

  • 生産・経済成長の促進、節約の実践と無駄の排除を図ること

これらを通じて、今後の持続可能な発展のための土台を構築する。


本通知は、労働・傷病兵・社会問題省をはじめ、関係省庁・機関に通知し、実施を求めるものである。
以上

6150/TB-BLDTBXHはもっと細かく指示している。基本は公務員向け

そして、8726の内容をより具体的に落とし込んだのがこの「通知6150」です。
こちらは労働・傷病兵・社会問題省から出された通知で、より実務寄りの内容になっています。

たとえばこんな風に書いてあります。

  • 4月30日(水)〜5月4日(日)まで5連休にしましょう
  • その代わり、5月2日(金)の分を4月26日(土)に出勤して補填します
  • 公務員や行政機関の人たちはこれに従ってください

という感じです。

スポイラーのタイトル

労働・傷病兵・社会問題省

―――――――――――――――――――

ベトナム社会主義共和国

独立 – 自由 – 幸福
―――――――――――――――――――

文書番号:6150/TB-BLDTBXH
発行日:2024年12月3日|ハノイ


通知

2025年のテト(旧正月)、国慶節、4月30日(南部解放記念日)および5月1日(国際労働デー)の休暇に関する通知(行政機関職員・公務員・労働者向け)


首相ファム・ミン・チンによる**政府官房の公文書第8726/VPCP-KGVX(2024年11月26日付)**に基づき、以下の通り2025年の祝日スケジュールを各関係機関・団体・企業・雇用主に通知いたします。


1. 旧正月(テト)休暇

国家機関、公的機関、政治団体、社会政治団体に勤務する**公務員・職員・労働者(以下、公務員等)**は、
2025年1月25日(土)~2月2日(日)までの9連休となります。
(甲辰年12月26日~乙巳年1月5日)
※うち、テト5日間+週休日4日間を含む


2. 国慶節休暇

2025年8月30日(土)~9月2日(火)までの4連休
(国慶節2日+週休日2日)


3. 4月30日(南部解放記念日)・5月1日(国際労働デー)

  • 5月2日(金)の勤務日を、4月26日(土)に振り替える
  • よって、公務員等は2025年4月30日(水)~5月4日(日)まで5連休
  • 4月26日(土)は出勤日(振替勤務日)

4. 当番体制と業務継続について

  • 各機関は、祝日・テト期間中でも業務が円滑に進むよう、適切な当番体制・緊急対応体制を整えること

  • 特に、突発的業務に対応するための当直職員の配置を徹底すること


5. 経済・社会活動の促進

各省庁・地方機関においては:

  • 企業・個人・団体に対して、積極的な生産・事業・経済活動を推進する対策を講じること
  • 物資・サービス・価格・市場の安定を図り、経済成長を後押し
  • 節約・浪費防止を推進し、2025年計画の達成、および2021~2025年の5カ年計画の加速と突破に貢献する体制を整える

6. 土日が固定休日でない機関への対応

  • 毎週土日が休日でない機関については、各組織の具体的な運営計画に基づき、適切な休暇スケジュールを自律的に設定すること

7. 国家機関以外の労働者(民間企業等)への対応

  • 国家機関に属さない労働者については、雇用主が以下の範囲で祝日スケジュールを選択・適用可能

▶ 旧正月(テト):

  • 甲辰年末の1日+乙巳年初の4日間

  • 甲辰年末の2日+乙巳年初の3日間

  • 甲辰年末の3日+乙巳年初の2日間
    いずれかの組み合わせを選択

▶ 国慶節:

  • **2025年9月2日(火)**と、以下いずれか1日
     - 2025年9月1日(月)
     - 2025年9月3日(水)

▶ 雇用主の義務:

  • 旧正月および国慶節の休暇計画は、実施の30日前までに従業員に通知

▶ 補足規定:

  • 週休日が祝日と重なった場合:翌営業日に代替休日を与えること(労働法第111条第3項に基づく)

  • 雇用主に対し、国家機関と同様の祝日スケジュールを積極的に適用するよう推奨


8. その他の祝日・テトに関しては、労働法の規定に従って実施


本通知は、各機関・組織・企業・雇用主・国民の皆さまが、祝日計画を適切に把握し、業務および生活に支障のないよう発信するものです。

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労働・傷病兵・社会問題省

「うち民間企業なんだけど、関係あるの?」って思いますよね。

そうなんです。ここ、めちゃくちゃ気になるポイントですよね。

通知6150では、公務員などの公的機関がメインの対象ですが、第7項にしっかりこう書いてあるんですよね

民間企業も、同様の祝日スケジュールを**「適用することが奨励される」**。

強制じゃないんだけれども、**なるべく合わせたほうがいいよ〜**というメッセージですね。
周りが5連休してる中、自分の会社だけ平日ってなるとちょっと空気読めない感出ますしね。うん。

弊社も5連休にしますよ。旅行にも行ってもらいたいですしね。連休前までにきちんとやるべきことをやってもらえれば問題ないはずです。

ところで4月26日(土)は「振替出勤日」だけど…給料どうなるの?

