こんにちは、公認会計士のすげのです。

最近、以下のような不正のニュースをよく見かけます。私の職業柄、どうしても目にとまってしまうのです。これが、幸せなのか?わかりませんが、解説したいと思いました。内容をわかりやすく理解できますし、発見方法などについても理解できますよ。ちょっと妄想も入っていますけど。ただ、根本的には正しいはずです。

博報堂DYMから制作費3千万円を詐取容疑 元社員逮捕

5900万円脱税疑い告発 コンサル代表、名古屋国税

こんなタイトルのニュース記事ですね。

本日は、この不正のスキームについて解説します。どんな観点に着目するのか?不正の動機とは?どうやって防止するのか?を解説して行きたいと思います。具体的には、以下の観点で解説していきたいと思います。

  • 各事例のスキームの理解する
  • 抽象化して共通点を見つけ、税金に関する影響を考える(なぜ、起こったのか?も妄想します)
  • 不正を防止する方法を考える
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博報堂DYMの架空発注とLSI社が作成した架空の請求書を利用して脱税のスキーム

まずは、スキームの理解です。それぞれ図解も加えて理解していきましょう。とにかくスキーム関連は、図解です。

博報堂の架空発注のスキーム

以下はニュースを一部引用しました。

博報堂DYグループの広告代理業、博報堂DYメディアパートナーズ(MP、東京・港)の当時の社員らがテレビCM制作業務を架空発注

テレビCMの制作業務の一部を架空発注し、発注元の自社から現金をだまし取った。

逮捕容疑は共謀して18年11月、大林、野田両容疑者が勤務していた広告会社2社に、CM制作を発注したとする架空の請求書を博報堂DYMに提出し、計約3200万円をだまし取った疑い。

2社はさらに風間容疑者の会社に制作費を送金し、風間容疑者の会社が中島容疑者に還流させる手口で、送金時にはそれぞれの取り分を抜いていたとみられる。

中島容疑者は当時、テレビCM制作担当者だった。捜査2課は4人の認否を明らかにしていないが、一部は遊興費に充てたとみて調べている。

図解して理解すると、スッと理解できると思います。

誰が得しているか?というと、架空発注を受け、何もせずお金をもらっている会社(売り手)と、博報堂側で一部還流を受け取っている人です。

 

LSIの脱税セミナーのスキーム

以下はニュースの引用です。

コンサルティング会社「LSIホールディングス」は顧客から架空のコンサルティング料名目などの支払いを受け、顧客の利益を少なく装うことで脱税させたとされる。同社も二〇一七年に、法人所得約一億六千六百万円と消費税約二千万円を申告しなかったとされる。

 関係者によると、同社はコンサル料などの名目で顧客から支払われた金のうち約八割を顧客に還流し、残りを手数料として受け取っていたという。一五年の設立以降、この手法で百以上の法人と個人から約三十五億円を集めたもようだ。同社の無申告加算税を含む追徴税額は、約九千七百万円とみられる。

脱税を指南して得た手数料などを申告せず約5900万円を脱税したとして、法人税法違反と消費税法違反の疑いで、名古屋市千種区の経営コンサルタント会社「LSIホールディングス」(破産手続き中)と代表を名古屋地検に告発したと発表

図解すると以下のようになります。こちらも図解するとわかりやすいですよね。

抽象化して共通点を見つけ、税金に関する影響を考える

こちらの2つの事例があるように見えますが、抽象化すると、共通点が見えてきます。それが以下の視点です。切り口です。海外不正も同じです。

過去の不正事例だって、全てこの切り口です。そういえば、ちょっと前に半沢直樹が話題になりましたが、その際に出てきた不正も同じ手口です。

  1. 売主(受注する人)と買主(発注する人、お金を支払う人)
  2. 架空である
  3. 損金の論点と所得隠し
  4. 錬金術

この4つの視点です。最初に図解してしまいますね。

売主(お金受け取る人・受注する人)と買主(発注する人・お金払う人)が存在する

当たり前といえばあたり前ですね。でも、きちんと誰が?売り手?買い手?と整理することで理解が深まります。そして、不正という観点からは、両者の関係が以下のようなパターンがあります。

  • 力関係がどちらかが強い
  • 共謀して両者(裏にいる人も含め)が、得する

です。

博報堂はグループ会社となっていたので、前者のパターンです。後者は、担当者同士が共謀するパターンですね。LSIの脱税セミナーがこれです。セミナーに参加した人に対して、「得しますよ」と説得し、誘惑に負けてしまうケースです。

