最近、吉本興業の記者会見で話題がすごいですよね。

ベトナムにいる私でさえ、よく目にしますし、耳にします。

普段私は、ベトナムにて経営管理の支援をさせて頂いております。

そこで、今回、吉本興業の件と、海外子会社管理(特にベトナム)という点で比較して検討してみたいと思います。

その1 悪いことはすぐばれる。うそがつけない世界

吉本興業の場合

今回の特徴的な部分としては、吉本興業のマネージメント側の不味さがすぐ公になった点だと言えます。

宮迫氏と亮氏は、記者会見(謝罪会見)を開きました。

それまでは、反社会勢力との接触により、世間から厳しい風当たり。

しかし、吉本興業の社長の記者会見後は、

立場逆転……?

世間は、むしろ宮迫氏や亮氏を擁護する論調になりました。

そして、ついには社長の岡本氏が謝罪するよるまでに。

ベトナムの場合

つい最近の話です。ベトナムのハノイのスタバで日本人経営者の方が、ベトナム人のことを見下すような発言をして、大炎上。

おそらく、その方がハノイでビジネスを順調に進めることはほぼ不可能になったと推測します。

ハノイの皆さんはご存知ですよね。

2つのことから言えるのは、

「本当に悪い事」はすぐにばれてしまう。

ということです。これは非常に特徴的です。

これは、SNSが著しく発展したことに起因します。

 

例えば、今、時の人となっている西野氏はこんな事をいっています。

「好感度」と「信用」…これは”似て非なるもの”です。「好感度」は、テレビタレントが、スポンサーからお金をもらうために、嘘も、時にはついてまでも、を得ようとします。

しかし、現代ではそれが通用しなくなってきていると言えます。例えば、クラウドファンディングにおいて好感度の高い芸能人が失敗している点も、その証拠だと言えます。

つまり、「信用」が重要なのです。これは、共通点です。

 

その2 部下の反応

吉本芸人のその後の反応

今回の岡本社長の会見の結果を受けて、吉本に所属する多くの芸人たちはSNS上で、つぶやきました。

会見や経営陣に対して失望感をつぶやきだしたのです。

例えば…。

Non style 石田さん

【地獄スゴロク】

全員傷まみれ&信頼関係ぐちゃぐちゃ&タイムロス&恥部大放出でふりだしに戻る

大マイナスやん・・・

 

キートンさん

ギャラ
5:5だったのか

てことは、私が海外に約1週間行ったあの仕事は、吉本は2万円で引き受けたのか!
優良企業。

 

研ナオコさん

何だこの記者会見! 質問に対して答えになっていない。 社長だったら 自分では無く 全力で!タレントを守れや!!

 

1とも、関連しているいのですが、もみ消されるというようなことがなくなってきました。これはより公平な社会とも言えますよね。

このように発言しても、会社や世の中に潰されるのではなく、世間が見方につくことを知っているからかもしれません。

ベトナムの場合は?

一方で、ベトナムはどうでしょうか?

こちらも基本的には、同じだと思います。

FBやスカイプ、ZALO、彼らは基本的にSNSを常に使っています。

「給与水準の不満」

「不遇な待遇」

「上司への不満」

「疑念」

SNSで公開しないにしても、情報はすぐにみんなに流れていってしまいます。

このことから言えるのも1と似ているのですが、やはり、嘘はつかず、誠実に、時にはFACE to FACEの人間っぽい泥くさいコミュニケーションが重要になっていると思います。

 

その3 パワハラの考え方 

吉本興業の場合のパワハラ真相

パワハラについても話題になりました。7月20日の宮迫氏・田村氏の記者会見にて、岡本社長による芸人へのパワハラとも取れる発言が明らかになりました。

「お前らテープ回してないだろうな。もし会見をしたいなら、亮、お前辞めて1人でやればいい。もしやったら、連帯責任で全員クビにするからな。それでもいいなら記者会見をやれ。俺にはお前ら全員クビにする力がある」

本人は、パワハラのつもりがなかったようです。

しかし、どう考えても、パワハラですね。よく“パワハラ”と“指導”との比較がされていますが、そちらはいろんなところで情報提供されているので検索するといいかと思います。

これを受けて、加藤浩次氏はこんなことを発言しました。

 
「僕は岡本さんをよく知ってますけど、そういうこと(パワハラ)をする人です。若い人にしているのを見たこともあります。社員に対して恫喝する人ということも知っています。でも、ピンチでは助けてくれる人だろうと思ってたけど、そうじゃないんだと。
 
