こんにちは!マナラボの菅野です。
ベトナムでビジネスをしている日系企業の皆さん、「就業規則の登録」って、もう済ませましたか?
実はこれ、忘れていると“違法扱い”になる可能性がある大事なステップ。
しかも、登録しないと最大2000万VND(約12万円)の罰金が科されることも!
この記事では、
- 登録が必要な条件
- 登録の手続き
- 登録しなかった場合の罰則
を、やさしく、実務的に解説していきます!
この記事のもくじ
就業規則とは?なぜ登録が必要なの?
就業規則とは、従業員と会社が守るべき**「社内のルールブック」**です。
勤務時間、休暇、懲戒処分、セクハラ防止など、働く上での基準を明文化することで、トラブル防止と組織の統制に役立ちます。
でもそれだけじゃなく、懲戒処分や損害賠償を正当に行うための「法的な土台」にもなるんです。
登録が必要なのはどんな会社?
【根拠:労働法2019年第119条第1項】
「使用者が10人以上の労働者を雇用している場合は、労働規則を、企業が事業登録している省の人民委員会の専門労働機関に登録しなければならない。」
つまり、10人以上の従業員を雇っている企業は、就業規則を作成し、登録することが法律で義務化されています。
10人未満の場合は義務ではありませんが、労働契約内で懲戒・賠償に関する合意が必要になります(政令145/2020/ND-CP第69条)。
登録までのステップと期限
【根拠:労働法第119条第2〜3項】
登録のステップは以下のとおり:
- 就業規則を作成(9つの必須項目を含む必要あり)
- 労働者代表との協議(組合があれば必須)
- 発行から10日以内に登録申請(労働局へ)
- 7営業日以内に労働局が審査
→ 不備があれば修正・再提出の通知が来ます
👉 登録が完了すると、「登録証明書(Giấy xác nhận nội quy lao động)」が交付されます。
具体的に、どんな内容が必要なの?
政令145/2020/ND-CP第69条によると、最低限、以下の9つの項目が含まれていなければなりません:
項目 | 内容例 |
---|---|
① 労働時間・休暇 | 就業・終業時刻、休日、残業規定など |
② 職場の秩序維持 | 服装、勤務態度、職務命令への従属 |
③ 安全・衛生 | 労災対策、保護具、清掃ルール |
④ セクハラ防止 | 予防措置、相談・処分の流れ |
⑤ 機密保持 | 資産、技術情報、IPの保護義務 |
⑥ 一時的な職務変更 | 契約外業務への配転規定 |
⑦ 規律違反と処分 | 違反行為と懲戒方法の一覧 |
⑧ 損害賠償責任 | 物損発生時の補償基準 |
⑨ 処分権限 | 懲戒判断を行う責任者の明示 |
登録していなかった場合の罰則は?
【根拠:政令12/2022/ND-CP 第19条第2項b号】
「法令に従って労働規則を登録しない場合、個人に対し5,000,000~10,000,000VNDの罰金を科す。」
(法人の場合は2倍=最大20,000,000VND(約12万円))【第6条第1項】
しかも、次のようなリスクもあります:
- 懲戒処分が無効と判断される(裁判で敗訴)
- 従業員から損害賠償請求を受ける可能性
- 社会保険監査や労働監査で指摘される
💼 実際にあった失敗例
ある日系企業では、10人以上の社員がいるにもかかわらず就業規則を未登録。
労働者の無断欠勤に対して懲戒処分を行ったところ、「労働規則の登録がない」と労働局に指摘され、懲戒は無効。
結果的に、会社側が補償金と謝罪を余儀なくされました。
今すぐやるべき3つのアクション!
- 従業員数を確認(10人以上なら要登録)
- 既存の就業規則の内容を再確認(9項目入り?)
- 発行から10日以内に登録申請(未登録なら急いで!)
無料配布:登録チェックリスト
「登録できているか不安…」という方のために、無料のチェックリストをご用意しました。参考まで!
- 会社の従業員数は10人以上ですか?
- 労働規則を文書で作成していますか?
- 内容に以下の9つの要素が含まれていますか?
・労働時間・休暇
・職場の秩序
・安全衛生
・セクハラ防止
・資産・秘密保護
・業務転換規定
・懲戒処分
・損害賠償
・処分権限者 - 労働者代表(労働組合等)との協議を実施しましたか?
- 発行から10日以内に労働局に登録申請しましたか?
- 労働局から登録証明書を受け取りましたか?
- 全従業員に就業規則の内容を周知しましたか?
ご相談もお気軽に!
マナボックスでは、日系企業向けの就業規則作成・翻訳・登録サポートをワンストップで行っています。
法務・労務の両面からサポートしますので、コンプライアンス体制を整えたい方はぜひご相談を!
以上、マナラボの菅野でした!
「労務管理、形だけで済ませない。」――それが未来のトラブルを防ぐ第一歩です。
📎 引用条文まとめ
- 労働法(2019年)第119条
- 政令145/2020/ND-CP 第69条
- 政令12/2022/ND-CP 第19条、第6条