1985年8月10日「マイケル・ジャクソンがレノン=マッカートニー楽曲の著作権を買収!」
あなたは、ビートルズというあまりにも有名なバンドをご存知だと思います。マイケルジャクソンも知ってますよね。
このニュースは、当時、世間に衝撃を与えました。ビートルズのメンバーではない、しかも、いわば弟分である、マイケルジャクソンが、ビートルズの楽曲の著作件を購入したのです。
このブログでは、マイケルジャクソンとオノヨーコの買収劇という実話をもとに、ファイナンス理論及びお金の知識の重要さについてお伝えしていきます。
きっとあなたの意思決定力に影響があるはずです。
ファイナンス理論の基礎については以下の書籍がオススメです。
今回は、実際のストーリーからお伝えさせて頂くため、より、楽しく、身近に感じることができます。腑に落ちる内容となっていますよ。
繰り返しお伝えしますが、ファイナンス理論は、環境変化の激しいこの現状の中、非常に重要となっています。
このスキル・知識が欠如していると、将来、必ず痛い目にあいます。倒産してしまうリスクも高まります。将来、食べていけなくなる可能性だって高まってしまいます。
と、ちょっと厳しめにいろいろ言ってしまいました。ごめんなさない。ただ、このレポートで学んでいけば問題ありません!
まずは、これまでのビートルズの歴史をお金という観点でおさらいしましょう。とても興味深いですよ。
会計を面白くというコンセプトの書籍「会計の世界史」にも、詳しく書かれています。
この記事のもくじ
若さが故の悲劇……。著作権って作った人が持つんじゃないの??
ビートルズは、1964年当時、アメリカで最も有名な番組の出演をきっかけに、華々しいデビューを果たしました。これをきっかけに売上が急増しました。お金がたくさん動きました。
ちょうどそのデビューの1年前……。ポールたちは、一生後悔してしきれない、行為をしてしまいます。
それは、版権管理会社「ノーザン・ソングス」を設立した際に、
・「楽曲の権利を会社に譲渡する。」という信じられない契約内容の契約書にサインしたこと。 ・株式のうち、ポールとジョンの持ち分はそれぞれ20%のみだったこと。
この2点の大きな過ちをおかしてしまいました。このときジョンは23歳、ポールはまだ21歳という若者でした。
まだまだ、お金やビジネスの知識はなかったとはいえ、とんでもない意思決定をしてしまったのです。恐ろしい……。自分が作った曲が自分の物でないというなんという理不尽なこと!
これが、長年にわたり、彼らの頭を悩ます結果となってしまいました。
「ノーザン・ソングス」は1965年に株式公開されます。そのため、誰でも株を買うチャンスが生まれました。もっというと、楽曲の権利をも手に入れる機会をもったわけです。なぜなら、「ノーザン・ソングス」は、前述の通り、楽曲のすべての権利を持つからです。
自分の曲を買い戻すチャンスが来た!その金額はなんと90億円!この価値があるのか?
ジョン・レノンが凶弾に倒れた1年後の1981年、ついにポールは、2,000万ポンド(約90億円)で買い戻すチャンスを得ることになりました。そして、ポールは、ジョンの相続人であるオノ・ヨーコに共同購入を相談します。
しかし、彼女の返事は「No!」。理由は、金額が「高すぎる!」から。500ポンドに値切って!と主張し、交渉を始めました。
そうこうするうちに!に冒頭でも申し上げた、マイケルジャクソンが、約130億円で、権利を購入しました。
当初のチャンスの90億円よりも大分高い金額ですよね!
マイケルジャクソンは理解していた!?ファイナンス理論?
それぞれの言い分を想像してみましょう。
ヨーコの考え:
「もともと自分たちが作った曲なのに。なんで、そんな多額の金額を払わなければいけないの?おかしいでしょ。」
マイケルの考え:
「ビートルズの曲が、将来どんだけのお金をもたらすか想像できるかい?それを考えれば、130億はめちゃ安いよ。ポーッ!」
両者の決定的な考え方の違いにお気づきでしょうか?
それは……。
「将来、生み出すお金」
に着目しているか?どうかです。
これは、ファイナンス理論そのものとも言えますよね。
企業価値、将来のキャッシュフローを重視している点でまさにファイナンス理論です。
一方、ヨーコは、費用・コストを重視してしまう、いわゆる、PL脳に陥ってしまっていたのです。
もちろん、感情的には、ヨーコの意見も理解できます。だって、自分達が作った曲ですから。『なんでや!ってなる気持ち、感情ですよね。』
しかし、その結果、ポールとヨーコは、得られたはずであろう莫大な利益を逃す結果となってしまいました……。
これは、後悔してもしきれない、とても大きな意思決定の誤りです。
もう少し会計的な視点でいうと……。
- コストを重要視するか?リターンを重要視するか?
- 取得原価か?時価会計か?
ということです。ファイナイス理論では、もちろん、リターン・時価会計を重視することになりますよね。
この点ですが、「会計の限界」といわれる問題点にも直面してしまいます。
会社の価値とはいったいなんでしょう?
