DENSO MANUFACTURING VIETNAM CO., LTD.は2001年に設立され、2003年より営業を開始しました。設立当初より、全従業員が全力で、「世界No.1のコスト競争力」と「デンソー・品質・安全第一」を目標に、社員一丸となって日々研鑽を重ねることによって、環境にやさしく、高品質な製品を提供しています。
また、デザインセンターを併設しており、アプリケーション開発のアウトソーシングサービスを提供しています。アプリケーションの設計、強度や流れの数値解析を行い、技術開発を通じて設計業務のローカライズに努めています。厳しい社会情勢の中でも、当社の強みを活かし、自己研鑽と技術開発により、環境に優しく安全な自動車部品を提供しています。
デンソースピリット-先進 、信頼 、そして総智・総力の精神。これは、デンソーが、1949年の設立以来培ってきた価値観や信念を明文化し、 世界中のデンソー社員と共有したものです。デンソースピリットの、一つである総智・総力には、人材育成が含まれています。このスピリットを持ったデンソーベトナムが「ベトナム経理実テストKIP」を、人材育成の観点からどのような背景で導入を決めたのか、そして、どんな効果を得られたのか。今回は副社長の青山雅彦様にお話を伺いました。
- 業種:自動車部品の販売・製造、自動車部品の設計業務
- 従業員:2,783名(2020年3月末時点)
- URL:https://www.denso.com/vn/en/
- 導入サービス:ベトナム人向け経理実務テスト「kip」
- Vice General Director: 青山雅彦氏
この記事のもくじ
ここがポイント!
- 本当の意味での“学び”のためには、ショック療法が必要だと思った。
- 定量的な結果がわかる経理スキル試験で、経理メンバーの客観的な評価ができた。
- 会社に対して問題意識を持ってもらう。そして、主体的に提案できる人材を増やしていきたい。
今回、経理実務試験KIPを導入したきっかけを教えてください。
-難易度が高い、適切なレベル試験によりショック療法により学ぶきっかけが必要だと判断した。
デンソーベトナムには、各部門において、研修制度があります。その後、簡単なテストはありました。
しかし、そのテストによって、必要な知識、実務でも役立つテストなのか?という疑問がありました。というのは、簡単すぎてほとんどの人が満点だったからです。これを受けてその知識を身についたと評価となっていました。しかし、実際には、その後、試験をパスした人が担当する仕事で問題が起きてしまうケースもありました。それと同時に、これまでの、教育の内容やテストの方法が最適ではないという考えが生まれてきました。
その一方で、デンソー本社には全ての部門(企画、営業、経理も含む)にそれぞれ適用される技術検定と呼ばれる制度がありました。その試験の難易度は、非常にハイレベルで、2回、3回と挑戦して合格するのが当たり前でした。平均点も100点満点中、40点くらいだったと記憶しています。私も若い時にこの試験を受けました。その時に「なんて難しい試験なんだ」と感じたのですが、そのことをきっかけに専門知識を体系的に学ぶきっかけとなりました。
ビジネスパーソンとして成長するためには、このような“ショック療法”的な試験が絶対に必要だと感じていました。そんな時、マナボックスのKIP試験があることを知りました。平均点が200点満点中、100点程度の試験と聞いていたので、私が、思っている難易度のテストだと思ったんですね。
また、ベトナムの多くの人が受講している実績があったので、この点も理由の一つです。これに加えて、客観的にスキルを評価するテスト、例えば、日商簿記試験のようなものもベトナムにありませんでした。このような背景から、「これはいい」と判断して導入の意思決定しました。
経理実務試験KIPの対象と教育制度上の位置付けを教えてください。
-点数の結果は概ね予想通りだった。メンバーの弱みも発見できた。
デンソーベトナム経理部門の全員です。2019年の12月と2020年の12月にテストを受けてもらいました。12名程度に受けてもらいました。職位が高い人やモチベーションが高い人ほど、点数が高い傾向となっていました。この点は、大きなサプライズもなく、概ね予想通りだっと言えます。第1回目の2019年12月のテストの結果を受けて、ベトナム会計・税務の専門知識を体系的にインプットする教材もメンバーのために準備しました。
例えば、マナボックスのロアンさんの教育会社であるGonnaPassのオンライン会計・税務の教材を利用して、学習をしてもらいました。その結果として、2度目の全体の平均点数は、約10点程、向上していました。人によっては、点数が倍になった人もいたので、努力した人ほど結果に反映されていたのだと思います。各担当者が担当している科目、例えば、固定資産の担当者であれば、固定資産部分の点数は合格レベルの点数でしたが、担当以外の科目の点数が低いという傾向が強かったです。
-経理の専門スキルを向上させるツール。組織のジョブローテーションにも利用したい。
経理部門の専門家としてのスキルを期待しているので、上記のような例えば、担当の固定資産だけ強いというのはいけません。経理部者の専門家として、バランスのいい専門知識を持つことが必要です。
そのため、2年程度で、ジョブローテーションを実施していますが、テストの結果、弱い項目のスキルアップのきっかけとして効果的なツールだと感じました。
KIPテストを受験することでどのような効果を期待していますか?
