最近、池袋に日本のフォー・ティンができました!話題になってますよね。私も先日、日本帰国時に行きましたが、売り切れでしたよ。トホホ。
≪一杯あたり、840円!?≫
「高いね~。高いよ~。勘弁してよー。」
っていう人が、結構います。というのも、本家、ハノイは300円くらいだからです。
でも、本当に高いのでしょうか?東京(池袋)での、業績はどうなの?
経営する上で、数値感覚は非常に重要です。なぜならば、これがないと倒産の可能性が高まるからです。
なんとなくっていう感覚や感情ではいけません。数値化することが必須です!
私は、正直、直観的に「厳しいのかな」って感じました。840円のフォー、、、、。
東京は、飲食のライバルいっぱいいますしね。低価格、高品質!
そこで、できるだけ情報(数値)を集めて、検証(妄想も入ってますよ。)してみたいと思います。
(※あくまで公表されてる情報での推測です。)
この記事のもくじ
フォーティンってなに?
そもそも、フォーティンをしらない人もいるかもしれないので、簡単に説明したいと思います。
フォーティンとは、、、。
ハノイに数あるフォーの専門店の中でも、圧倒的な人気を誇る「フォー・ティン」。つまり、フォーで有名なお店のことですね。ティンとは人の名前です。ティンさんが創業者のようです。
グーグルで、フォーティン ハノイと検索してみてください。
はい。では、実際に金額を“想像”して行きましょう!
まず、売上金額と粗利(付加価値)を予想してみる。
売上=単価×数量という構成要素です。シンプルですよね。そして、飲食の場合はもう少し分解を細かくできます。
それは、売上= 席数 × 回転数 × 客単価です。
回転数とは、1日にお店の席を何人の方が使ってくれたか?という考え方です。
仮に100席ある飲食店であれば、1日に来店されたお客様数が400名の場合には4回転した!ということになります。
1席あたり4名のお客様を回転させたということですね。
ハノイのフォー・ティンの売上と粗利を予想してみる。
ハノイは、1日あたり2,000人程度(2,500人を超える場合もある!)と言われてます。
これは、すごいですね!回転率もかなり高いのだと思います。
お店の写真を見てみると、40人くらい座れそうです。また、別館もあるようなので、合計で80席くらいかと思います。(想像かなり入ってますよ。)
仮に80席だとすると、回転数は、いったいどれくらいになるでしょうか?
2,000人÷80=25回転です。 1つの席に対して1日に25人のお客様がくるってことですね。すごいな。
営業時間は、5時30から21時30分の16時間営業です。
そうしますと、常にフルで席が埋まっているという前提で、おおよそ30分強で、一人あたりの食事が終わるというイメージですね。こう考えると、感覚的に不自然さはありません。(1日中、フル稼働ということではないので、混雑時は、10~15分くらいで回転するはずですしね。)
次に客単価です。
フォー・ティンのメニューは以下の通りです。
- フォー 60,000ドン
- 揚げパン(クアイ) 5,000ドン
- 生卵(チュンガー) 5,000ドン
ここはシンプルにするために、客単価は、60,000ドン(300円)という前提にしましょう。
そうすると、1日の売上は、300円×2,000個=600,000円となりますね。
月の売上は、定休日はなし。という前提で稼働日を30日とすると、60万円×30=1,800万円と推定できます。
また、仕入れ(食材費)ですが、飲食業界では、一般的に30%程度といわれています。今回はこれを使いますね。
1800万円×30%が食材費です。540万円が食材費となり、粗利は、1,260万円となります。
池袋のフォーティンの売上と粗利をイメージしてみる。
一方、池袋フォーティンはどうでしょうか?想像してみましょう。
席数は、おおよそ20席のようです。現状のオープンは、11時から14時までの3時間(180分)です。
昼食の時間を、1人あたり平均30分~40分程度と仮定します。そうしますと、5回転程度と推測ができますね。3時間の間、1つの席に5人くるという仮定です。(ほぼフル稼働という前提です。)
