こんにちはマナラボの菅野(すげの)です。

たとえば、ベトナムの製造業企業がERPシステム(例えばSAP)を導入すると、製品の標準原価実際原価の差額、いわゆる原価差異が会計上明示されるようになります。

標準原価差異とは、製品1単位あたりに設定した標準的な原材料消費量・製造コストと、実際に生産に要したコストとの乖離額のことです。この原価差異が大きい場合、税務上その超過部分が損金(法人税計算上の必要経費)として認められないリスクがあるかどうかが問題となります。本報告では、ベトナム税務当局の公式見解や関連法令の変遷に基づき、標準原価と実際原価の差額に係る法人税上の取扱いについて、特に年代ごとの変更点に着目しつつ整理します。

標準原価差異と税務上の論点

標準原価差異が生じる背景として、ベトナム企業では従来、製造原価の算定にあたり**「原材料等の消耗に関する定額(定められた標準消費量)」を設定し、それに基づいて原価計算を行ってきた歴史があります

税務上は、この定額(定率)を超える部分の原材料費が「過大な消費」と見なされ、損金不算入(税務上の必要経費に算入不可)とされるリスクが指摘されてきました。

ERP導入により原価差異が明示化されることで、税務調査時にこの「定額超過分の原価」**が把握されやすくなり、過去には課税当局から指摘を受ける懸念がありました。

以下、ベトナムの法人税法令および税務当局の見解を

  • 2014年以前
  • 2015~2018年
  • 2019年以降

の時期区分ごとに概観し、原価差異の損金算入可否の変遷を徹底的に解説します。

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