「ベトナムにも内部統制監査制度!?」
つい先日、内部監査についての政令が出されました。No. 05/2019/ND-CPという政令です。
本日は、ベトナムの内部統制監査について説明して行きたいと思います。
- ベトナムでの内部統制が気になる。
- 内部統制監査制度が出来たみたいだけど、だれが対象かわからない。不安。
- ベトナム内部統制の将来について気になる。
この記事のもくじ
内部統制とは?内部統制監査制度って?
ナイブトウセイ、、、。聞いたことあるかもしれませんが、やや、とっつきにくい方もいるかもしれません。
わかりやすく説明すると、「会社のルール」のことです。規定とか決まりですね。
この内部統制については、ある一定の会社は、責任を負います。
つまり、「私の会社は、きちんとした内部統制・ルールが存在します。文書化されてます。そして、みんなそれを守ってます。」
と宣言しなければいけないのです。そして、第3者の監査法人がそれを監査する。という制度です。
日本の内部統制監査制度(通称J-SOX)やアメリカのUS-SOXとは、まったく同じとは言えませんが、同様の趣旨の法令が発表されました。
ベトナムにおける内部統制監査制度の導入
1)どんな会社が導入しなければいけないのか?
この政令No. 05/2019/ND-CPによれば、どんな会社が適用となるのでしょうか?
一番、気になりますよね。結論としては、日系企業には、大きな影響はないと考えます。
対象企業は以下の通りです。
- 上場企業。
- 親子関係の親会社である国営企業。⇒つまり国営企業
- 親会社が国営企業であって50%以上の出資を受ける企業。⇒国営企業の資本がある程度入ってる会社
つまり、ベトナムエアラインとか、国営ベトナム繊維・衣料グループ(ビナテックス)、ですね。国営っぽいイメージあると思います。
また、その他企業(外資企業を含む)は、任意適用が推奨されています。つまり、あなたの会社も内部監査制度を適用することを推奨しています。
実際の原文はこちら↓
Article 10. Internal audit duties of enterprises
Enterprises that have to perform the internal audit shall include the followings:
a) Listed companies;
b) Enterprises with 50% of their charter capital is held by the State, which are parent companies operating in a parent – subsidiary business model;
c) State enterprises which are parent companies operating in a parent – subsidiary business model.
Other enterprises not covered in clause 1 of this Article shall be encouraged to perform the internal audit.
2)いつから?適用なの?
2019年4月1日からです。
3)どんな人が監査するの?
内部監査ですので、基本的には、内部で監査人を任命します。しかし、外部の独立した機関に依頼することも可能です。この場合、この内部監査人がきちんとスキルを持つ必要はあります。(10条3項に記載)
また、内部監査人ですが、以下の要件を満たす必要があるようです。やはり、専門的な能力が必要ですからね。
第11条:内部監査人の適格基準
1.監査要件を満たす専攻で学士号を取得し、割り当てられた内部監査部門に関する十分かつ最新の知識を習得する。
2.関連する業界で少なくとも5年の実務経験、または現在の雇用主のために勤務する3年以上の経験、または監査、会計または検査の分野で少なくとも3年の実務経験があること。
3.監査対象部門の法律および事業運営に関する一般的な知識と理解を習得する。 情報を収集、分析、評価、および統合する能力を有する。 内部監査に関する知識とスキルを持っている。
4.経済的または財政的管理または会計活動から生じるいかなる違反に対しても課される可能性がある警告またはより厳しい形式の規律の対象となっていない、または現在のところ懲戒処分の対象となっていない。
4)どのように監査?
13条から15条にかけて記載されております。
メソッドが一応求められるようですね。いわゆる監査基準です。
これは、リスクアプローチという手法が用いられるようですね。要はリスクが高いところにより人も時間も使おう!っていう手法です。
監査計画書も作成し、関連機関に提出する必要があるようです。
5)誰に報告?いつまで?
Decree 05/2019 / ND-CPの16条に記載されています。
期末日後、60日以内に、監査報告書を関係機関(政府、各省庁、国営サービス機関等)提出する必要があります。
監査報告書には、結論や何か問題があれば問題、欠陥、問題に対しての助言も記載されるようです。
今後の流れは、果たして??
ベトナムは、正直言って不正が多いです。(ベトナムに限らず海外では)特にキックバック(賄賂も含む。)や架空仕入れ、盗難なども多いと思います。
一般の会社に限らず、国営企業においてもこのような不正は発生しているのだと思います。そのため、この法律が制定されたのでしょう。趣旨の一つだと言えます。(賄賂は特に多そうですよね。)
将来的には、この法律が、上場企業や国営企業以外の一般の会社にまで及ぶ可能性が高いと思っております。
つまり、日系企業であるあなたの会社も、法律上、適用しなければいけない可能性があります。
そうした場合、内部統制を整備しなければいけませんね。規定や業務手順書を作成したり、フローチャートを作成したりです。また、内部通報制度ももしかしたら強要されるかもしれません。
今は、まだ法律上、求められませんが、不正が怖い!とかきちんとしたガバナンスをしたい!ルールをきちんと文書化したい!という場合には、今のうちからこの法律を意識してもいいかもしれませんね。
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★本日のまとめ★
- ベトナムでも内部統制監査制度が導入(J-SOXにも類似?)
- 対象は、上場企業と国営関係の企業。その他は、推奨。
- 2019年4月から適用。
- 将来は一般会社にも適用されるかもしれない。
- 内部統制は不正防止のため必須。
本日は、ベトナムにおける内部統制監査制度について説明させて頂きました。あなたの会社が、内部統制をきちんと理解することにより、不正を防止できることを祈っていますね。