マナボックスベトナムによる税務ニュースです。

現在、法人税の予納制度は以下の通り80%ルールが適用されています。

規制の現行版 (現在の規制)

旧規制 (上書きされた規制)
法令 91/2022/ND-CP 2022年10月30日付 [第3条第1項]法令 126/2020/ND-CP 2020年10月19日付 [セクションB、第6条、第8項]

法人税の仮納付額の合計は、年次決算に基づく法人税額の80%以上でなければなりません。

第4四半期末まで

法人税の仮納付額の合計は、年次決算に基づく法人税額の75%以上でなければなりません。

第3四半期末まで

この際、以下のような疑問が生まれます。ギリギリまで(第4四半期末まで)まで納税しなくても法令を守っているのだからそこまで納税を遅らせたほうが資金繰り的にいいでしょう?

です。これに対するベトナムの税務オフィシャルレターを紹介します。

  • 106CC-TTHT
  • 230/TCT-KK 2024

それぞれ解説していきます。

106CC-TTHTの内容

まず関連するオフィシャルレターを見て行きましょう。オフィシャルレター106/CT-TTHTです。最初にまとめます。

四半期で利益でたら納税せよ!そうしないと罰則・利息も発生します。

じゃあ80%ルールの意味ないじゃんと思いました。けれどもそれが税務。とほほ…です。

>>【M-Labo】限定動画 ベトナム税務調査の実態【論理より感情だ!】

質問: 企業は第1四半期から第3四半期までの法人税を仮計算したが、国庫に納付せず、第4四半期の法人税額と合算した場合、企業は遅延納付として罰金が科されますか?

税務当局の回答: 原則として、これは正しくありません。なぜなら、企業は四半期ごとの損益見積もりに基づいて直ちに法人税を仮計算し、支払わなければならないからです。特に四半期ごとに財務諸表を公開しなければならない企業にとっては重要です。以下はオフィシャルレター106/CT-TTHTの内容です。

第1四半期から第3四半期に法人税を仮計算したが、第4四半期に支払った場合、遅延納付として罰金が科されます(回答)

企業が2016年の第1四半期から第3四半期に発生した法人税を仮計算したが、規定に従って国庫に納付せず、第4四半期の法人税額と合算した場合(2016年の第1四半期から第3四半期に発生した収益に対する顧客の支払いを受け取らなかったため)、

企業は遅延納付利息を、2014年11月26日付の法律第71/2014/QH13第4条第5項および2016年4月6日付の法律第106/2016/QH13第3条第3項に基づいて支払わなければなりません。これは、各四半期に対応する遅延納付額に適用されます。

オフィシャルレター230/TCT-KKの見解

まず関連するオフィシャルレターを見て行きましょう。オフィシャルレター230/TCT-KKです。これも最初にまとめますね。

仮納付された法人税の未納や過少納付は、罰則の対象ではない

上記とは逆の結論ですね。ただし利息についてはかかるようです。

法人所得税は毎年申告・精算し、四半期ごとに仮納税する。法人所得税は、年1回の申告・精算、四半期ごとの仮納付である。税務行政法および指導文書の規定によると、納税者は、法人所得税の四半期申告・提出の義務はない。納税者は、四半期ごとの法人所得税の仮納付額を自ら決定しなければならない。仮納付した法人所得税を納付しない、または過少に納付する行為は、2020年10月19日付政令第125号/2020/ND-CP第16条に規定される過少申告に対する行政処罰の対象とはならない。

仮納付された法人税の過少納付に対する遅延納付利息の決定に関して:行政違反を制裁する決定で規定された利率に従って、税務局は法的規定に基づいて未納税額および遅延納付利息の徴収を確認し、法令を遵守するようにします。

引用元:230/TCT-KK

政令第125号/2020/ND-CP第16条は、虚偽申告による納税額の不足や過大な免除・減額・還付額に対して、未納税額または過大額の20%の罰金を科すことを規定しています。また、虚偽申告による不足額や過大額の全額納付を強制し、違反者が税務当局の検査前に自主的に補足申告し全額納付した場合、軽減される場合があります。

>>【ベトナム税務】罰金・遅延税・遅延利息、追徴課税・加算税。重加算税の解説【本社と共有するといいです】

まとめ

今日は、ベトナムにおける法人税の予納の以下の疑問点

  • 結局いつ納税なの?80%ルールは?
  • 罰金は発生するの?

に対するオフィシャルレターの回答について解説しました。

結果は、罰金発生するという回答としない回答どちらもある!ということでした。うーん、なぞ!ですね。しかし、それが税務の難しいところです。よく税務は答えがあるからわかりやすいと他の人事系や戦略系のコンサルタントが言うのを耳にするのですがそんなことはありません。答えがよくわからない論点がたくさんあります!

参考になれば幸いです。