そして、前者であれば、買主が力が強いケースが多いですよね。「発注してやるよ」って感じです。上から目線です。ドラマの半沢直樹の購買不正のパターンもそうです。

架空である

架空の取引であるという点です。モノやサービスが提供された実態がありません。この点も共通点です。

損金の論点と所得隠し

お金を払う人ともらう人がいましたよね。

今回の件をまとめると以下のようになります。ちょっと妄想も入っています。おそらく一部は、社長の個人口座を利用していたと思われます。

お金

博報堂のケース

LSIホールディングスのケース

もらう人

製作会社の社長(何もしないで売上のお金が入るぞ。申告しなければ、税金も必要ない)

⇨個人の口座の可能性もあり

手数料の2割は、個人のお金になる。申告しなければ、そのまま使える。

払う人

博報堂DY(会社の経費だし、いいか。あとで私に会社のが払った金額が回ってくる)

経費を払えば、会社の利益が減るから税金を少なくできる。8割のお金は、個人のお金として使える。

こんな感じでしょうか?いかなる場合も、

  • 損金
  • 所得隠し

という視点を持つことが重要です。これは、脳味噌を税務担当官に置き換えることがポイントです。

会社→損金にして利益を減らしたい。税務担当官→ダメです。

会社→所得を隠して税金を減らしたい。税務担当官→ダメです。

みたいな感じです。

錬金術という視点

そして、スキームを駆使して、錬金術のように、会社のお金から個人で自由に使えるお金を作っている点です。

博報堂のケースであれば、購買側に一部資金が還流していました。LSIの件も、売主である、コンサル側に一部、資金還流していましたね。

会社という法的実態(箱)を悪用していると言い方もできます。

ちなみに不正が起きてしまう原因は、不正のトライアングルに当てはまります。

今回の件も、個人で、贅沢したい。モテたい。などの動機があったのかしれません。そして、不正できちゃく機会も知っていたのでしょう。

どうやってこのような不正を防止するか?

これは、2つあるかなと思っています。そして、これは全ての会社に当てはまります。

  • 機会を奪う内部統制を構築する
  • 経営者と社員の心を育てる

言い換えると、テクニックと、心の部分です。ツールとマインド、仕組みと心構えってやつです。

まず、テクニック的な話で内部統制ですね。ルールだと理解してください。

購買関係で不正を防止する内部統制

  • 検収する
  • 売り手(サービス提供やモノの提供)を事前に調べる(会社の内容や関係性、口座が個人かどうか?など)

検収とは、サービス受けたの?実際にモノが届いているの?というチェックです。3wayマッチングなんて言うんですが、これが必要です。

>>ほんと? 海外子会社の購買管理の3つのコツを伝授します!

次に、売り手の確認です。言い換えると、サービス提供者です。きちんとしたサービスを提供できる会社なのか?信頼があるか?どうかですね。実際の住所に行ってみて確認してみるのもいいと思います。

なお、経営者は内部統制を無効化できるので、この点は一番難しいです。つまり一番偉いので、無視できちゃうんです。今回の事例も、これに該当すると思います。

あとは、将来的には、ブロックチェーンなどの技術でそもそもこのようなスキームの不正ができなくなる時代がくると思います。すでに中国などのIT先進国はそうなりつつあります。お金という紙幣があるから、不正できちゃうんですよね。

経営者と社員の心を育てる

これが、とても大事だと思います。いわゆる道徳的な話です。

例えば、GOOGLEのすばらしい信念で、以下のようながあるのをご存知ですか?

「Don’t Be Evil(邪悪になるな)」

今は、「Do the right thing.(正しいことをしよう)」らしいですが、本質は同じです。この理念があるからこそ、世界中で利用されるサービスになったんだと思います。

このような理念、モットー、ポリシーがみんなが持っていれば、そもそも、不正は起きません。

ちょっと内部統制的な専門的な用語だと、「全社統制」なんても言います。経営者の姿勢とかです。

渋沢栄一さんの有名な書籍である、「論語と算盤」でも、論語部分が大事だと言っていますよね。

>>渋沢栄一の「論語と算盤」時代や国境超えて使える普遍的な知識、まとめと感想 【②立志と学問】 

本日は、最近よく目にする不正事例を取り上げて解説させて頂きました。典型例と言っている人もいるように、抽象化・パターン化すると、どれも同じだということがわかります。海外での購買不正も同じです。

あ、とてもいい書籍があったので紹介します。これは、AI時代になってきている今でも使えるノウハウです。

あなたが、不正のパターンを理解することにより、不正を防止できることを祈っていますね。