こんにちはマナボックスの菅野(すげの)です。
日本とベトナムの関係が、どんどん強く!濃く!なっていきますね。
この記事のもくじ
ついに解禁!福島の梨!ベトナムと日本の関係
最近、嬉しいニュースも飛び込んできます。
福島県やJA福島さくらなどは、東京電力福島第1原発事故の影響で低下した県産農林水産物のブランド力の復活に向け、経済成長が著しいベトナムに県産ナシを輸出する。
日本産ナシのベトナム輸出は初。
第1弾として17日、いわき市産「幸水」400キロを出荷する。
これまで、輸出が出来なかった福島の梨が輸出できるようになりました。
「おー!」
私、福島県出身なのでとても身近に感じました。同時に嬉しくも感じます。
なんといっても、
地元の福島から、今、働かさせて頂いている国のベトナムへの輸出ですから。
今後も、規制緩和は進み、取引に限らず、日本からベトナムへ進出する企業がどんどん増えていくことでしょう。それと同時に、海外、ベトナムでの現地法人設立手続、とても不安じゃありませんか?
なぜなら、法律も違いますし、商慣行、文化が違うからです。
「予期してないサプライズ!」が起きてしまった!
ということも実際によく聞く話です。本日は、ベトナム現地法人設立でよく生じてしまう税務上の論点についてお話しますね。この点に留意して頂ければ嫌なサプライズ!!を防止できます!
実務上、設立に関する費用は日本の親会社が負担する取引が多い。
設立当初は、資本金が実際に入金されるまで時間がかかったりするため、親会社が、子会社の代わりに立て替えることが一般的です。
その費用などの事例として、以下のような項目があります。
✅事務所賃料、事務所の内装費用
✅支払い報酬(コンサルティング会社への支払い)
✅会社設立活動に要した交通費(タクシー運賃)、宿泊代など
✅その他、本来は現地法人が負担すべき費用
問題が生じてしまう?いったいどんな場面で?
税務上、起きてしまう問題として以下の2つがあります。
大きく分類しますと…。
- 1)法人税(CIT)の問題と
- 2)付加価値税(VAT)の問題
の2つです。
それぞれ解説していきますね。
法人税上、損金算入できるか?
親会社が立て替えた費用ですので、いづれ、ベトナム現地法人の費用にする必要がありますよね。
しかし、法人税法上、どんな費用でも、損金算入できるわけではありません。
ちなみに損金算入できない場合になぜ、痛いのか?というのは以下で記載しています。
損金算入のための、条件があります。
1)事業活動に関して実際に発生した費用のこと
2)公式インボイス(ベトナム子会社の会社名、住所、税コードなど法律上必要な項目が明記されているもの))
(取引額が 2,000 万ベトナムドン以上の場合、銀行送金書類も必要です。)
親会社が立て替えた費用という視点で見てみましょう。
1)親会社との費用立て替え合意書が必要になります。
あくまでベトナム現地法人の活動に関連して発生した費用である必要があるからです。
2)ここで実務上、問題が生じてしまいます。
立替費用なので、ベトナム現地法人が、最終的に日本本社へ支払います。
その際、領収書がベトナム現地法人へ発行されると思います。
しかしながら、日本で発行される領収書は通常、ベトナムの公式インボイスに含まれるような情報が十分に含まれていません。
そのため、損金算入できるか?
という点では怪しいですよね。税務調査でも着目されてしまいます。
ではいったい、当該費用を損金算入するためどうすればいいのか?
ベトナム語訳された関連契約書など、その費用が子会社の設立に直接関連する費用であることを、当局に説得できる十分な資料を事前に準備しておく必要があります。
VAT、仕入れ控除できるか?
仕入れ VAT を税額控除するためには以下の 条件を満たす必要があります。
✅購入した物品やサービスの公式インボイスを提出できること
ちなみに、VATの仕入れ控除については以下で記事にしています。
購入した物品やサービスの銀行送金書類を提出できること。
ただし、1 回当たりの購入物品やサービスの総額(VAT 込み)が 2,000 万ベトナムドン未満の場合は銀行送金書類の提出不要です。
子会社設立費用について立替した場合、公式インボイスの宛先が親会社となります。
ベトナム現地法人ではありませんね。
そのため、要件を満たさないことになります。
しかしながら、
親会社の委任状がある場合など、ある一定の条件を満たせば、公式インボイスの宛先が親会社であっても仕入れ税額控除ができます。
そのため、仕入れ VAT の税額控除のために子会社設立後、以前行っていたような公式インボイスの宛先修正手続きは必要ありません。
また、上記②の通り、2,000 万ベトナムドン以上の支払いの場合、以下も必要です。
ベトナム子会社から日本親会社への銀行送金書類。
親会社への返済送金が実務上なかなか困難となっています。
にその理由を記載しています。
銀行送金書類の入手が難しいため、この点も留意する必要がありますね。
☆本日のまとめ☆
・実務上、設立費用は親会社が現地法人に代わって負担することが多い
・その場合、法人税上およびVAT上、留意しなければいけない。
(損金不算入と仕入VAT控除)
現地法人設立においては、残念ながら、数多くの失敗事例が生じています。
とはいうものの、あなたは失敗したくないですよね。設立費用の立替金額が大きな場合、影響額も大きくなってしまいます。
本日、お話したことを頭の片隅に入れておいてくださいね!
そして、普段お願いしている会計事務所にいろいろ相談してみてください。
あなたの会社が、設立費用の立替金によるリスクを正しく理解することにより、大変な本社への説明の時間への消費やストレスを感じることのないように祈っています。