こんにちは、マナボックスの菅野です。
本日は、『会社のメンバーにどのように自主的に動い成果を出すか?』というテーマでお話したいと思います。
書籍のレビューとその後のアクション、海外子会社の管理という点ついてまとめていきたいと思います。
あなたが、もし、
- メンバーに主体的に動いて欲しい
- 売上増加もしたい。利益率も高めたい
- 当事者間意識を強めて欲しい
- 全員が能力を最大限に発揮できる仲間たちの組織
と感じているのならこの書籍のノウハウがお役に立てます。ベトナムなどの海外でも有用です。書籍の名前は『社員の力で最高のチームをつくる。1分間エンパワーメント』です。
あの有名な星野リゾート代表の星野佳路氏の愛読書(星野リゾートの躍進の原動力)なのでかなり有用な内容だってことがわかりますよね。星野さんは、この書籍について「私の最も大事な教科書だ」と言っているくらいなのでこの通りに行動すればいい結果が出そうですね。
エンパワーメントについて必要な3つの要素
エンパワーメントという横文字。これってわかりにくいですよね。私は最初に読んだ時わかりませんでした。この意味は、
個人や集団が本来持っている潜在能力を引き出し、湧き出させることを意味。「権限委譲」や「能力開花」、「権限を与えること」「自信を与えること」「力を付けてやること
です。要するに「自分で主体的に行動する」ということだと思います。
弊社の場合、日系企業ということもあり、ある部分において、「日本人に頼ってしまう」という弱みがあります。もちろん、サービスに関する部分はベトナム人専門家が主体的に提供しています。ただ、売上とかマーケティング部分だったり、サービスの質の向上という意味ではメンバーが思考停止してしまっていると感じることがあります。
これでは企業は成長できません。そこでエンパワーメントというのが必要になってきます。
エンパワーメントには3つの要素があります。それは、
- 正確な情報を全社員と共有する
- 境界線を明確にして自律性を持ってもらう
- セルフマネジメント・チームに置き換える
それぞれ、マナボックスベトナムでの挑戦(実験)も踏まえて解説していきます。
1_会社の正確な情報を共有する
まずは、情報の共有です。典型的な情報としては、「決算書」つまり貸借対照表や損益計算書です。これを開示していない組織では最高のチームを作れないわけです。
- 会社の全ての情報を共有して信頼関係を築く
- 失敗を学習の機会と考える
- 縦型の組織でなく心理的安全性の環境を作る
私がいろいろお話を伺うなかでも、海外の現地の人や経営陣以外とは財務状況を共有しないケースなどありますね。ただ、これでは「エンパワーメント」の世界にいけません。
決算状況を知られたくない。それは危ない。と感じている場合は、「エンパワーメント」を諦めるということです。
正確な情報をもっていなければ、責任ある仕事をすることができない。
正確な情報をもっていれば、責任ある仕事をせずにはいられなくなる。
そのため、マナボックス でも、全ての情報を共有することにしています。例えば、売上や利益、一人当たりの付加価値、労働分配率などの業績情報を繰り返し共有するようにしました。財務的な情報に加えて、お客様からのフォードバックや質問、クレーム、失敗も文書化する仕組みを作って共有しています。
We love failといったキャッチフレーズや「失敗は成功の母である」といったベトナム語のことわざを共有したりして、失敗は学習の機会だととらえるようにしています。
また心理的安全性というのは重要なキーワードだと思います。どの研究でもこれが前提となっているからです。以下の記事でも言及していました。
財務情報の開示により、マナボックス 一部の人の行動は変わりました。どれくらい売上をあげなければいけないのか?生産性を向上させなければいけないのか?と感じてくれるようになりまし
ただ、それでも変わらない人は変わりません。給与をもらえれば、私には関係ないでしょという態度の人もいます。悪気はなくポカーンとした感じです。それは無理もないのかなと思います。私も従業員時代は、会社が儲かっているか?についてそこまで深く気にしたことがなかったので。
2_境界線を明確にして自律性を促す
少しにわかりにくい表現ですが、要するに会社のビジョンやバリューを徹底的に浸透させ、その大きな枠組みで自分で判断して行動してくださいってことだと思います。細かいマイクロマネジメントではないということです。
これによって行動の境界線(ここまではやっていいよ)、枠組みというのが明確になりエンパワーメントが発揮されやすくなるんだと思います。これによって責任感と自律心を持って行動を助けることが可能となるのです。
