2024年に、外国からの資金調達に関するルールが一部見直されました。

中でも注目されているのが「短期外国借入」に関する上限(=借りていい最大額)です。

特に、企業が海外からお金を借りるときは、「どれくらい借りてもいいのか?」というルールが決まっています。これを守らないと、後で法令違反になったり、資金繰りに問題が出たりする可能性も…。

今回は、ベトナム国家銀行の通達をもとに、難しい内容をわかりやすく解説します!

ただまず最初に結論言います!

事業会社がする短期借金に上限はありません!

短期外国借入ってなに?

📌 簡単に言うと…

「短期外国借入」とは、1年以内に返すことを約束して外国から借りるお金のことです。

例えば:

  • 海外の銀行や親会社から仕入れ代金を借りる
  • 海外のパートナーとの取引で信用状(L/C)を使うときに発生する支払い
  • 一時的に資金が足りないときに海外(親子ローンが多い)から借入する など

💬 ポイント:返済期間が1年以内なら「短期」!

>>ベトナムの短期借入とは?仕組み・注意点・契約書雛形まで要点を解説!

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>>【M-Lab】短期借入金の返済期限が迫っています。どのような選択肢がありますか?【実務的な5つのアイデアを図形でも解説】

信用機関(銀行とか)じゃない企業の「短期外国借入」には上限あるの?

結論から言うと…

信用機関ではない企業の「短期外国借入」には、上限の制限はありません!

ただし、借入目的や契約内容には一定のルールがあるので注意が必要です。

根拠:通達08/2023/TT-NHNN 第18条第4項

「第1項および第2項で定める外国借入の上限は、短期外国借入には適用されない。

💡補足:じゃあ第1項・第2項の借入って何?

それは主に中長期の外国借入に対する上限です。以下のように定められています。

よくあるの総投資の金額内というお話しですね。

>>ベトナム投資での「総資本金」の考え方 図解で徹底解説!【IRCにも記載】

借入の目的対象上限ルール適用される借入タイプ
投資プロジェクト(IRC)自社の資本を超える部分の資金調達総投資額 − 出資済み資本中長期借入
事業・生産計画外国借入使用計画に記載された額まで承認された借入ニーズ中長期借入
外国債務の再構築古い借入の返済に必要な金額まで元本・利息・手数料などの合計中長期借入 or 短期から転換

✅ まとめると…。

  • 中長期の借入」→ 借入上限あり(通達第18条 第1項・第2項)
  • 短期の借入」→ 借入上限なし(ただし目的や契約内容に制限あり)

ベトナム借入上限ってどう決まってるの?【銀行とかの話なので参考】

ベトナムでは、短期外国借入に対して借りられる「上限」が決まっています。

これは、「自己資本(Equity)に対する割合」で決まるんです。ただ「主語」(だれが借り手)が大事で、銀行なんですよね。なので無視してもらってもいいんです。事業会社の場合は。

📜根拠:通達08/2023/TT-NHNN 第15条(改正:通達19/2024)

第15条 第1項:
借り手は、借入申請の前年12月31日時点で以下の基準を満たしていなければなりません。

  • 商業銀行 ➡️ 最大30%(自己資本に対する短期借入残高)
  • 外国銀行支店・その他の信用機関 ➡️ 最大150%

🔹簡単に言うと:
たとえば商業銀行の自己資本が100億ドンなら、短期借入は最大30億ドンまで!

おそらく以下が関連しているのでしょう。

信用状(L/C)から発生する借入は例外!

「信用状(L/C)ってなに?」と思う方も多いですよね。ここについても少し解説します。

L/Cとは、「銀行」が輸入者の代わりに輸出者へ支払いを約束する書類のこと。
この信用状を使うと、短期的に外国からお金を借りることになる場合があります。

✅ でも安心!

📜 通達08/2023 第15条 第2項(改正後)
L/Cの発行に伴う借入には、上記の借入上限(30%や150%)は適用されません!

つまり、L/Cを使った輸入決済などで発生する短期借入については、特別な扱いになるんです。

ほとんどの場合、L/Cによる支払いは「繰延払い(60日、90日など)」で設定されるため、「短期外国借入」として扱われます。

さらに通達19/2024では、こう定義されています:

📜 通達19/2024 第1条(第3条第9項の新設):
L/Cにより発生する支払いで、期日前または一覧払いで輸出者に支払われた場合
発行銀行は、外国からの借入を受けたとみなされる。

つまり、L/C支払いは形式的には「外国借入」に該当しますが、性質としては短期借入と考えられるわけです。

まとめ:短期外国借入で日系企業が気をつけるべきポイント

今日は「短期借入金の上限はあるか?」というテーマでお伝えしました。

  • 自社が「信用機関」でなく事業会社であれば、上限規制の対象ではない(でも目的制限はある)

銀行の場合も参考までに。知識として!

  • L/Cを使う場合も、実質的に借入扱いされることがある(でも上限対象外)
  • 契約タイミング・資金の使い道は法令通りにしっかり対応を!

【外国借入】
 └─【短期外国借入】
    ├─ 一般企業(≠信用機関) → ✅ 上限なし(通達08/2023 第18条第4項)
    └─ 信用機関 → ❌ 上限あり(通達08/2023 第15条:30%/150%)
 └─【中長期借入】(目的別に上限あり)
    → 通達08/2023 第18条第1項・第2項