こんにちは!マナラボの菅野です。
「電子インボイスって、いつ発行したらいいんですか?遡って作成するのはダメですか?」
こんな質問、よく聞きます。私も思っています。
実際、現場で「え、ちょっと昨日の日付で出してもいいですか?」みたいな話、出ちゃうんですよね。お気持ちわかります。タイミング逃すと「あちゃ〜…」ってなりますし、取引先の都合とか、自社の処理が遅れたとか、現実はなかなか教科書通りにいかないものです。
そもそもサービス完了日と金額確定の日付でずれるんだから無理だろ!というお話しもあります。よくわかります。
でも、そんな中で気をつけなければいけないのが、**「インボイスを遡って出すのはOKなのか?」**という問題。
今日はこのテーマを、優しく、そしてなるべくわかりやすく紐解いていきます。
この記事を読んでいただくことによって…。
- 電子インボイスをいつ発行すべきかが明確になります
- 遡って作成することがなぜダメなのかがわかります
- 罰則を避けるための実務ポイントが身につきます
この記事のもくじ
電子インボイスって、どんな仕組み?
電子インボイス、略して「eインボイス」。
これはもう、紙の請求書とは違います。**“見た目だけじゃない、データが本体”**なんです。
財務省の通達32/2011/TT-BTC 第3条ではこう定義されています:
「電子インボイスとは、商品やサービスの提供に関する電子データメッセージであり、電子機器を通じて作成・送信・受信・保存・管理されるもの」
これをざっくり言うと、
📦 取引情報が全部デジタルで記録されて、見た目だけじゃなく“中身”でバレる時代です。
VATインボイスは「いつ出すか」が超重要
実は「請求書は商品が届いたあとでいいんでしょ?」というのは、今の時代では半分正解で半分不正解です。
▼根拠はこちら
政令123/2020/ND-CP 第9条
「商品販売時のインボイス発行は、所有権や使用権が買手に移った時点とする。
サービス提供時は、完了時点。
前払いや途中払いがあった場合は、その時点で出してもOK」
つまり、こんな風に覚えてください👇
ケース | インボイスを出すタイミング |
---|---|
商品販売 | モノを渡した時 |
サービス提供 | サービスが終わった時 |
前払いあり | お金を受け取った時点でOK |
詳細は以下でも解説していますよ。
🎓シンプルに言えば、「取引が起きたその瞬間が“出すべき時”です」。
「あ、インボイスの日付間違えたかも」は許されるの?
このあたりで、よく出るのがこの質問です。
「署名が遅れただけなら、大丈夫ですか?」
「インボイスの日付を少し前にしておきたいんですけど…」
この問いに答えるのが、政令123/2020/ND-CP 第10条第9項です。
「電子インボイスにおけるデジタル署名日(署名を実行した日)が、作成日(インボイス上の日付)と違ってもOK。
ただし、税務申告は作成日を基準とする。」
つまり、こうです👇
✅ 署名がちょっと遅れるのは問題なし
❌ 作成日(請求日)をごまかすのはNG。罰則あります!
遡って電子インボイスを発行するのって、実は…?
「請求書、ちょっと前の日付で出せたらいいのに…」
「システム処理が遅れただけだし、PDFの請求日だけ変えたら、まぁ大丈夫じゃない?」
――そんな風に思ったこと、ありませんか?
私はあります(←小声で言いますが、経理現場では“あるある”ですよね)。
実は、テクニック的には一見“できてしまう”方法もあるんだとか。
たとえば:
- 💻 パソコンの日時設定を戻して、請求書を発行する
- 📄 インボイスソフトのPDF出力の日付を「ちょっとだけ前」に設定する
うん、表面上は変えられるんです。
「できちゃった…」という感じになります。
でも、ちょっと待ってください。
電子インボイスは「見た目の書類」じゃありません。
中身のデータ(XML)こそが本体なんです。
そして、そのXMLデータには、
- 電子署名の日時
- データ送信の日時
- 税務署への転送ログ
- …全部バッチリ記録されてるんです。
つまり、
📡 「PDFの日付は4月1日だけど、署名したのは4月10日ですね?」って、税務署は余裕で見抜けます。
例えるなら、「日記を1週間分まとめて書いて、日付だけそれっぽく入れたけど、筆跡でバレる」みたいなものです。
法律的にはどうなのか?