次に販売単価です。メニューは以下の通りです。
メニュー】
- 牛肉のフォー:840円
- 牛肉のフォー パクチーなし:840円
- 牛肉のフォー(大盛り):940円
- 牛肉のフォー(大盛り) パクチーなし:940円
- kidsフォー パクチーなし:450円
- パクチー:150円
- 生たまご:60円
ざっくり客単価は900円と仮定しましょう。(ドリンクなどの販売があれば、また違ってくるのですが。一般的に飲み物は利益率が高い。)
席数 × 回転数 × 客単価のすべての情報がそろいましたね。
20席×5回転×900円=90,000円 →1日当たり100杯の売上。
おおよその1日の売上は、90,000円と推測します。定休日はなしとなっていたので、月の稼働日を30日とします。
そうしますと月の売上は、90,000円×30=2,700,000円程度と推測できますね。(開店当初は、140杯のスープを用意して、すべて売り切れているという情報もあるので、もっと売れてるかもしれません。)
まとめて、比較すると以下の通りになります。
ハノイの回転数が半端ないです!いつもにぎやかですし、混んでますもんね。
場所 | 客単価 | 席数 | 回転数 | 1日当たりの売上(円) | 月当たりの売上(30日)(円) |
ハノイ | 300 | 80 | 25 | 600,000 | 18,000,000 |
池袋 | 900 | 20 | 5 | 90,000 | 2,700,000 |
次に、費用の項目を洗い出します。
フォー・ティン(飲食店)では、どのような費用が、発生するのでしょうか?イメージしてみましょう。
ざくっとですが、以下の通りかと思います。
・食材費⇒フォーやパクチーなどの食材費がかかります。
・賃料⇒場所が必要になりますよね。
・人件費⇒調理人やお店のスタッフの助けが必要です。
・電気代やガス代⇒調理にも必要ですし、お店にも必要ですよね。
・その他費用⇒その他、フライパン、箸、コップなどの消耗品もかかります。また、集客のための費用もかかりますよね。いわゆるマーケティング費用です。
各費用を予想してみる。≪賃料≫
ハノイのフォー・ティン ≪賃料≫
こちらティンさんの実家が場所となっているようです。したがって、いわゆるテナント料はかからないと推測します。(土地利用権などの取得費用は、今回は無視します。)
しかし、調べてみると、場所を拡張した部分があるようです。その部分については、賃料を払っているはずです。
スタッフ情報によると、約100㎡を拡張。そして、あのあたりの㎡あたり単価は30USDから45USDのようです。
ここは5,000円/㎡と仮定しましょう。そのため、1か月の賃料は50万円と推測できます。
池袋のフォー・ティン ≪賃料≫
池袋のフォーティンは、東池袋1-12-14ハヤカワビルB1F にあります。
東池袋の1坪あたりの平均賃料単価は、調べてみると15,000円から20,000円のようです。
あいだをとって、17,000円と仮定します。
広さは、25坪くらいだと仮定します。(もうちょっと狭いかもですが)
そうしますと、1か月あたりの賃料は、17,000円*25=425,000円くらいが月の賃料ではないかと推測できます。
各費用を予想してみる。≪人件費≫
次に人件費について考えてみます。
ハノイのフォー・ティン ≪人件費≫
弊社スタッフや友人の情報によると、10人から20人が働いているのでは?ということでした。なので、保守的に考えて20人と仮定しましょう。(もうちょっと少ない気がしますけどね。)
次に単価ですが、ベトナム人のレストランなどで働く人達の時給は100円程度です。
そして、営業時間は、5:30〜21:30 のようです。そうすると稼働時間は16時間程度ですね。定休日はなさそうなので、稼働日を30日とします。
一人当たりの1か月の人件費は、100円×16時間*30日=48,000円 この程度だと推測できます。
そして20人なので、48,000円×20人=96万円
この金額が、月の人件費と推測できます。