現代のような情報化社会、インターネットが発展した社会になると、
財務諸表に数値として現れない情報が
将来のキャッシュを生み出す資産となってきています。
もう一度言いますよ。
財務諸表に数値として現れない情報です。
例えば………。
・ユーザー情報、顧客情報やそこから得られた行動データ(データ)
(例:You tuberは、お金を失うことは怖くなくてもチャンネル登録者を失うのは怖い。)
・企業で働く人材の才能、優秀な人(人)
(例:優秀な頭脳が生み出す革新的なサービス。機関投資家は、企業の従業員の満足度調査を投資判断に利用しているケースもあるようです。)
・会社の信用度(人)
(例:クラウドファンディングの資金調達力、社会性)
これらは、財務諸表上に表現されないですよね。ビートルズの曲の将来価値も、財務諸表のBSには、数値として表現はされていなかったはずです。
しかし、将来の意思決定という点では、この価値を評価することがとても重要です。
ケチな人は、長期的に見て絶対、損をする。
ベトナムでは、ケチな人、すごく短期的な視点な人が多く感じます。そんな風に感じたりしませんか?
もちろん、みんながそうじゃないですよ。
会計的な視点でいうと、完全にPL脳になっていると言えます。なにを隠そう弊社の総務スタッフもそうです。
繰り返しになりますが、長期的な視点……これがファイナンス理論の重要な要素です。将来のリターンがめちゃ大事です。
具体的な話をしますね。例えば……。
イケてない意思決定 | 長期的に見ると……。(ファイナンス脳?) |
とにかく安い設備を購入 |
|
税務リスク評価を怠っていた。コンサルを使ってなかった。 | 多額な罰金、交渉 |
生産システム、会計システムをエクセルのままで運用 | 正しい経営意識決定ができない。 ムダに気が付かない。 |
人材教育にお金を使わない。 | 人が育たず、結局時間の浪費 |
安い、汚いアパート | ストレスで仕事に影響、生産性が落ちる。 |
信頼している人(紹介者)を裏切って、直接サプライヤーと交渉して価格を安く。 | 信頼性を失い、ビジネスの発展という将来のチャンスを失う。 |
内装費をけちる。センスのないオフィス。 | 優秀な人材の確保のチャンスを逃す。 |
などですね。
会社は、いったいだれのものか?あなたがベトナムで失敗しないための必要な知識
もう一つお伝えしたいのが、会社の持ち分の重要さです。資本の論理という意味では誰が法的に持ち分を持っているか?ということが非常に重要になります。
特にベトナムなどの海外では、「名義貸し」という手法で会社を設立されるケースもよくあります。すなわち、法律上だけ、ベトナム人に会社の持ち分(株式というイメージ)を持ってもらう方法です。信頼できる人や奥さんの件が多いですね。
外資系だとなにかと規制が面倒ですし、ローカル会社することによって機動性という意味でメリットもたくさんあります。しかし、メリットだけではありません。大きなリスクも抱えています。
先のビートルズの件を思い返してみましょう。
「ポールとジョンはそれぞれ、会社の20%を保有。」
でしたよね。これが、もし、ポールとジョンとで100%であれば、そもそも著作権の問題も生じていませんでした。なぜならば、会社の所有者だからです。もし、あなたが、ベトナムでの会社の持ち分を持っていない場合、法律的・資本の理論上は、あなたは何者でもありません。従業員と同様です。出資者から何を言われても文句を言えません。
極端な事を言うと、
「明日から、ほかの人と事業します。もうあなたはいりません。来なくていいですよ。」
「配当は私が全部もらいます。」
と言われてもなんにも言えないんですね。たとえ、これがあなたの奥さんであったとしてもです。
そういった意味でめちゃくちゃ重要です。
もちろん、なにより信頼関係が一番重要ですから、うまく行くケースもたくさんありますよ。
お金2.0、ファイナンス理論の時代に!
本日は、マイケルジャクソンの事例をもとにファイナンス理論及び資本の論理について解説させて頂きました。ちょっと高度だったかもしれませんね。
ただ、あなたの会社が倒産をせずに企業価値を最大化させるには、ファイナンス理論の考え方がいかに重要か?ということが過去の実例を踏まえて、理解できたと思います。
「将来のお金を生み出す“資産”なのか?そこに投資しているか?」
という視点になるだけで正しい意思決定が必ずできるはずです。
実は、これは、会社だけでなく、あなた個人にも当てはまることなんです。
なぜならば、
「人生100年時代」
とも言われており、終身雇用のような時代は終焉を迎えているからです。
特に今の20代から40代の人が今の会社にずっといる可能性は限りなく低いと思っていたほうが絶対いいです。
ずっと言われてきていますが、最近になり、より実感するのではないでしょうか?また、将来の年金に依存することも現実的でないからですよね。
ぜひ、これを意識してみてくださいね!かならず、いい事がありますよ。