結論から言えば、遡ってインボイスを発行することは法律違反です。
根拠はこちら👇
📜 政令123/2020/ND-CP 第9条
商品の所有権・サービスの完了時点が、請求書発行のタイミング。
📜 通達10/2014/TT-BTC 第11条第3項
法定外のタイミングでインボイスを発行した場合、
罰金は400万〜800万VND。
「できるか」と「やっていいか」は違う話です
テクニック的には、“なんとなくできちゃう”こともあります。
でもそれは、**ばれたら「故意の不正」**と見なされます。
リスクを背負ってまで、「なんとなく」を押し通す必要はありません。
正しいタイミングで、正しい方法で出すことが、会社と自分を守る一番の近道です。
じゃあ「未来の日付」で出すのはOK?【これの落とし穴】
さて、ここでもうひとつ気になるのが、「前」じゃなくて「後」の日付。
つまり、「後日付(みらいびづけ)のインボイス」ってどうなの?というお話です。
たとえばこんなケース👇
「明日取引があるけど、今日のうちにインボイス作っておこうかな…」
「請求日を翌月1日にしておいた方が相手も処理しやすいって言ってたし…」
これ、気持ちはめちゃくちゃわかります。
相手の締め日の都合とか、自社のシステムスケジュールの関係とか、いろんな事情があるんですよね。
でもここで、落とし穴があります。
❌ 後日付インボイスも原則NGです!
政令123号の第9条を見てみましょう。
「インボイスの発行時点は、商品またはサービスが実際に“移転”または“提供完了”した時点」
つまり、まだモノを渡していない、サービスが終わっていない状態で未来の日付でインボイスを先に出してしまうのは、
それってつまり、架空請求と見なされる可能性があるということです。
たとえば、今日が4月10日なのに、「4月20日付」のインボイスを発行するのは、
まだ存在しない取引を請求したことになるという扱いになるかもしれません。
📌一部の特例を除いて、原則「未来日」はNG
たとえば、次のような「特殊な業種・取引」には例外もあります。
【例】電気・水道・通信などの継続サービス
政令123号 第9条 第4項(a)ではこうあります:
「航空燃料、通信、郵便、物流、ITなど継続的で大量のサービス提供において、
サービス提供期間終了後にデータを照合し、その完了日から最大7日以内に発行することが認められる。」
このような場合は、少し後ろにずれるのがOKなんですが、
通常の物販・単発のサービス提供には該当しません。
🤝現場でよくある誤解にご注意!
よくあるパターン:
「4月30日の納品だけど、請求書を5月1日付で出しておいた方が、買手の処理がラクだと言われたので…」
このケースも、原則として**「納品日に出すべき」です。**
買手都合に合わせて請求日を後ろにズラすと、
「取引発生日と請求日が一致していない」として指摘されることがあります。
💡ポイント整理しよう
まとめます。
パターン | 許されるか? | 備考 |
---|---|---|
サービス完了後に署名が遅れた | ✅OK | 作成日は変更不可、署名日は後でもOK |
実際の取引日より前の日付で作成 | ❌NG | 「遡及発行」として違反 |
実際の取引日より未来の日付で作成 | ❌原則NG | 一部例外を除き不可。未提供の請求と見なされる恐れあり |
月末締めなどの理由で少しズラしたい | ⚠️要注意 | 事前に買手と契約・合意があれば例外も。ただし原則は実取引日基準 |
次の章では、「罰則ってどれくらい厳しいの?」について詳しくみていきます👇
罰則って実際どうなるの?【“うっかり”が思わぬ高額請求に】
ここまで読んでくださった方は、こう思ってるかもしれません。
「え…まさか日付をちょっと変えただけで、本当に罰金なんてあるの?」
ええ、あります。しかも、意外と高いです。ここは少し堅く、でも大切なところなので、具体的な法律を引用しながら解説していきますね。
根拠はこれです!