吉本の若手芸人は、大﨑洋会長と岡本社長を怖がっている状況がずっと続いてきた。何か意見を言ったら怒られるんじゃないかと思っている。これからもそれが続くと思うと、僕は続けられない。会長、社長の体制が続くなら、僕は吉本興業を辞めます」

最近の日本でのパワハラは、過剰とも個人的には感じますが、やはりパワハラはよくない事です。

ベトナムの場合、パワハラ

 

パワハラが、受け入れられていないのは、日本もベトナムも同じです。

海外、ハノイでよくあるのは、①態度と②言語の問題よるパワハラ(誤解)です。

まず、日本人のベトナム人への態度ですが、どうしてもまだ先進国ではない、ベトナムなどを下に見てしまう場合があるかもしれません。どうしても態度に出てしまうのでしょう。

特に大企業の人はそういう傾向があります。

これって、見下された場合、尊敬がない態度、それをされた相手は必ずわかります。感じちゃうんですよね。

私の経験上、インドでもハノイでも、そういった現地の声は常に聞いてました。

日本人だって、アメリカ人などの欧米人に、「こいつ馬鹿ににしてんな。」ってすぐ気がつくじゃないですか?

それと同じです。

それに加えて、言葉による誤解もあるかと思います。

当然異国人同士ですから、こちら側が意図していない風に相手がとらえる場合もたくさんあります。

また、ベトナム人特有かもしれませんが、「気にかける」ということをしないのもパワハラにあたるかもしれません(笑)

私の友人の話ですが、退職届をもらったマネジャーに理由を尋ねると、

「あなた、私を見てくれていなかったじゃない。」と、言われたそうです。

彼女か!と思いますけどね。

一方で、日本との違いとして、程度の問題はあります。間違っている事や思っている事をはっきり面と向かって伝える。これをやっても海外の場合は、パワハラと認識されることはとても少ないと思います。

例えが、パフォーマンスが悪い、成果が悪いなんてことがあれば、私の場合はっきり言います。

それでも、特に関係が悪くなることはないですね。

「それ、日本だったら、終わりだよ。」って周りからは言われますが……。

 

その4 契約書、書面による重要さ

吉本興業は契約書がないの?

今回話題になった闇営業は、事務所が与り知らぬところで行われている、いわば副業といえます。

しかし、厳密に法律的に言えば、吉本の芸人らは事務所と雇用関係を結んではいませんでした。したがって、副業という論点が生まれないのが法律的な観点です。

吉本興業側の方が立場的に圧倒的に強かったために芸人さんたちも何も言えなかったのかもしれません。

つまり、契約書が未締結だったのです。

これ受けてか、7月24日、公正取引委員会から指摘がされました。コンプライアンス違反というのはビジネスリスクなのです。

以下は日経新聞の引用です。

公正取引委員会の山田昭典事務総長は24日の定例記者会見で、吉本興業が所属タレントと書面で契約書を交わしていないことに関連して「契約書面がないことは競争政策で問題になりうる」との見解を示した。

公取委の有識者会議は2018年2月、タレントなど個人事業主を保護するため、人材分野に独占禁止法を適用するための報告書をまとめていた。報告書では、書面がなく契約内容が不明確だと、独禁法で禁じる「優越的な地位の乱用」を誘発する恐れがあると指摘していた。

このように、書面を交わしていない(法律に準拠してない)というのは、会社の信用を落とす、罰金のリスクがあるという意味でとても大きなリスクだと言えます。

ベトナムの場合の書面はさらに重要?

当然、重要ですよね。

ただ、いくつかの観点に分類できます。

1)労務関係

2)税務関係(例:売上の契約書や損金生)

それぞれ簡単に説明していきます。

まず、労務関係ですが、特に不正という観点から重要になっています。就業規則、労働契約書の内容を吟味することにより、不正の防止、抑制に役立ちます。

例えば、ベトナムの場合、キックバックによる不正が典型的なのですが、その手口として、親戚の会社を購買先とするという方法がとられます。

その時に、親戚関係についての取引の場合は事前に報告するという決まりがあれば、牽制が期待できます。

次に、税務という観点からは、「書面」(契約書やレッドインボイス)がめちゃくちゃ大事です。

この書類に、不備があれば、追徴課税される可能性が非常に高いです。

時に数千万を超える場合もあるんですよ…。

ちなみに、副業は、ベトナムでは当然の権利として、従業員に与えられています。禁止できません。

 

本日は、いま話題となっている吉本興業の記者会見と海外子会社管理の比較という観点からお話しさせて頂きました。

ベトナムで経営している社長様の悩みとも通じるところがあると思います。

特にマネジメントと法律という観点は、重要ですよね。

あなたが、ベトナムでの経営管理がうまくいくことを祈っていますね。