「強い文化があれば、細かいルールは要らない」のです。宗教などとちょっと似ているかもしれませんよね。ちょっと違うかもしれませんが、例えば「人の嫌がることはしない」という考えが基礎としてあるからこそ、私たちの細かい行動に反映されているわけです。
- 説得力のあるビジョンやミッション、バリューを設定する
- 価値観を共有する
- メンバーが自分の役割を明確にできるようにする。ルールも決める
- 行動の自由を提供する
マナボックスベトナムでは、ビジョン、ミッション、バリューとシンプル3ルールを定めました。以下の通りです。
ビジョン:Win WIN WIN (近江商人の3方よしを真似ました。会社メンバーの幸福、ビジネスパートナーの幸福、社会(世間)の幸福)
ミッション:ベトナム経済の成長に貢献する。企業のお医者さんになる。会計・税務1.0→2.0への進化、ベトナムと日本を繋ぐ存在
です。
3つバリューは以下で公表しております。
これに加えて以下のシンプルルールというのも決めて、繰り返して共有しています。
それは、
- スキル・パッションマップ(腐ったみかんになったら退職してね)
- カルチャー・リスペクトマップ(カルチャーにあわない。リスペクトできなくなったら退職してね)
- 社長が怒る場合の4つ
です。
こちらのストーリーについての詳細は別途解説しますね。
3_セルフマネジメントに置き換える
ここのポイントは困難だと感じました。いまだに腑に落ちてないと思います。
意思決定をトップ(階層思考)ではなく、全員がしていくという組織作りです。
ポイントは以下の通りです。
- 全員がチームスキルを学び高める
- 上司がチームが自律するようにサポート、励ましを与える(方向性は見せる)
あなたの会社のメンバーが、それぞれ自律的に行動することになることです。上記の通り、マネージャーなどの上司は、「チームを機能させるため」のスキルのことです。つまり、上司に頼らなくても仕事ができる方法をメンバー(部下)に教えるということが重要なのです。これは難しい!
「放置」と「見守る」の違いと言ってもいいかもしれません。
これについては以下ですごい心に刺さる記事がありましたので紹介しますね。とても深いなと思いました。似て非なるものです。
https://www.sady-editor.com/n/n49540cbd6421
私も未熟ながら、それでも実践が大事ということでメンバーが「自律性」を持った行動をするようにとサポートをしてきました。
その結果、ちょっとずつではありますが効果を実感しています。
例えば、マナボックス では、以下の点で成長したと思っています。以下について私は一切指示てしていません。
- 自律的にセミナーを提案・実施
- TikTokを利用したマーケティング
- イベント企画
- 週1の打ち合わせの際のソーシャルゲーム
最後のソーシャルゲームは、なんかゲームしてチームの一体感を楽しみながら高めています。ベトナム人はチームビルディングが好きですね。
余談ですが、ベトナムでは、「報連相」のセミナーが結構流行っているように感じます。私の経営者としての意見ですが、「報連相」は好きではなりません。エンパワーメントじゃないですし、私もそんなに暇じゃないんで(笑)。いちいち相談されたら、私が不幸です。
なので以下のことについてだけは、相談するようにって決めてそれ以外は自分で決めていいよというメッセージを伝えています。
- 売上金額に関わること(見積書の値段)
- 時間にかかわること(無料でサービスしてないか?
- クレームに関わること
これによってそれまでは指示されたことしからやらなかったエンプロイー(従業員)が少しずつアソシエイト(仕事仲間)に変わっていくのだと。素敵な表現ですよね。仲間。
3つの鍵はダイナミックに関連している
最初の情報共有が最初の重要なステップですが、エンパワーメントのためには3つの鍵がすべて必要です。そして関連しているのです。
この書籍の事例、レストランでは、「店のバランスシートが読めて、その意味を説明できるひとしが給与はアップしませんよ」と伝えたら利益率が10%増加したそうです。その結果、従業員に利益の25%を従業員に還元したのです。そうしたところ、もっとコストを削減する方法はないか?儲ける方法はないか?と話しあうようになったようです。
これってすごいことですよね。
情報共有することによって、自主性が生まれ、境界線を決めることによって自主性が生まれ、自主性が生まれることをサポートすることによってメンバーの自主性、エンパワーメントが高まる。「仕方なくやる」から「やりたいからやる」に変わるのです。
その結果、会社のパフォーマンスがよくなり、儲かる。その儲けたお金を適切に配分することによってさらに成長するというループです。
いいことしかありませんね。ぜひ、3つの鍵を試してみてください!