ベトナム健康診断申請の背景と重要性

ベトナムで働く従業員が安心して働くためには、健康診断の申請が欠かせません。「健康診断って会社がやることじゃないの?」と思う方も多いかもしれませんが、労働災害や職業病が発生した場合には、従業員自身が申請書を準備して手続きを進める必要があります。

本記事では、「労働者向け健康診断申請書」(年度によって変更する可能性あり)に焦点を当て、その記入方法や提出手順を分かりやすく解説します。日本企業のベトナム現地管理者の皆様に役立つ情報をお届けします

「健康診断申請」が必要な10のケース

「通達第56/2017/TT-BYT」によると、以下のようなケースで健康診断申請が必要です。毎年実施される定期健康診断はここでは含まれていないようです。

グルーピング

必要な場合説明
労働災害・職業病関連労働災害が発生したとき
初回診断や再発時の診断が必要。事故や職業病による影響を正確に評価し、適切な給付を受けるため。
職業病が疑われる場合
職場環境が原因と考えられる病気がある場合、初回診断や再発診断を受ける必要がある。
離職後も職業病保証期間内の場合
職業病リスクが高い職場を離れた後でも、病気の確認や保証を受けるために診断が必要。
社会保険制度関連退職後に退職給付を申請する場合
従業員が退職後に受け取る退職給付金の手続きの一環として、診断が必要。
死亡給付を申請する場合
従業員が死亡した際、遺族が給付金を受け取るために診断を行う必要がある。
社会保険の一時受給を希望する場合
一時的に社会保険の給付を受ける際、基準を満たしているかを確認するための診断が必要。
出産・育児関連出産後に健康上の理由で子育てが困難な場合
出産後の母親が健康問題を抱えている場合、給付やサポートを受けるための診断を受ける必要がある。
特別なケース個人や組織の要請による再診断が必要な場合
特定の状況下で追加の診断が必要と判断された場合、診断を受けることで労働者や雇用者の権利を保護する。

 

実務で役立つ!健康診断申請書の記入例

診断書の記入例を説明しますね。2022年12月31日に発行された「通達第18/2022/TT-BYT」に基づいたフォーマットが採用されています。

[1] 氏名を記入しましょう!
健康診断を申請するご自身の名前をフルネームで記入してください。

[2] 社会保険番号を忘れずに
社会保険手帳番号または社会保険番号を記入します。最近、社会保険番号が手帳番号の代わりに使われることもあるので、適宜対応してください。

[3] 職業や職場環境もチェック!
現在の職業や仕事内容を記入します。特に、職業病リスクのある職場で働いている場合、その旨を明記してください。もし遺族が申請する場合、この項目は記入不要です。

[4] 検査の種類を選択
「初回」「再発」「再検査」「総合」「再審査」のいずれかを選び、具体的に記入します。

[5] 検査の目的も明確に
以下のどれに該当するかを記入してください:

  • 労働災害
  • 職業病
  • 退職
  • 死亡給付
  • 一時金の社会保険給付
  • 出産給付

[6] 傷害や病気の詳細を明記
診断書や治療記録に基づき、診断を希望する傷害や病気の名称を記入します。具体的な内容は、関連法令(通達56/2017/TT-BYTなど)を確認してください。

[7] 現在の給付や損傷率を記入
既に受け取っている給付や、直近の診断で判明した身体損傷率がある場合、それを明記します。給付の資格がない場合でも、損傷の内容と割合を書きましょう。

[8] 遺族が申請する場合の確認
もし遺族が申請を行う場合は、この項目を記入する必要があります。該当しない場合は省略できます。

このようになっています。

診断手続きの流れと注意点

診断手続きは以下のフローに従います:

  1. 申請書の準備:通達に基づいたフォーマットで記入。
  2. 必要書類の提出:診断書、負傷証明書、社会保険関連の書類。
  3. 診断の実施:指定された医療機関で診断を受ける。
  4. 結果の受領:診断結果をもとに、必要な給付申請を行う。

特に、診断結果が社会保険や給付に直結するため、書類の不備を避けることが重要です。

まとめ:もしものときに備えて準備を!

健康診断申請は、従業員の健康と安心を守るための大切な手続きです。特に労働災害や職業病が発生した場合、スムーズに対応するためには事前の準備が重要です。

この記事でご紹介した手順やポイントを参考に、いざというときに備えてください。また、申請書類の準備や手続きでお困りの場合は、現地の専門家に相談するのも一つの方法です。