まずはこれ👇
通達10/2014/TT-BTC 第11条第3項:
「法定の時点でインボイスを発行しなかった場合、**400万〜800万VND(約2〜4万円)**の罰金が科される。」
これ、“日付を間違えて出した”だけでも対象になります。
“うっかり”でも罰則?その線引きは?
ちゃんと情状酌量もあります。
例えばこんなケース👇
ケース | 処分内容 |
---|---|
税務申告に遅れなし・情状酌量あり | 警告のみ |
明らかな遡及発行や繰り返し | 罰金400万〜800万VND |
つまり、「間違えたけど、結果的に納税には問題がなかったし、初めてのことだった…」
というような場合は、口頭注意(警告)で済むこともあるんです。
でも、「あえてやった」や「何度も繰り返した」はアウト。
💥 さらにある!インボイス関連の罰則いろいろ
ついでに、他にもよくある違反と罰金一覧を置いておきます👇 あくまで参考で!
違反内容 | 罰金額 |
---|---|
必要事項の記載漏れ | 20万〜100万VND |
無効インボイスの未取消 | 200万〜400万VND |
インボイスの紛失(未送信) | 1,000万〜2,000万VND |
違法インボイスの使用 | 2,000万〜5,000万VND |
金額だけ見ると「ちょっとした罰金かな」と思うかもしれません。
でも、こういうことって一回バレると、その会社の「信頼そのもの」にキズがつきます。
🧠 “罰則=ペナルティ”だけじゃない。「予防」こそが目的
ここで、ひとつ視点を変えてみましょう。
税務署が罰則を設けているのって、
「悪いことをしたから怒る」ためじゃないんです。
本当の目的は、
✅「ルール通りの処理を徹底させて、誰も損しない仕組みにすること」
なんです。
だって、取引先が後日付や前日付でインボイスを出してきたら、
自社側の経費計上や消費税処理にも影響が出ますよね?
「ちゃんと出す」が当たり前になれば、
結果的にみんなが楽になる仕組みになるわけです。
「罰則に怯える」のではなく、「安心できる処理」をしよう
大事なのは、「これって違反になるのかな…」と不安を抱えながら処理することではなく、
💡「自信を持って、ちゃんと処理した」と言える状態をつくること。
そのためには、正しい知識+ちょっとした確認習慣が味方になります。
たとえば👇
- 「今日出すインボイス、取引日はいつだったかな?」
- 「署名と送信は同日になってるかな?」
- 「送信前にチェックする仕組みあるかな?」
こうしたチェックが、うっかり違反→高額罰金を防ぐ最高の予防策です。
最後に:インボイスは「スピード」より「誠実さ」かも
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
電子インボイスって、正直ちょっと面倒ですよね。
「日付にそこまで厳しくしなくても…」って、心の中でつぶやきたくなる時、きっとあると思います。
でも、だからこそ大事なのは――
📌 **“早く出すこと”より、“正しく出すこと”**です。
1日遅れても、正直に出せばそれでOK。
日付を誤魔化してバレたときの不安やリスクの方が、ずっと大きいですから。
そしてもうひとつ。
自社の信頼を守ることにもつながります。取引先も、税務署も、未来の自分も。「ちゃんと処理してある」って、すごく安心できるんです。
迷ったら、マナラボに聞いてください
- 「この取引、いつのインボイスを出せばいいんだろう?」
- 「このタイミングで発行しても大丈夫かな?」
- 「処理が遅れたけど、どう対応するのがベスト?」
そんなモヤモヤをひとりで抱えずに、お気軽に私たちにご相談ください。
マナラボは、「間違えないようにしましょう!」よりも、
「間違えたかもしれないときに、どうしたらいいか?」を一緒に考えるチームです。
✅ ちょっと聞いてみたい方は → [お問い合わせフォーム]
✅ 実務担当向けの「電子インボイス処理マニュアル」も無料で配布中! → [ダウンロードはこちら]
この記事が、少しでも皆さんの安心と自信につながれば嬉しいです。
それではまた、マナラボの菅野でした!
あなたの経理が、もっとスムーズになりますように🌿