(調理人や創業者であるティンさんの給与はもっと高いかもですが、無視してます。また、ティンさんは10人ほどの兄弟がおり、従業員のほとんどが兄弟や親戚で構成されるようです。したがって、実際の給与はもっと高くできる(調整)はずかと思います。)
池袋のフォー・ティン ≪人件費≫
こちらも同様の考え方で推測できますよ。
人数ですが、多く見積もっても5名程度でしょう。(写真で推測。)
次に単価です。東京の場合、時給は1,000円以上だと考えられます。社会保険料等なども考えて会社コストは、1,200円/時間と推定します。
次に時間ですが、11時から14時までの3時間が営業時間です。準備等を考えて5時間と推定します。
そうしますと、1,200円(時間あたり)×5時間*30日(稼働日)=180,000円
18万円が人件費です。
(こちらも出資者、社長の人件費は無視しました。)
表にまとめると以下の通りです。
場所 | 時給 | 時間 | 1日あたりの金額(円) | 稼働日(定休日なし) | 月当たりの金額(円) 一人当たり |
ハノイ | 100 | 16 | 1,600 | 30 | 48,000 |
東京 | 1,200 | 5 | 6,000 | 30 | 180,000 |
各費用を予想してみる。≪水道光熱費やその他≫
飲食店の水道光熱費ですが、売上高の7%程度が適切であると言われているようです。
ハノイのフォー・ティン
上記の前提に従うと、水道高熱費は、126万円程度です。(1,800万円×7%)(おそらく実際には、そんなにかかっていないと思います。電気代の単価も日本の3分の1くらいです。感覚的にいっても、40万円くらいかな~。そんなにいってないかもしれません。)
でも、まあ、保守的に考えて126万円を使いますね。
その他の費用は、ざっと30万円としましょう。(今は口コミと実績で集客できてますからね。)
東京のフォー・ティン
同じように、上記の前提に従うと、水道高熱費は、19万円程度です。(270万円×7%)
その他の費用は、ざっと50万円としましょう。(適当!です。)(設立したばかりでマーケティング費用もかかるし、機械の減価償却費もあるでしょう。借入金の利息もあるかもですし。)(また、ハノイ本店へのロイヤリティもあるかもしれません。)
本日のまとめ PLを比較してみる。
以上のように仮説を立てるPLに必要な情報は集めました。
損益計算書を作成し、比較してみましょう!(あくまで妄想ですよ。)
こうして比較すると、違いが一目瞭然ですよね。
・売上が、7倍くらい違う。ハノイの単価は低いが、数量が半端なく多い。回転数がすごい。というのがわかります。
・東京の方は、どうしても人件費及び賃料の水準が高くなっている。
・ハノイのボリュームがすごいことから、利益率が物凄いことになっている。(従業員が親戚なので、給与額で調整してるかしれません。)ハノイは年間で1億円??? 池袋店は今は赤字の可能性があります。
・一人当たりの付加価値もベトナムの方が約2倍。
池袋は、現在11時から14時までですが、営業時間を延ばすなどすれば金額も変わっていくと思います。メニューも、変わっていけば影響あると思います。
個人的には、池袋のフォーティン、めちゃくちゃ応援してます!
「840円??えー高いよー。やめてー。」
冒頭での会話の内容です。
どうでしょう?
こうやって数値化すると、意見が変わってくるのではないでしょうか?
840円は決して高いとは言えないのです。
会社経営も同じです。
・数値を考えないで、感覚、なんとなく、経営してる。
のと、
・数値を使って、経営する。数字で考える。
とでは雲泥の差ですよね。ソフトバンクの孫社長も、「何事も数値で考える」を徹底しています。
ベトナムで会社を経営されている方、数値・会計を使って経営することで、なにか、今まで気が付かなかった点を発見できるかもしれません。
会計がわかれば、利益は大きく変わるのです。是非、“数値化”して考えてみてくださいね。
マナボックスベトナムでは、社長様向けの経営管理コンサルティング(管理会計支援)についても実施しています。
- 今更、会計とか、管理会計とか、一から聞けない。でも体系的に学びたい。
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