はい、ここがよく混乱するポイントです。

普通、土曜日は「休日」って感覚ありますよね?特に市内のサービス業は今は土日を休みにしているはずです。弊社でも、2016年頃は土曜日に午前中だけ働くという規則でしたが、平日ちょっと長めに働いて土日を休みにするスタイルにだんだんとなっていきました。

でも今回の場合は、政府の文書で**「この日を出勤日にしてください」って言われているので、
4月26日(土)は
「平日扱い」**になります。

つまり、給料は普通の日と同じ100%支給です。
残業したら?→はい、150%で残業代が出ます(これは労働法第98条に書いてあります)。

「でも、うちの会社は普段土曜休みだから…」という場合でも、
会社が「この日は出勤日」として事前に通知していれば、平日として取り扱われます

では、どうして「100%支給=通常勤務日扱い」と言えるのか?
その法的根拠と考え方を詳しく解説していきますね。この辺りはベトナムの法律では明文化されていないので「解釈」になると思います。

【ベトナム労務講座】休日出勤して代休を取得してもらった場合の取り扱い

労働法第111条の原文を考察する必要があります。これをもとに「振替出勤日」の給与が通常通り(100%)である理由を、さらにしっかり整理して説明できます。あくまで解釈になりますが弊社ではこうしています。

✅ 第111条を整理してみましょう

📘 労働法 第111条(週休日)

● 第1項:

労働者は、毎週少なくとも24時間連続した休息を取る権利がある。
勤務形態の都合上それが難しい場合は、月平均4日以上の休日を与える必要がある。

→ これは「週に1日は休ませましょうね」という基本的な休日の保障ルールです。

● 第2項:

週休日を日曜日にするか、それ以外の固定曜日にするかは雇用主が決めてOK
ただし、それを社内規則に明記することが必要

→ つまり、「うちは毎週土日休みです」とか、「水曜と日曜が休みです」といったルールは会社ごとに自由に決められるということです。

● 第3項:

祝日が週休日と重なった場合は、次の営業日に代替休暇(振替休日)を与えること

→ これはよくある「日曜と祝日がかぶったから、月曜が休みになる」ってやつですね。

じゃあ、振替出勤日の話にどうつながるの?

ここがポイントです。

今回のケースでは、4月26日(土)を振替出勤日とすることで、5月2日(金)を休みにして、4月30日〜5月4日までを5連休にするという政府のスケジュール(通知6150/TB-BLDTBXH)があります。

つまり、**本来週休日とされる4月26日(土)を、事前に「勤務日として振り替えた」**わけですね。

これは、第111条第2項の「週休日の設定は会社が決められる」&「労働者の週休日は固定しなくてもいい」というルールに基づきます。つまり、土曜日が通常の出勤日にしたっていいんです。

 なぜ給料は100%でよいのか?(根拠の再整理しよう)

  • 4月26日(土)は、政府および会社から事前に「勤務日」として指定されている
  • 労働法第111条では、「週休日」は会社が自由に決めてよいとしている
  • したがって、その日を出勤日とした場合は通常の勤務日と同じ扱いになる
  • よって、給与は**100%支給(平日扱い)**で問題なし
  • もし残業した場合は、労働法第98条により150%以上の割増賃金

逆に注意したいケース(重要かと)

もしも会社が、

  • 4月26日(土)を出勤日とする通知をしていない
  • または、出勤を強制しただけで、就業規則に基づく振替として扱っていない

という場合、それは単なる「週休日に働かせた」扱いになると考えられるんですよね。

すると、労働法上は最低200%の割増賃金が必要になるんです。
(これは休日労働扱い。労働法第98条第1項bに該当するでしょう。)

ということでまとめると…

ポイント説明
労働法第111条週休日の設定や振替は、会社が決めてOK(就業規則への記載が前提)
祝日と週休日が重なった場合翌営業日に振替休日を与える(第111条第3項)
振替出勤日(例:4月26日)あらかじめ指定されていれば平日扱い → 給与100%でOK
通知がなければ?週休日労働とみなされて最低200%の割増賃金が必要になる可能性

こうなるんじゃないかなあと。

以下の記事でも「事前通知」があれば本来休日である日を振替しても残業のレート給与計算しなくていいよ!ということを根拠を踏まえて言っています。

>>ベトナムで停電が多発!これによる労務への2つの影響を解説

とはいえ、あなたの会社ではどうすればいいの?

個人的には、民間企業もこの政府スケジュールにある程度合わせる方が無難だと思っています。メンバーに多くの連休をとってほしいですよね。

理由はいくつかあります。

  • 従業員の不満が減る(周りが5連休なのに自分は仕事…ってなると悲しいですよね)
  • 行政機関が休みなので、業務連携もスムーズじゃなくなる
  • 結果的に効率が落ちることもある

もちろん、業種によっては難しいところもあります。たとえばサービス業や物流業など、休めない現場もありますよね。

そういう場合は、しっかり事前に説明して、必要に応じて代休制度や手当を検討するといいかもしれません。

まとめ

まとめると以下のようになるでしょう。

  • 8726/VPCP-KGVXと6150/TB-BLDTBXHは、2025年の祝日スケジュールを定めた超重要文書です
  • 公務員は4月30日〜5月4日の5連休が決定。代わりに4月26日(土)に振替出勤
  • 民間企業は適用義務はないけど、できるだけ合わせることが推奨されています
  • 振替出勤日は平日扱いなので、給料は100%、残業は150%
  • 祝日に働いても、代休は原則なし。代わりに300%の割増賃金を支払うルール

祝日って聞くとちょっとワクワクしますが、その裏には複雑なルールと気遣いがあるんですよね。

「自分の会社はどうすればいいのか分からない…」という方も、まずは上司や人事に相談してみてください。
この記事が少しでも、そのヒントになればうれしいです。

ではでは、素敵なベトナムでのゴールデンウィークを迎えられますように!🌸