こんにちは、公認会計士の菅野tomoyokenomadです。
繰越欠損金についてご存知ですか?どのようなイメージがあるでしょう?
- 過去の損失の積み上げ
- 業績が悪い?
- 貸借対照表の右下がマイナス
- 解消してプラスするまでが気が重い
- 欠損金があるから、否認されても問題ないと思っている。
もしかしたら、このようなネガティブなイメージがあるかもしれません。確かにこのようなイメージや理解は正しい部分もあります。
しかしながら、繰越欠損金というのは、ポジティブな部分もあるんです。本日はこの点について解説していきますね。
動画も撮影しました。
繰越欠損金は、キャッシュアウトフローを減らすパワーを持っている!
繰越欠損金とは、翌年度以降に繰り越すことができる赤字の金額のことです。
そして、その繰り越した欠損金は、一定期間のうちに生じた利益と相殺することができます。
この文言を見て、なにか感じませんでしたか?勘の言い方はお気づきかもしれませんね。
もう一度言いますね。
「一定期間のうちに生じた利益と相殺することができる」
です。そう!相殺できるのです。将来の利益を減らすことができます。そうするとどうでしょう?
悲しい?
そうかもしれません。でも、ここので利益は、税務上の利益のことです。会計上の利益ではないのでその辺はきちんと整理する必要があります。
>>3つの”会計”の意味と社長様が最も留意すべき会計とは? 財務会計・税務会計・管理会計
税務上の利益が減らせることができる。ということは、どういうことでしょう?
これは、法人税を減らせるということです。つまり、将来支払うべき税金を節税することが可能とします。
言い換えるとすると、
欠損金は、クーポン券だ!
このようにイメージするとわかりやすいと思います。クーポン券とは、割引券のことですよね。つまり、欠損金は、将来利益が出るということを前提とすれば、法人税を割り引くことが可能なのです。
将来のキャッシュアウトを減らすという意味で、「資産」と同様です。
具体例と図解で理解を深しょう。
税務調査で、「赤字だから損金否認されてもいい」は間違い!
海外の企業や設立間もない会社は、当然のように赤字の会社ばかりです。そのような会社に税務調査が入った場合に、損金算入が否認されることがあります。
この場合、どのような印象がありますか?
「赤字だし、そもそも税金が発生しないんだし、いいよ」
と思われるかもしれません。
でも、それは誤りです。なぜならば、欠損金はクーポン券という側面があるからです。
赤字の時に、損金算入が否認されるということはクーポン券を失うと同じ意味です。以下のような感じですね。
この点を強く意識することをオススメします。ただ、欠損金には期限切れという論点もあり、ずっとクーポン券が有効なわけではありませんのでその点は留意です。
本日のまとめ
欠損金は将来のキャッシュアウトフローを減らすパワーあり。クーポン券のようなもの。
なので、赤字の時の税務調査で否認されることは痛い。すぐにキャッシュアウトしないからといって影響がないわけではない。
是非意識を強めてくださいね。
あなたが、税務のことを正しく理解してきちんと判断をされることを祈っています。
それではまた!