こんにちはマナラボの菅野です。
今日は『ベトナムでの違法インボイスには気をつけろ!』というテーマでお伝えします。
最近、税務当局から「あなたの会社は違法なインボイスだから説明してくれないか?」という質問にあう会社がよくあります。
例えば最近だと営業活動の一つとしてカラオケに利用した費用について否認された?などの話をよく聞きます。
もしかしたらあなたが入手したVATインボイスが本日お話する企業からのインボイスだとしたら、それは違法なインボイスとして認識され損金不算入になるかもしれません。
まずはリスクを認識して備えることが必要です。
この記事のもくじ
違法なインボイスの売買が頻繁に? 524社のあやしい企業を洗い出した!
ビジネス界では基本的に税法を順守していますが、未だに税金を逃れる手段を模索し、
- 不法に請求書(インボイス)を売買したり、
- 国の予算から税金(VAT)の還付を不当に得る
企業が残念ながら存在します。
ベトナム税務当局は524の企業をあやしいと判断した
ベトナムの税務当局は、機能的な機関と連携して、新たに企業を設立するか、運営を停止した企業を買い戻すために偽のIDカードや住民基本台帳カードを使用する対象を見つけ出しました。これらの悪い企業は企業に不法な請求書を販売し、国の予算への税負担を軽減しています。
当局との連携により、524の企業が「不法な請求書」や「偽の請求書」を販売していることが明らかになりました(これは税務管理法の第6条第7項で禁止されている行為の一つ)。
第6条 税務行政における禁止行為
- 1. 価格移転および/または脱税を目的とした、納税者と税務職員、税務当局との結託、繋がり、隠蔽。
- 2. 納税者への不便、負担。
- 3. 税金を押収したり、違法に使用するために便乗すること。
- 4. 故意に申告を回避したり、納税義務の申告が不十分、遅延、不正確であること。
- 5. 税務職員の業務を妨害する行為
- 6. 他人の納税者番号を使用して法律に違反する行為を行ったり、他人に自分の納税者番号を不正に使用させたりすること。
- 7. 法律に規定されたインボイスを発行せずに物品を販売したりサービスを提供したりすること、違法なインボイスを使用すること、インボイスを違法に使用すること。
- 8. 納税者情報システムの改ざん、悪用、不正アクセス、破壊。
引用元:Law No. 38/2019/QH14
政府、首相、財務大臣の指導のもと、特に中小企業に対する困難や障害を解消し、企業を支援するため、企業における検査や調査を行う代わりに、税務管理法第19条第2項と税務管理法第17条第8項に基づき、納税者は税務管理機関と税務管理職員の決定、通知、要求を遵守する責任があるとされています。
そのため、ベトナム税務総局は2023年5月16日付けのオフィシャルレター『1798/TCT-TTKT』を発行し、不法な請求書を販売する524の企業のインプットVAT請求書を持つ企業に対し、自主的に不法な請求書と伴わない商品を除外し、国家への税務義務の申告と会計を正すように勧告しました。
つまり、この会社からの「VATインボイス」を持っている企業は、
- 損金不算入として
- インプットVATから除外
してよ。と勧告されているようです。これは要チェックですよね。
524の企業のインボイスについての説明義務
税務規定を順守するため、税務総局は地方税務署に対し、上記の524の高リスク企業に関連する企業(この会社からのVATインボイスを持っている場合)を呼び出し(通知を出し)、請求書の使用が合法であることを証明するよう求めています。これらの企業は税務署で直接説明を行うか、書面にて行うかは企業の選択です。
以下のリンクにてその説明についてガイダンスをしています。
>>違法の疑いのあるインボイスを取得したらどうするか?: 実践的なアドバイスと具体的な3つのステップ【無料版】
実際の取引に合わせた商品の購入と販売の請求書を持つ企業は、現行の規定に従って税金を申告し、納付する必要があります。
以下にオフシャルレターのリストを貼っておきますね。ほとんどの会社がホーチミンでした。
知ったこっちゃない? サービス利用者のリスクもある
租税管理法第38号(Law No. 38/2019/QH14)では、請求書に関連する納税者の責任と利益を以下のように規定しています。
商品・サービスの購入者が「違法インボイス」を使用した場合、または「違法なインボイス」の使用違反が販売者のものであることを証明する書類を使用した場合、租税管理法第142条に規定する税務行政違反の制裁を受けることになるでしょう。要するに買い手も売り手も罰を受ける可能性があるということです。
もし納税者が不法な請求書を使用するか、不法に請求書を使用したと判断される場合、税務管理法第143条の規定に従い、税金逃避(脱税)のための行政制裁を受けることになります。
これはもしあなたがカラオケに行って不運にも「違法インボイス」を持っている場合には制裁(罰金)を受けるリスクがあるということです。サービス利用者からしたらそんなの知ったこっちゃない!という感じですよね。なお「違法インボイス」の具体的な意味ってなんなの?と疑問に思う人も多くいるでしょう。それについてはまた別な機会で深堀して説明しますね。
第142条 還付、減免または取消の対象となる納税額の過少申告または過大申告
