ベトナムで事業を展開する際、外国契約者税(FCT)は避けて通れない重要な税制です。この記事では、FCTの基本的な概要、課税対象となる取引、税率、申告・納税方法、そして実務上の注意点について詳しく解説します。 お客様向けにチェックリストもあるのでこちらも参照ください!

【M-Lab】ベトナム税務調査で指摘されやすい外国契約者税(FCT)【トップ7】PDFのチェックリスト

 外国契約者税(FCT)とは?

FCTは、ベトナム国内で事業活動を行う外国の個人や組織に対して課される税金で、主に以下の2つの税から構成されています:

  • 法人所得税(CIT):企業の所得に対して課税されます。
  • 付加価値税(VAT):商品やサービスの付加価値に対して課税されます。

これらは、日本の源泉所得税に似ていますが、ベトナム特有の広範な課税範囲を持っています。ですが以下のリンクのように理解するほうがおすすめです。

>>FCT(外国契約者税)をシンプルにわかりやすく理解する方法【ベトナム税務】

FCTの課税対象となる取引とは?

FCTは、以下のような取引に対して適用されます:

  • サービス提供:ベトナム国内でのサービス提供や、海外からベトナムへのサービス提供が含まれます。
  • 商品供給:サービス提供を伴う商品供給や、ベトナム国内での引き渡しが行われる場合が該当します。
  • ロイヤリティや利息の支払い:知的財産の使用料や貸付金の利息などが含まれます。

これらの取引は、契約内容や取引形態によって詳細が異なるため、個別の検討が必要です。ご注意くださいね。

FCTの税率のまとめ

FCTの税率は、取引の種類や内容によって異なります。以下に主な取引内容とそれに対応するVATおよびCITの税率をまとめました。通達103/2014/TT-BTC

取引内容

具体的な取引例

VAT率CIT率
サービス提供コンサルティング、技術支援5%5%
機械設備のリース建設機械のレンタル5%5%
建設・据付(資材供給なし)労務のみの建設工事5%2%
建設・据付(資材供給あり)資材込みの建設プロジェクト3%2%
輸送サービス国内輸送、物流サービス3%2%
利息の支払い親会社からの借入金利免税5%
ロイヤリティの支払い特許使用料、著作権料免税10%
証券譲渡株式や債券の売買免税0.1%

具体的な税率は、最新の法令や通達に基づいて確認することが重要です

FCTの申告と納税方法

FCTの申告・納税方法には、主に以下の3つの方式があります。ただ難しいので無視してもいいです。

  • 控除(VAS)方式:外国契約者がベトナムに恒久的施設を有し、ベトナム会計制度を適用している場合、VATとCITを自己申告・納税します。
  • 直接方式(源泉徴収):外国契約者がベトナムに恒久的施設を持たない場合、ベトナムの契約相手方が支払い時にFCTを源泉徴収し、納税します。
  • ハイブリッド方式:特定の条件下で、VATは控除方式、CITは直接方式で申告・納税する方法です。

申告期限や手続きは厳格に定められているため、適切な対応が求められます。

>>外国契約者税(FCT)の計算の3つの方法を徹底解説【図解あり】

なお、外国の企業が納税する場合のリストもあるようなのでこれも紹介しますね。大きな企業はFCTの税コードを持つケースが増えてきました。

>>FCTの税コードを登録した外国企業のリストを紹介します!

実務上の注意点の概要

  • 契約書の明確化:契約書には、各サービスや商品の金額、税負担の責任などを明確に記載することが重要です。
  • 税コードの取得:初めてFCTの対象となる取引を行う場合、税コードの取得が必要です。
  • >>ベトナムの税金コードは2つ?あるから注意が必要です!
  • 申告期限の遵守:支払日から10日以内に申告・納税を行う必要があるため、スケジュール管理が重要です。
  • 最新情報の確認:税制は頻繁に変更されるため、最新の法令や通達を常に確認することが求められます。

FCTは、ベトナムでの事業活動において重要な税制であり、適切な理解と対応が求められます。専門家の助言を得ながら、正確な申告・納税を心掛けましょう!