-「勉強とは自らするもの」応用が効くように、主体的に考える人材になってほしい。
私の教育に関する考え方は、「勉強とは自ら主体的にするもの」です。人から受け身で教えてもらっているうちは、本当の知識は身につかないと思っています。今のところ、スタッフが、なにか会計・税務上の新たなイシューに遭遇した時に「教えてもらっていない」という返答が来てしまいます。しかし、これは言い訳です。「自分で勉強する」というマインドセットが足りてないから、このような発言が出てしまいます。このことに気がついてもらうために、KIP試験が有効だと思いました。すなわち、現在の自分の実力を定量的な観点から、評価し、足りていないところを認識してもらい、この事によって、本当の勉強のきっかけになると期待したのです。
例えば、ニュースの時事問題や法令アップデートから会社への影響を予想して、これに対しての提案や警告できるような状況を期待しています。しかしながら、このような警告ができる人材は多くありません。経理部に対して専門家として、これを期待はしているのですが。最終的には、会社の問題意識を強く主体的に持ってもらい、これに対して、提案してくれる人材が増える状況を目指しています。
-会計は会社を支える基本的な知識、主体的に勉強会を開催できるようなカルチャー。
デンソーの会計は、デンソー独自の方法を含まれ、特殊な部分があります。このような点について受け身な姿勢でなく、「なぜ、そうなるのか?」と常に疑問を持ってもらい、これについて勉強会などしてほしいですね。そうすれば、私も本当の意味で教えるということができると思います。
また、「会計」は、会社を支える一番の基本的な知識です。例えば、デンソーは製造会社なので、原価の知識が大事です。主体的に勉強会などする文化になれば、財務諸表を見るポイントの優先順位も変化してくるはずです。例えば、金額が大きくてリスクが大きい箇所からチェックしていくようになるなどです。また、経理のバックグラウンドがない人への説明スキルの向上も期待しています。
KIPテストを今後どのように活用していきたいですか?
-基準点を決めて、合格するまで毎年テストを受けてもらう。
いずれ私が、合格点を設定する予定です。この基準点に到達したら、KIP試験を受けなくていいという流れにしていきたいです。そうすると、合格した人から、テストを受ける必要がなくなるので、年々、KIPテストを受ける人も減っていくはずです。そうすると、合格していない何人かが受けなくていけない状況が続きますよね。その時、みんなで「勉強会をやろう」という雰囲気になったら、一番いいですね。合格した人が、教える雰囲気です。そして、主体的に勉強会をしてもらうためには、成功事例が重要だと思っています。例えば、勉強会の結果、その知識を活かして、無駄なコストが減り、利益が増えたなどです。
-次は、人事・総務KIPテストも導入予定
次は、経理部門に限らず、人事・労務を中心とした一般的な知識を対象とした「KIP人事・総務テスト」を受けてもらう予定です。法律などの知識を問う問題と実務的な知識を問う問題があると思うので、人事部門に限らず、幅広く受講してもらう予定でいます。このテストの対象者は、約30名を予定しています。これも経理部門と同じような効果を期待しています。