1. 納税額の過少申告および還付、減免、取消の対象となる税額の過大申告には以下のものが含まれる:
- a) 納税者が、税額計算の基礎や控除対象税額、税額控除や税額還付の適格性を誤って申告した場合。しかし、その取引は法定会計帳簿、請求書、その他の書類に完全に記録されている;
- b) 納税者の時価決定書類や関連者間取引の申告書の数字が、税務調査官や税務監査官によって、納税額を過少に記載したり、減免・還付の対象となる税額を過大に記載したりするような形で不正確であることが判明した場合;
- c) 納税者が違法なインボイスや書類を使用したり、違法なインボイスを使用し て、納付税額を減少させたり、減免・還付対象税額を増加させたが、その違法 なインボイスに基づく商品・サービスの買い手が、売り手に非があることを証明でき た場合。
2. 本法令第 143 条第 6 項および第 7 項に記載され ていない輸出入関税を過少に申告した場合、ま たは、減免、還付、取消の対象となる関税 を過大に申告した場合、納税者は、税務書類の補 正に加え、納税額全額、延滞利子、行政処分を受 けなければならない:
- a) 税関当局が通関手続き中の商品の通関書類 の実地検査を公表した後、または、通関日 から 60 日経過後、税関当局が通関後の検査 または通関許可された商品の検査に関する決定 を公表する前に、納税者が間違いに気付き、税務 書類を補足した場合;
- b) 商品が通関手続き中、通関が許可された商品の検査中、または通関後の検査中に税関当局が誤りを発見し、違反者が自主的に関税を全額納付した場合。
- c) 本条第 a 項および第 b 項以外の場合、違反者が自発的に関税を全額納付した。
3. 納税者が、税務当局が税務調査または納税者宅への税務調査 の決定を発表する前、または税務当局が税務調査または納税者宅への 税務調査を行わずに違反を発見する前に、税務書類を補完し、 自主的に関税を全額納付した場合、税務違反に対する行政処 分は課されない。
4. 輸出入の場合、行政税違反に対する罰則は課されない。ただし、以下の場合、納税者は未払い関税と延滞利息を支払わなければならない:
- a) 納税者が、税関当局が通関手続き中の商品の通関書類の実地検 査を発表する前に、税務書類を補足した場合;
- b) 納税者が、通関日から 60 日以内で、税関当局が通関後の検査または通関が許可された物品の検査に関する決定を下す前に、税務書類を補足した場合。
第143条 脱税
1. 納税者登録申請書を提出しなかった場合、納税申告書を提出しなかった場合、または本法に規定された提出期限または延長期限から 90 日以内に納税申告書を提出しなかった場合。
2. 会計帳簿に納付すべき税金の計算に関連する収入を記録しないこと。
3. 商品・サービスを販売する際、法律で定められたインボイスを発行せず、実際の価格よりも低い価格をインボイスに記載すること。
4. 納付すべき税額を減少させるため、または免除、控除、還付、取り消しの対象となる税額を増加させるために、違法なインボイスを使用する、または仕入れに違法なインボイスを使用すること。
5.取引内容や取引価額を正当に反映していない書類を使用し、納付税額を減少させたり、減免、還付、取消の対象となる税額を増加させたりすること。
6. 通関が許可された後に補足を行わず、輸出または輸入を不正確に申告すること。
7. 輸出または輸入関税の故意の申告漏れまたは不正確な申告。
8. 輸入関税を免れるために荷送人と協力した場合。
9. 税務当局に通知することなく免税品を再利用すること。
10. 税務当局に通知することなく、一時停止期間中に業務を継続すること。
11. 以下の場合、脱税に対する罰則の代わりに、第 141 条第 1 項の罰則が科される:
- a) 納税者が納税者登録申請書を提出しない場合、 税務申告書を提出しない場合、または 90 日後に 税金を納めずに税務申告書を提出した場合;
- b) 納税者が、納税発生後 90 日以内に納税申告 書を提出しなかったが、税務当局に納税済みである。
引用元:Law No. 38/2019/QH14
住所を放棄した企業からのVATインボイスはそもそも発行されない
事業所住所を放棄した企業のリストは、税務当局が企業に対して事業所住所を放棄したことを通知した日から掲示されています。要するに実態の企業のことだと思います。
これは税務管理法の一部の条項を詳述した2020年10月19日の法令126/2020/ND-CP第29条に規定されています。また、税務当局が納税者が登録住所で運営していないことを通知する日からも同様です。
税務当局の電子請求書システム(E-Invoice)は、事業所住所を放棄した企業からの請求書を自動的にブロックします。
わたしたち納税者は事業所住所を放棄した企業のリストを税務当局のウェブサイトで確認できるようです。
本日のまとめ
本日は『違法インボイスには気をつけろ!』というテーマでお伝えしました。
- 税務当局がリスクの高い524の企業をリストリストアップ
- そこからのVATインボイスは危険であることから損金不算入やインプットVATとして計上できないリスクがある
- 売り手等の納税者も脱税による制裁金のリスクがある
お役にたてれば幸いです。